◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.328-2016.03.07
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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移転価格文書の作成、更新はお済ですか?
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エキスパーツリンク、公認会計士紺野良一にご意見、ご要望、ご相談など
ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]移転価格文書(ローカルファイル)はどのように作成するのか
- 取引内容の把握 2
2.[最新J-GAAP]「退職給付」マイナス金利、今週中に方針
3.[税務]中小企業庁「消費税軽減税率(案)への対応に関する資料」
4.[税務]軽減税率導入盛り込んだ関連法案衆院通過
5.[編集後記]

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1.[税務]移転価格文書(ローカルファイル)はどのように作成するのか
 - 取引内容の把握2
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個別の取引内容については、取引を項目ごとに分類したうえで以下のように記
載します。いずれの取引も商流図(フローチャート)を用いて記載しましょ
う。

1.棚卸資産取引
製品や材料の取引等が該当します。契約書等に基づき、どのような棚卸資産
が取引の対象となっているのか、取引通貨や販売価格の設定方法、支払条件、
年間取引額などを記載します。

2.ロイヤルティ等の無形資産取引
 特許権等権利化されたもののほか、製造ノウハウ、顧客リスト等が該当しま
す。棚卸資産の取引と同様、取引に関連するグループ企業や無形資産の範囲、
取引通貨、支払条件、年間取引額等について記載します。ライセンスについ
ては、ライセンスとサブライセンスとの区別についても記載します。

3.役務提供取引
 役務提供についても他の取引と同様、取引に関係するグループ企業や役務提
供の内容、役務提供の時期や期間、役務提供の条件、年間取引金額等を記載
します。

4.金銭の貸借取引
 金銭の貸借取引については、貸借する通貨、貸借の時期、貸借期間、金利の
設定方法、利払いの方法、担保の有無などを記載します。

記載例

4.関連者間取引の内容
4-1 EL社及びELインドネシア社間における検証対象取引の概要
 EL社は第三者であるKK商事から大豆を購入し、ELインドネシア社に販売し
ている。ELインドネシア社は購入した大豆を現地で加工し、第三者である
卸売業者を通じて消費者に販売している。関連者間における各取引は、以下
のように区分される。

A EL社におけるELインドネシア社に対する大豆の販売取引
B EL社における大豆加工用製造部品の製造ノウハウの許諾取引
C EL社からELインドネシア社に対する金銭消費貸借取引

4-2 各取引の概要
A  大豆の販売取引
 ELインドネシア社は、EL社から大豆を輸入し、自社で加工したうえで国内
向けに販売を行っている。2015年12月期における大豆の輸入額は、XXX百万
円である。
 EL社のELインドネシア社に対する大豆の販売価格は、FOB(Free on Board)
によるものとし、販売価格はEL社が第三者から購入する価格に10%を乗じ
た金額としている。
 ELインドネシア社は、日本から出荷した月の翌月末日までにUSドルで代金
を支払う。

B  大豆加工用製造部品の製造ノウハウの許諾取引
EL社はELインドネシア社と間で、ELインドネシア社が大豆加工品を製造す
るために必要な技術特許および技術ノウハウを供与するとともに、その技
術を使用してインドネシア国内で製造された大豆加工品を販売する技術援
助契約を締結している。EL社は当該技術等の使用許諾の対価として、ELイ
ンドネシア社の純売上高の3%をロイヤルティとして、USドルで収受して
いる。2015年12月期におけるロイヤルティ受領額は、約XX百万円である。

C 金銭消費貸借取引
ELインドネシア社はEL社から金銭を借り入れており、当該借入金に係る利
息をELへ支払っている。借入金総額はXX億円、貸借期間は20XX年1月1日か
ら20XX年12月31日までの5年間、円建てで金利は年1.475%の固定金利であ
る。利息については3か月毎に支払う条件となっている。

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2.[最新J-GAAP]「退職給付」マイナス金利、今週中に方針
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退職給付債務等の計算における割引率は、安全性の高い債券の利回りを基礎と
して決定します。この安全性の高い債券の利回りには、期末における国際、政
府機関債及び優良社債の利回りが含まれます。

現在、10年ものまでの国債の利回りはマイナスです。

ASBJは、3月4日、退職給付会計にマイナス金利を適用するかについて検討する
と表明しています。9日に開く委員会で「割引率」の算定にマイナス金利を適用
するのか、金利をゼロとして計算するのか議論されます。今週中には方針が示
されるようです。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGD04H3X_U6A300C1DTA000/

この結論には留意が必要ですね。仮に金利をゼロとして計算することになれば、
要支給額100%を積めばいいような気もしますが、そうはならないんですかね。

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3.[税務]中小企業庁「消費税軽減税率(案)への対応に関する資料
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中小企業庁のホームページに「消費税軽減税率(案)への対応について」とする
資料が掲載されました。

http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2015/151225keigenzeiritsu.htm

3月2日に更新されたものです。

再度、売上税額、仕入税額の計算の特例を振り返っておきましょう。

○売上税額の計算の特例
課税売上高が5千万円以下の中小事業者は、軽減税率制度の導入から4年間、
中小事業者以外も、軽減税率制度の導入から1年間に限り

(1)仕入れを管理できる卸売事業者・小売事業者
 →「売上に占める軽減税率対象品目の売上割合」
    と
  「仕入れに占める軽減税率対象品目の仕入れの割合」
    は概ね一致
  
“軽減税率売上割合
=軽減税率対象品目の仕入額 / 仕入総額”
※簡易課税の適用を受けない卸売業・小売業を営む事業者が対象

(2)(1)以外の事業者
→仕入れた商品を加工して販売する場合は、(1)の方法は不適切
→仕入れの区分経理が行えない事業者は、(1)を使えない

“軽減税率売上割合
=通常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の売上額
/ 通常の連続する10営業日の売上総額”

(3)(1)(2)の計算が困難な事業者
 →仕入れの管理も、10日間の売上の管理もできない場合は(1)(2)いずれの方
法でも売上税額の計算ができない

“軽減税率売上割合
=50/100”

○仕入れ税額の計算の特例
軽減税率制度の導入から1年間、

(1)売上げを管理できる卸売事業者・小売事業者
  ※仕入れた商品をそのまま販売する卸売業や小売業は、
→「売上に占める軽減税率対象品目の売上割合」
    と
   「仕入れに占める軽減税率対象品目の仕入れの割合」
    は概ね一致

“軽減税率仕入割合
=軽減税率対象品目の売上額/売上総額”
※簡易課税の適用を受けない卸売業・小売業を営む事業者が対象

(2)(1)の方法では仕入税額の計算ができない事業者
 →課税売上高が5千万円以下の中小事業者について事後選択により、簡易課
税制度の適用を受けられることとする。
   ※現在は、課税期間の開始前に選択します。
   ※中小事業者以外についても、同様の特例があります。

取扱い品に軽減税率対象品目が含まれる場合は、よく検討しておきましょう。

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4.[税務]軽減税率導入盛り込んだ関連法案衆院通過
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上述の軽減税率ですが、これを盛り込んだ税制改正関連法案が衆院で可決され、
参院に送付されました。3月末までに成立する可能性が高まっています。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS01H54_R00C16A3PP8000/

「軽減税率の導入に合わせ、事業者は様々な対応を求められる。小売業者は8
%と10%の2つの税率に対応したレジを導入する必要がある。卸売業者と取
引する際の受発注システムの改修も必要になる。昨年末に業界団体は制度開
始まで1年半程度の準備期間が必要だと訴えており、事業者は悪影響が生じ
る業務の見直しを早期に進めないと間に合わない状況だ。」

これについては、上述の「消費税軽減税率(案)への対応について」にも記載さ
れていますが、

・中小の小売事業者等に対するレジの導入・システム改修等支援の補助金が予
定されています。
また、
・POSのレジシステムや受発注システム・経理システム等について、制度改正
に対応するために行うソフトウェアの改修は、一般的にソフトウェアの効用
を維持するために行われる支出に該当するとして、費用として処理できるも
のとされています。
→これ、機能の追加のような気もします。資本的支出にあたりそうな気もし
ますが、修繕費に該当すると扱ってくれますので、注意しましょう。

そもそも、本当に税率上がるのか?という疑念をもってしまうような話も聞こ
えてきますけどね。

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5.[編集後記]
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千葉県大多喜町のふるさと納税はすごいですね。お金もちの方々が多額に使っ
ていたのかもしれません。日経にも出ていましたが、大多喜町の返礼品は、
「ふるさと感謝券」。従来は1万円の寄付に対して7千円分の感謝券を返礼して
いました。大多喜町でしか使えないのでは意味ないと思われるかもしれません
が、大多喜町には大多喜百貨店という百貨店があるようで、ここのECサイト
を使えばブランドものや家電が買えるわけです。ここで「ふるさと感謝券」を
使えばいいわけです。ホームページみればわかりますけど、欲しい商品は取り
寄せてくれます。ということは、なんでも買えるわけですね。この「ふるさと
感謝券」、ネットオークションで額面の7割程度で売買されるようになってい
たそうで、要は換金できていたわけですね。7割で売買ということは、ふるさ
と納税した額の70%*70%=49%換金できる、つまり、税金を49%減らせるという
ことでしょうか。さすがに、これはちょっと。ということで、返礼の上限が
1回の寄付につき6万円とされました。インターネットの申し込みサイトに転
売禁止が表記され、4月からは感謝券自体も転売禁止になります。すばやく立
ち回った人は儲けた、というわけですか。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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