【Weekly accounting journal】vol.91
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆vol.91-2011.07.26
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]税務調査の指摘と過年度遡及会計基準の関係
2.[IFRS]米国のIFRS導入が現実味を帯びてきた(日経)
3.[IFRS]引当金はどこが違う(その2)?
4.[最新J-GAAP]問題2
5.[編集後記]
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1.[最新J-GAAP]税務調査の指摘と過年度遡及会計準の関係
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ある程度会計を御存じの方なら、「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監
査上の取扱い(監査・保証実務委員会実務指針第63号)」はご存知かと思いま
す。
これも過年度遡及会計基準で微妙に変わってるんですよね。
『法人税等の更正、決定等による追徴税額及び還付税額は、過年度遡及会計基
準及び過年度遡及適用指針に基づき処理することになる(過年度遡及会計基準
第55項参照)。なお、これらが過去の誤謬に起因するものでない場合には、損
益計算書上、「法人税、住民税及び事業税」の次にその内容を示す名称を付し
た科目をもって記載する。ただし、これらの金額の重要性が乏しい場合には、
「法人税、住民税及び事業税」に含めて表示することができる。』
こんな感じです。
税務調査で、過去の所得・税額計算の誤りを指摘され、修正申告に応じたり、
更正処分を受けたりした場合、どうなるのでしょうか。
とりあえず、過去の所得・税額計算の誤りを指摘され、修正申告に応じた場合
を考えましょう。結構ありますよね。こういう場合。
(本当に誤りである場合)
こりゃ仕方ないですよ。重要性あれば遡及ですね。やむをえません。
(誤りとはいえず、税務当局との見解の相違がある場合)
これは上記の「過去の誤謬に起因するものでない場合」にあたるわけです、で
すから上記に従い当期のPLで処理するわけです。でもあれですよ。こちらが勝
手に、見解の相違だと思っているだけで、客観的には明らかに税務当局が正し
いような場合はだめですよ。裁判で争う位、見解の相違があるような場合とい
うイメージですね。あんまりこういうケースないんじゃないですか。
ってことは、多くは遡及するってことですね。もちろん、重要性の判断はあり
ます。
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2.[IFRS]米国のIFRS導入が現実味を帯びてきた(日経)
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中央大学の高田橋教授へのインタビュー記事です。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a0kobhw0bixkiz8faoLxb
これは目を通していただいた方がよいと思います。
アメリカでは、コンドースメントが提案され、日本でも「少なくとも2015 年3
月期についての強制適用は考えておらず、仮に強制適用する場合であってもそ
の決定から5-7 年程度の十分な準備期間の設定を行うこと、2016 年3 月期で
使用終了とされている米国基準での開示は使用期限を撤廃し、引き続き使用可
能とする」ということになったわけですが、アメリカではSECのスタッフペー
パーとして出てきていますが、日本では唐突に金融大臣が「政治主導」で始め
た話であり、煮詰まった議論がなされているとは言い難い状況です。
これを機に再度十分に議論をしてもらえばいいと思います。
そもそも、アドプション、エンドースメント、コンバージェンス、さらにはコ
ンドースメントの違いすら、日本では十分に理解されていないのではないでし
ょうか。
それと、記事にもありますけど、IFRSそのものが変質していること。このあた
りもしっかりと理解していかなければなりませんね。もう一度IFRSのなんたる
かから、見直す必要がありそうです。
『IASBとFASBが目的概念を共通化したことによって、IFRSのフレームワークも
変わっています。これは非常にインパクトの強い事実ですが、あまり日本には
伝わっていないようです。共通化された目的概念は、実はほとんど米国基準に
合わせてある。日本のIFRS関連書籍などには「IFRSは公正価値会計でB/S(貸
借対照表)中心」などと書いてありますが、それは古いフレームワーク。いま
のIFRSは全く違います。
具体的には、P/L(損益計算書)の論理が復活しており、公正価値も全面適用
でなくなっています。従来と逆に「企業評価ではない」とも明言しています。
財務報告というより会計的なコンセプトになっている。2011年6月の「東京合
意」におけるトゥイーディー前IASB議長のコメントのなかに「NEW IFRS」と
いう表現があったのは、おそらくこのあたりが背景になっていると考えられま
す。』
このあたり、非常に重要ですね。もう一度勉強しなおしましょう。
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3.[IFRS]引当金はどこが違う(その2)?
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それでは、引当金はどのように測定するのでしょうか?
(1)単一の債務が測定される場合⇒最善の見積
(2)複数の債務が測定される場合⇒期待値
(1)の最善の見積は、以下のようになります。
他の起こりうる結果の支出が、
最も起こりうる結果よりも、かなり高い⇒最も起こりうる結果よりも高い金額
最も起こりうる結果よりも、かなり低い⇒最も起こりうる結果よりも低い金額
(2)の期待値は、生ずる可能性のある費用を確率に応じて加重平均します。
たとえば、IAS37号第39項によると、
(保証内容)
ある物品を販売する企業は、顧客に対し購入後6カ月以内に製造上の欠陥が明ら
かになったものは修理費用を負担することを保証している。
(修理費用の見積)
すべての製品から軽微な欠陥が発見されたなら修理費用は1百万円発生
すべての製品から重大な欠陥が発見されたなら修理費用は4百万円発生
(欠陥の予測)
欠陥なし 75%
軽微な欠陥 20%
重大な欠陥 5%
(引当金の見積)
0*75%+1,000,000*20%+4,000,000*5%=400,000
ということですね。
それと、日本と違うのは、重要なら割引計算しなければならないということな
んですね。
この場合、割引率は、貨幣の時間的価値に対する現在の市場評価とその負債に
特有のリスクを反映した税引前割引率でなければならないということになりま
す。
見積もったキャッシュフローにすでにリスクがおりこまれているような場合に
使用する割引率には、リスクを反映した割引率を使用してはなりません。二重
になってしまいますからね。
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4.[最新J-GAAP]問題2
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[問2]
残念ながら100%子会社の業績が思わしくなく、以下のような状況。1年以内の
清算の可能性が高いため、監査法人からは清算価値で評価するようにいわれて
しまった。子会社株式と貸付金の評価はどうか?実効税率40%とする。税効果
積んでいい状況としましょう。
子会社
・資産1,000(土地の時価を考えると800)
・負債2,000
親会社
・子会社株式800
・貸付金1,500
簡単すぎですかね。
[答]
a.子会社株式評価損 800
貸倒引当金繰入 1,500
繰延税金資産 920
b.子会社株式評価損 800
貸倒引当金繰入 1,200
繰延税金資産 800
c.子会社株式評価損 800
貸倒引当金繰入 1,000
繰延税金資産 720
a.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a0koehw0bixkiz8faoCJD
b.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a0kofhw0bixkiz8faoDPS
c.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a0koghw0bixkiz8fao16W
[前回の解答]
前回の解答はaですね。プロスペクティブ方式といって、過去に遡るのではなく
、将来に向かって修正していきます。
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5.[編集後記]
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今回は是非2番目の記事には目を通してください。重要です。
なんとなく、潮目が変わってきているんじゃないでしょうか。
日本では、赤字国債発行法案を巡り野党が攻勢を強めています。年金・郵貯・
簡保が国債引き受けできなくなってきているのに、こんな状況でいいんですか
ね。アメリカでも政府債務の上限引き上げを巡り、大統領・民主党と共和党の
駆け引きが続いています。例のQE2が終了し、際限無いお金の流出に歯止めが
かかるわけです。アメリカの国債格下げもありそうです。中国でも地方ではど
うも隠れ債務が膨大にあるようですし。また、ギリシャももう誰がどうみても
やばいですよね。ギリシャの国債の利率は日本の利息制限法を上回る水準です。
インフレが来るのではないでしょうか。もう来ているという話もありますよね。
最悪の事態が起きないように祈ります。早く多くの国難を乗り越える道筋を政
治が示すべきですよね。震災復興、エネルギー、温暖化、少子高齢化、産業の
空洞化、格差の拡大、等々。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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