◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.117-2012.1.24
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP] 四半期税金費用の取り扱いが出ました!
2.[監査]不適切な会計処理が発覚したら、監査人は何をするのか?
3.[IFRS]SECスタッフ・ペーパーとFAFのコメント・レターのおさらい
4.[最新J-GAAP]問題28
5.[編集後記]

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1.[最新J-GAAP]四半期税金費用の取り扱いが出ました!
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公開草案が出ていた「実務対応報告第28号 改正法人税法及び復興財源確保法
に伴う税率変更等に係る四半期財務諸表における税金費用の実務上の取扱い」
が平成24年1月20日、ASBJから確定版として公表されました。

公開草案と一緒ですね。

今回はこのなかから、法定実効税率を使用する場合の取扱いをご紹介したいと
思います。四半期税金費用を四半期特有の会計処理により税金費用を計算して
いる場合で、以下のようなケースのときに法定実効税率を使うわけです。

(1) 予想年間税引前当期純利益がゼロ又は損失となる場合
(2) 予想年間税金費用がゼロ又はマイナスとなる場合
(3) 上期と下期の損益が相殺されるため、一時差異等に該当しない差異に係る
税金費用の影響が予想年間税引前当期純利益に対して著しく重要となる場

これ、意外とレアケースではありませんよね。結構あるように思います。

この場合、税引前損益に一時差異に該当しない差異が重要な場合にはこれを加
減し、法定実効税率を乗じて税金費用を算出します。

これについては、上記の「取扱い」上、

「四半期累計期間中に税率の変更が行われた場合、事業年度の末日に存在する
と見込まれる一時差異及び税務上の繰越欠損金額を見積り、税率変更による繰
延税金資産及び繰延税金負債の修正差額を、税率変更が行われた四半期累計期
間及びその後の事業年度末までの期間に合理的な方法により配分し、税率変更
が行われた四半期累計期間に配分した修正差額を当該期間における税金費用に
加減することとなる(中間税効果実務指針第12 項)。」

とされています。

これの意味するところは、

従来どおり旧税率で税金費用を算定しつつ

(期末の一時差異等×旧税率)-(期末の一時差異等×新税率(複数))を修正差額
として

「税率変更が行われた四半期累計期間及びその後の事業年度末までの期間に配
分」するということと思われます。

この配分方法は特に記載されていませんが、税前損益で按分することも考えら
れなくはないですが、期間定額で按分するのではないでしょうか。私見ですが。

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2.[監査]不適切な会計処理が発覚したら、監査人は何をするのか?
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公認会計士協会は、平成24年1月15日、監査・保証実務委員会研究報告「不適
切な会計処理が発覚した場合の監査人の留意事項 について」の公開草案を公
表しています。

不適切な会計処理が発覚した場合には、監査人は限られた時間内に監査役、調
査委員会、金融庁、証券取引所、所轄の各財務局等多方面への対応が必要にな
ります。

このうち、いくつかを、監査人としても、監査を受ける側としても知っておい
たほうがいいと思いましたのでご紹介します。

(対第三者委員会)
監査人は第三者委員会からヒアリングを受けることがあり、その場合、会社と
守秘義務解除の覚書を交わし協力することとなります。
第三者委員会の調査報告書は、事実関係が十分に反映されていることが必要で
す。監査人は、監査に関する記載に事実誤認がないことを確認し、事実誤認が
ある場合には、第三者委員会に修正を申し入れる必要があります。

(対監査役)
会計監査人は、取締役の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に
違反する重大な事実があることを発見したときは会社法第397 条に基づき監査
役への報告が義務付けられています。

(対金融庁)
・監査人による特定発行者の法令違反等事実の発見
・監査人として法令違反の是正その他適切な措置をとるべき旨の通知(金商法
 第193 条の3第1項)通知する相手は、原則として監査役、監査役会、監査
 委員会
・法定期限内の是正その他適切な措置について特定発行者が未対応
・監査人として、財務計算に関する書類の適正性の確保に重大な影響を及ぼす
 と判断
・監査役(監査役会・監査委員会)及び取締役会に当局(金融庁長官)に申し
 出る旨の書面による通知(金商法第193 条の3第2項)
・当局(金融庁長官)に対する書面による申し出(金商法第193 条の3第2項)
・当局(金融庁長官)に申し出た旨を特定発行者に書面で通知(金商法第193
 条の3第3項)

2011年に不正や不適切な会計問題などを開示した上場企業数は35社あるそうで
す。確かに最近、不正が明るみに出るケースが多くなっていると感じます。こ
のような対応手順が整ってくるとまだしばらく、不正が出てくるような気がし
ます。監査をする側もされる側も緊張感をもって対応すべきですね。不正は隠
してもろくなことはありません。バレなければいいという考えは捨て、会社の
ために明るみに出すべきと考えるべきです。しかし、監査を行う会計士は重大
な職責を担っていますね。監査報酬にも反映されるとよいのですが。

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3.[IFRS] SECスタッフ・ペーパーとFAFのコメント・レターのおさらい
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2011年5月26日SECが「考えられる組込方法の探究」(スタッフ・ペーパー)公表
2011年11月15日FAF(FASBの評議員会の母体組織)が上記スタッフ・ペーパーへ
のコメント・レターを提出

これらをおさらいしてみます。

【SECのスタッフ・ペーパー】
(基本概念)
・米国がグローバルな会計基準の継続的な開発にコミットしていることを示す。
・「米国会計基準」を維持し、米国の法律、規制、及び契約文書に新しい会計
基準を導入することのコストと複雑性を回避する。
・米国の資本市場において適用される会計基準について主権を維持する。コン
ドースメント・アプローチでは、IFRSの組込みに当たり、米国内の承認プロセ
スを設ける。
・グローバルな財務ホ報告制度は前進しているが、国や文化による差が引き続
き存在する可能性が高いことを認識する。この結果、共通の財務報告基準に基
づく、比較可能性が高い、高品質の会計基準を開発することが当面の現実的な
目標となる可能性がある。
・米国会計基準からIFRSに基づく国際的な会計基準の共通のプラットフォーム
への緩やかな移行をもたらす。

【FAFのコメント・レター】
(FAFの評議員会が提案するアプローチ)
1組のグローバルな会計基準は追及に値する目的であるものの、予見可能な将
来における、より現実的な目標は、最も発達した資本市場間で、共通の国際的
な会計基準に基づき、比較可能性が高い(ただし、必ずしも同一ではない)財務
報告基準を開発することにあるとの信念を前提にしている。

(プロセス)
・FASBとIASBはMOUにおける共同プロジェクトを完了させる。
・FASBは新たにIASBのアジェンダに追加されたプロジェクトについて、2者の
共同で会計基準を開発することはなくなる。
・米国はFASBが積極的に関与しながら、IASBがこれらの会計基準を開発する
のを待つ。
・FASBは、米国会計基準とIFRSの間に残る重要な差異に対処するためのプロ
セスを開発する。

つまり、規準を満たす国際的な会計基準は米国会計基準に組み込むというこ
となのですが具体的なところはちょっとぼやけていてわかりづらいですよね。
いずれにしても、SECは未だ米国の発行企業の財務報告制度にIFRSを組み込
むかどうか、また、組み込むとした場合のその方法について意思決定を行っ
ていないのですが、日本の今後を考えるうえでも重要です。

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4.[最新J-GAAP]問題28
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[問28]
役員賞与5,000千円を定時総会で決議する予定です。事前確定届出は一切出し
ていない。実効税率40%で、税効果考慮すると仕訳は?

[答]
a.役員賞与引当金繰入額5,000千円/役員賞与引当金5,000千円
b.役員賞与引当金繰入額5,000千円/役員賞与引当金5,000千円
 繰延税金資産 2,000千円/ 法人税等調整額 2,000千円
c.仕訳なし

a.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b07kwst0vjv3926qpyu0P
b.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b07kxst0vjv3926qpyfXs
c.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b07kyst0vjv3926qpycBd

[前回の解答]
前回の解答はcです。

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5.[編集後記]
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しかし、驚きました。太平洋が民事再生ですか。

http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b07k0st0vjv3926qqyZKm

日本のゴルフ場のビジネスモデルって本当に成り立つものなのかどうか、業界
全体で再考すべきなのではないでしょうか。
会員権にしても、権利というものはやはりキャッシュフローの裏付けと見合う
価格に落ち着くはずですよね。
ちなみにゴルフ会員権の預託金については民事再生の申請をしただけでは貸倒
引当金はとれませんし、もちろん貸倒損失にもなりません。今後の再生計画に
おいて、預託金が一部切り捨てられることが認可されれば、貸倒損失になりま
すけど、そうでなければ退会でもしないかぎり貸倒引当金の計上は認められま
せん。優先プレー権は存続しますからね。

http://k.d.combzmail.jp/t/2732/b07k1st0vjv3926qqy43Y

法基通9-7-12ご参照ください。なお、貸倒引当金は平成24年4月1日から制限さ
れるのはご紹介ずみですね。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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