【Weekly accounting journal】vol.331~消費税再延期?~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.331-2016.03.28
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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移転価格文書の作成、更新はお済ですか?
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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]移転価格文書(ローカルファイル)はどのように作成するのか
-機能及びリスク分析
2.[税務]消費税10%再延期へ?
3.[最新J-GAAP]金利スワップの特例処理
4.[最新J-GAAP&税務]建物附属設備と構築物の定額法への変更は正当な理由
に基づく会計方針の変更にあたるか?
5.[編集後記]
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1.[税務]移転価格文書(ローカルファイル)はどのように作成するのか
-機能及びリスク分析
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前回のメルマガでお伝えしたように、機能及びリスク分析は、移転価格文書の
作成において非常に重要なプロセスになります。
我々のような専門家が分析を行う場合、会社の各部署に対してインタビューを
行い、得られた内容をもとに分析を行いますが、どの担当者に対してインタビ
ューを行うかによって得られる情報も変わり、移転価格文書の結論にも影響が
ありますので、提出していただく資料やインタビューに対応して頂く方の人選
については慎重になる必要があります。一方、自社で情報を集める場合は、偏
った情報にならないように注意する必要があります。
機能分析の対象となる機能は、おおまかに研究開発、製造、品質管理、購買、
販売及びマーケティング、経理や人事といった一般管理等に分けられます。
1.研究開発
会社の利益の源泉である無形資産は、研究開発活動から生じることが多いと思
います。どこでどのような研究開発が、誰の負担によって行われているかにつ
いて記載します。
2.製造
製造計画の策定等、製造に関する機能について、各社が果たしている役割を記
載します。
3.品質管理
品質基準の策定や品質管理について、各社が果たしている役割を記載します。
4.購買
原材料の調達先の選定や調達計画の策定等、各社が果たしている役割を記載し
ます。
5.販売及びマーケティング
市場開拓や販売網の構築、広告宣伝やアフターサービスの実施方法など、各社
が果たしている機能を記載します。
6.一般管理
経営企画、情報システム、経理、人事等管理部門の機能を記載します。
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(記載例)
5.機能及びリスク分析
5-1 機能分析
EL社は親会社としてグループ全体の管理機能を有している。ELインドネシ
ア社はインドネシア国内において、製造機能及び販売機能を有している。
(1)研究開発
EL社は世界一の食品加工販売会社を目指し、継続的な研究を行っている。
重要な商品開発に関連するすべての無形資産はEL社が保有している。すべ
ての研究開発は○○県××市に所在する研究開発センターにおいて行われて
いる。研究開発センターの人員は○○名である。ELグループの20XX年度
の研究開発は××百万円であった。
ELインドネシア社は研究開発活動を行わないが、現地仕様にあわせて製品
の改良を行うことがある。
(2)製造
EL社及びELインドネシア社は大豆加工品の製造活動を行う。製造計画の
策定は各社が独自の計画に基づき行う。
(3)品質管理
EL社の品質管理は品質管理部が担当している。製造過程で不具合が出た
場合、品質保証部が対応している。
ELインドネシア社も同様に品質保証部を有している。通常、ELグルー
プの品質管理基準によって管理がされているが、稀に自社で対応が困難な場
合はEL社が必要な支援を行うことがある。
(4)購買
EL社は製造に必要な原料を調達し、ELインドネシア社に販売している。
ELインドネシア社は原則として原材料をEL社から輸入しているが、一部
の原材料を自社の意志決定に基づき第三者から購入することがある。この場
合、EL社が取引に関係することはない。
(5)販売及びマーケティング
インドネシア市場における新規顧客の開拓や販売網の構築は、EL社が関
与することはなく、ELインドネシア社が独自に行っている。インドネシア
市場における広告宣伝活動は、ELインドネシア社が独自に行っている。
(6)一般管理
EL社及びELインドネシア社はそれぞれ管理部門を有し、各社が自社の
資金管理や経理業務についての責任を負っている。
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2.[税務]消費税10%再延期へ?
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既にみなさんご承知とは思いますが、産経が報じました。
http://www.sankei.com/politics/news/160328/plt1603280011-n1.html
「安倍晋三首相が平成29年4月に予定していた消費税率10%への引き上げ
を見送る方針を固めたことが27日、分かった。」
「5月18日に発表予定の28年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値な
どを見極めて最終判断し、同26、27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミ
ット)の前後に正式に表明するとみられる。」
景気減速への懸念と、中小・零細企業での準備作業の遅れからこのような報道
になっているのでしょうけれども、当の安倍首相は、28日の衆院予算委員会で
否定しています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160328-00000054-jij-pol
「リーマン・ショック、大震災級の出来事が起こらない限り、予定どおり消費
税を引き上げていく考えだ」
どうもまわりがあおっている感じがしますね。
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3.[最新J-GAAP]金利スワップの特例処理
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ASBJは、平成28年3月23日、銀行から借入金につき、金利スワップでヘッジ
を行っている状況で、マイナス金利となった場合の取扱いを検討しています。
(概要)
借入金;変動金利支払
金利スワップ;変動金利受取、固定金利支払
(論点)
借入金については、「~適用金利の計算結果が負の数値になった場合には、単
に利息としての性格を有する金額がなくなるに留まると解することに合理性が
認められる」との見解があります。
金利スワップについては、「当事者が適用金利の下限をゼロとする条項を選択
しない限り、適用金利がマイナスになった場合には、変動金利相当額を本来受
け取る側の当事者が変動金利相当額の絶対額を支払うことが原則とされており、
この場合、マイナス金利に基づいて当事者間で支払いが行われるものと考えら
れる。」とのの見解があります。
上記の見解を踏まえ、
借入金の変動金利
→金銭消費貸借契約にマイナス金利を想定した明示の定めがない場合、
かつ、
ゼロを下限とする。
金利スワップ
→マイナス金利となった。
という場合、
借入人からみると、借入金の変動金利の「受取」はないが、金利スワップの変
動金利の「支払」が出ることになるのだと思います。
この場合に、金利スワップの特例処理が継続できるのか?というのが論点です。
(金利スワップの会計処理の確認)
原則→金利スワップの時価評価
特例→金利スワップの諸条件が対象資産や負債とほぼ同一である場合、その金
銭の受払の純額等を当該資産又は負債に係る利息に加減して処理するこ
とができる
ということになっています。
(検討結果)
「次の観点から、平成 28 年 3 月決算においては、これまで金利スワップ
の特例処理が適用されていた金利スワップについて、特例処理の適用を
継続することは妨げられないものと考えられる。
→金利スワップの特例処理については、金利スワップとヘッジ対象となる
負債の条件等が完全に一致していることではなく、ほぼ同一であることを要
件としている中で、現時点では、実際に借入金の変動金利がマイナスとなっ
ている例は少ないと考えられ、仮にマイナスとなっている場合でも、借入金
の支払利息額(ゼロ)と金利スワップにおける変動金利相当額とを比較した
場合、通常、両者の差額は僅少と考えられること」
というわけです。とりあえず、平成28年3月期においての対応を出してきたと
いうことですね。まあ、とりあえず28/3は特例処理継続でオーケーというこ
とになりますが、今後の動向に注意が必要ですね。
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4.[最新J-GAAP&税務]建物附属設備と構築物の定額法への変更は正当な理由
に基づく会計方針の変更にあたるか?
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こちらも検討が始まりました。結論は出ていないのですが、ご紹介しておきま
す。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/minutes/20160323/20160323_05.pdf
論点として整理されたのは、以下です。
・当面の取扱いとして、緊急避難的な措置を講ずることが適切であるか否か。
・仮に緊急避難的な措置を講ずる場合、前提を設けるべきか(例:今後の減価
償却に関する会計基準レベルの検討)。
ここで、緊急避難的な措置とは、
「当面、従来、いわゆる税法基準により減価償却方法を定めてきた企業が、税
制改正に合わせ、平成28年4月1日以後に取得する建物付属設備及び構築
物から定額法に変更する場合に、当該減価償却方法の変更が正当な理由
に基づく会計方針の変更に該当することを定める措置」
をいいます。こちらも今後の動向に注意が必要ですね。
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5.[編集後記]
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娘の受験が終わり、息子も高校入学というタイミングですので、月曜日に一日
お休みをいただいて三連休として、家族四人で京都、大阪を旅行してきました。
計画していた頃は、今年は桜の開花が早そうでしたので、満開の桜の可能性も
期待していたのですが、やはり、ここのところの寒さで、咲いてはいるものの、
一部咲き、位でしたでしょうか。まだ、様子見という感じでした。京都は半日
でしたので、ちょっと強行でしたが、伏見稲荷、三十三間堂、銀閣、哲学の道
と回り、大阪は、ユニバーサルスタジオジャパンと大阪城に行ってきました。
久しぶりの家族四人の旅行は、子供たちのたくさんの笑顔にふれることが出来
て、本当にいい思い出になりました。ユニバーサルスタジオジャパンは、楽し
いんですけど、乗り物苦手な私はかなり疲れてしまいましたが、一方で京都は、
私だけでなく、皆その魅力にとりつかれたようで、またみんなで行こう、とい
うことになりました。いつまでも親と旅行に行ってくれないでしょうから、早
く企画して早く実現したいですね。しかし子供はどんどん成長しますね。一日
一日を大切にしなければいけないと思いました。お休みありがとうございまし
た。
公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。
トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/
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公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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