◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.346-2016.07.25
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]積水化学の所得隠し
2.[最新J-GAAP&IFRS]のれんをめぐる議論
3.[監査]監査法人のガバナンスコード
4.[編集後記]

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1.[税務]積水化学の所得隠し
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積水化学工業株式会社に対する税務調査の結果について報道されていますが、
記事をみていますと、内容がよく理解できないものもありますので、同社のホ
ームページで報告されているものをみてみましょう。

http://www.sekisui.co.jp/news/2016/1286765_26476.html

更正を受けたようですが、更正通知は、

・所得額:約6.2億円(子会社分1.6億円含む)
※うち約4千3百万円(子会社分3百万円含む)が重加算税加算対象
・税 額:約2.5億円(子会社分0.8億円含む)

とされているようです。

この重加算税加算対象としているもの所得ベースで約4千3百万円(子会社分
3百万円含む)が、報道されている「取引先との接待飲食費を課税対象になら
ないように処理するなどし」ている分でしょうね。

皆様ご存知のとおり、

「飲食等」のために要する費用(社内飲食費を除きます。)であって、その支
出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下で
ある費用は、交際費等から除かれます。

人数を水増しすると、交際費等から除かれたように装うことができますが、積
水化学ではこれが調査でばれたということですね。

これは間違いなく、重加算の対象となる仮装・隠蔽の対象となるわけですね。
この額から言って、そのような報告の仕方が蔓延していたということなのでし
ょう。

コンプライアンス意識が低いということになりますね。内部統制もどうなって
いたのか。

考えてみましょう。

三人で行ったときの飲食費が16,000円だったとして、これを四人に水増しする
と、どうなるのでしょうか。

本来であれば交際費等に含まれるとして、全額否認の対象になるところ、1/2
を損金に入れられることになります。

つまり、実効税率を33%とすると、16,000円×1/2×33%=2,640円税金が少なく
なるというわけです。

でもこれが見つかれば、2,640円納付するだけではなく、過少申告加算税、重
加算税などを納付する必要が出てきます。過少申告加算税は10-15%、重加算
税は35-40%ですから、キャッシュ・フローからみても全くバカなことになりま
すし、企業の信頼も落ちます。そもそも水増しって、誰を水増ししていたので
しょうか。まさか、得意先の人ではないですよね。そんなことが発覚したら、
どうなるのでしょうか。

水増しは、絶対にやめましょう。

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2.[最新J-GAAP&IFRS]のれんをめぐる議論
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金融庁は、平成28年7月22日の企業会計審議会第4回会計部会の議事次第を
公表しています。

http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/kaikei/20160722.html

このなかのASBJが配布した資料の中にのれんの償却に関する議論の状況がまと
められています。

(IASBにおける議論の状況)

IFRS第3号「企業結合」の適用後レビューを受け、2015年2月より「のれんの
事後の会計処理(償却の再導入の是非)」「減損テストの改善」等をリサーチ
・アジェンダとして審議を行っている。

のれんの償却の再導入の是非については、IASBのボードメンバーの間でも、会
計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)のメンバーの間でも、大きく意見
が分かれている。

のれんの減損の改善に関する議論(取得前ヘッドルーム・アプローチの検討)
を行っている。

(FASBにおける議論の状況)

公開企業の会計処理については、のれんの減損の簡素化が検討されており
(2016年5月に公開草案を公表)、のれんの事後の会計処理については、IASB
と協働することとされている(非公開企業では10年償却オプションを導入済)。

IASB、FASBともに、両者のコンバージェンスを維持することが重要である旨を
表明している。

という状況なのですが、IASBにおける議論の状況のなかにある取得前ヘッドル
ームアプローチというものがどういうものか、調べてみました。

こちらの6Pに図解がありますのでご参照ください。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20160421/20160421_07.pdf

(1)企業結合に際して、のれんを取得者の既存の資金生成単位(CGU)又はその
グループ(以下「CGU 等」という。)に配分することを見込んでいる場合、
以下の金額(以下「PAH」という。)を計算する。PAH が生じる要因の一部
は、既存のCGU等に係る自己創設のれん相当額である可能性がある。

・のれんを配分することが見込まれるCGU等について、企業結合がなかったらと
いう仮定を置いた場合の回収可能価額と、当該のれんを配分する前のCGU 等
の帳簿価額を比較し、回収可能価額が帳簿価額を超える金額

(2)当該のれんを含むCGU等の減損テストにおいて、当該CGU等に係る回収可能
価額と、当該CGU等に係る帳簿価額とPAHの合計額を比較する。

(3)仮に(2)の回収可能価額が帳簿価額とPAHの合計額を下回る場合、その差額
(減損損失の額)を、まずのれんに配分し、次いでPAHに配分し、残った減損
損失の額をのれん以外の認識されている資産に配分する。

(4)PAHは企業結合時に計算した金額で固定し、原則として、再計算しない。
ただし、同一CGU等に別ののれんが再配分される場合は、改めてPAHを計
算する。

ということですね。現行ルールでは、既存事業が好調なら、取得したのれん
部分が毀損していても減損に至らないケースがありうるということかと思いま
すが、このルールでは既存事業分は除いて判定するということですね。ただ、
このPAHは固定しておくということのようですので、実際は既存事業の価値が
増加していて、取得した分の価値が下がっている場合でも、減損に至らない可
能性もあるのでしょう。

のれんの償却の再導入についても可能性は残されていると思います。

色々と調べているなかで個人的に注目したのは、以下のコメントです。

IASBボード会議において、ASBJ事務局及びEFRAG事務局が共同で報告したのれ
ん及び減損に関する定量的な分析についてなされたコメントです。

「分析ではのれんが爆発的に増えていないように見えるが、調査対象の2007年
から2014年の期間は深刻な危機の時代を含んでおり、この時期にのれんが安定
的ということは減損が十分でないことを示している可能性もある。」

「のれんの金額が増加していることや、多くの米国企業において純資産の50%
超ののれんが計上されていることに留意する必要がある。買収によりのれんが
計上されるとともに株価が上がり、その後の買収でより多額ののれんが計上さ
れるというメカニズムは、バブル生成メカニズムに類似している点を警告した
い。」

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3.[監査]監査法人のガバナンスコード
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金融庁の「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」(第1回)の
議事次第が公表されています。

http://www.fsa.go.jp/singi/governance_code/siryou/20160715.html

我が国における監査法人のガバナンス・コード策定の意義(論点)として、以
下の点が掲げられています。

(1) 最近の事案における問題点
(2) 監査法人における近時の取組みの評価
(3) パートナー制と実態の乖離
(4) 乖離を埋めるコード策定の必要性
(5) 監査法人の組織的な特性
(6) 経営陣のマネジメントの知見の重要性
(7) 人材啓発・人事評価
(8) マネジメント・ガバナンス機能強化、透明性の向上
(9) 監査の担い手の多様化との関係
(10)その他

いくつかご紹介すると、
(1)においては、「東芝事案で明らかとなった問題点をどのように評価するか。
単なる会計士個人の力量や審査態勢、品質管理態勢の問題だけでなく、監査法
人のマネジメントの問題と捉えるべきとの指摘について、どのように考える
か。」と言っており、要は東芝問題を受けてのものです。

(8)においては、「イギリス及びオランダにおいては、監査法人のマネジメン
トやガバナンス、透明性の向上のため、ガバナンス・コードが導入されている
が、我が国においても、監査法人のガバナンス・コードを策定し、
・経営執行態勢(マネジメント)やリーダーシップの強化
・経営執行態勢の充実を支えるガバナンス機能の強化
・透明性の向上
等を図っていくことが考えられるが、どのように考えるか。」
と言っています。諸外国もやってるから考えたほうがいいですかね、
ということなんでしょう。

いつもいつも監査人側が問題になりますが、経営者の教育と罰則の強化の話を
より真剣に考えてもらいたいです。

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4.[編集後記]
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少々夏バテ(というより気温差についていけてない?)気味ですが、皆様はいか
がでしょうか。今回、少し短めですが、ご容赦いただきたく、、。

うちのうさぎは元気になってきました!えさを十分に食べるようになったので、
口から薬を直接飲ませる必要もなくなりました。手術後は、つかまえようとす
ると、興奮して逃げるので、なかなかつかまえられず、困っていたのですが、
えさを食べてくれれば、えさに含ませることで薬を飲ませられるので、助かっ
ています。検査の結果は、やはり癌(!)だったようです。怖いですね。うさぎ
は症状がわかりにくいので、血尿ですぐに病院連れて行って本当によかったで
す。まあ、もうとってしまったわけですし、まだまだ長生きしてもらって、う
ちのアイドル的存在でいてくれないと。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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