◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.319-2016.01.04
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[NEWS]東芝関連リンク集
2.[最新J-GAAP]「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の公表
3.[NEWS]明治監査法人とアーク監査法人の合併
4.[税務]BEPS文書化の範囲
5.[編集後記]

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1.[NEWS]東芝関係リンク集
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危機感がないと言われても仕方ないのかもしれません。

○新日本監査法人、遅すぎた「トップの辞任」
http://toyokeizai.net/articles/-/98627

「株主に対する責任を果たす上で、監督官庁から“著しく不当な運営”と指弾
された監査法人に任せ続けることが妥当なのか。きっちりと議論しないとい
けない」

「同様に、委員会設置会社に移行している、ある巨大非製造業会社も「監査委
員会は、監査法人の再任、不再任などの議案を取締役に提出する役割を担っ
ているが、当社の同委員会では3月から4月の取締役会に議案を提出するよう
なスケジュールで意見を出し合っている」と説明する。」

「年明けの取締役会で監査法人問題を議論しないわけにはいかない」(上場す
る非製造業)

「監査役が監査法人の見直しを強く主張している」(上場する製造業)

だそうです。クライアント防衛のために、早急に対応策と個別企業への説明が
必要だと思います。既視感がありますね。

○東芝、自己資本比率10%割れでどうなるか
http://toyokeizai.net/articles/-/98500

「当期純損失が膨らんだことで、今期末の自己資本は大きく毀損する。1兆円
 を大きく割り込み、4300億円になる見通しだ。自己資本比率も10%以下に
 落ち込む。」

「WHが再減損なら危機的水準か」

だそうです。これ、かなりやばそうな。ソニー、パナソニック、シャープ、東
芝、ですか。日立は大丈夫なんですよねえ。心配になってしまいます。

○新日本、”正月休み返上”会議の気になる中身
http://toyokeizai.net/articles/-/98959
昨日、今日と会議しているそうです。

「新日本は2015年12月29日、年が明けた2016年1月3日、4日と半ば正月休
 み返上で、上級社員であるパートナーを集めた会議を開催。12月29日には
 執行部から今回の事態に関する説明がなされ、さらに1月3日には執行部
 が策定した再発防止策案が示される。そして、4日までに執行部案を叩き
 台にした議論が行なわれるようだ。」

これはもう、急いでやったほうがいいですよね。

○東芝不正、金融庁機関も見抜けず 11年に監査法人を検査
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201512/CK2015123002000100.html

「不正会計問題を起こした東芝を監査した新日本監査法人に対し、金融庁の公
 認会計士・監査審査会が二〇一一年、検査に入り、東芝の監査の実態を調べ
 ていたことがわかった。金融庁は新日本に二十一億円の課徴金納付を命令し
 たが、新日本は一時、「審査会の検査で東芝の監査は問題なしとされた」と
 主張。検査が不正発見につながらなかったばかりか、お墨付きを与えた形に
 なり、審査会は検査方法について検討を始めた。」

「新日本に対しては、審査会と連携し、「日本公認会計士協会」も定期的に調
 べていたが、東芝の不正会計を発見することはできないままだった。」

困りましたね、って。見抜けないと思いますよ。

○年明け早々から重大な危機に直面している新日本監査法人
http://blogos.com/article/152670/

「昨年末、私の事務所宛に、「新日本に所属する一会計士」からの手紙が届い
 た。」
そうです。

「“郷原先生、一刻も早く助けてください。新日本監査法人所属の一会計士で
 す。 新日本監査法人執行部が腐りきっています。ペンの力で是正をお
 願いいたします。”」

ときました。読んでいくなかで、思わず、「これだな!」とつぶやいてしまい
ましったのが、以下です。

「東芝側の監査人をリスペクトもしない一業者としての扱いの中で、果たして
 会計士監査が十分に機能発揮できる現場環境下にそもそもあったのかどうか、
 そこが最大のポイントです。」

「業者としての扱い」なんですよ。この感覚。私もわかります。まあ、仕方な
い面もありますよね。日本を代表する企業なわけですから、みなさん優秀なわ
けです。特に、新人会計士なんて、会社からみれば、経理の現場を全く知らな
い人間に見えるでしょうし、会社の方は四六時中、問題と向き合っているわけ
で、「お前に何がわかる?」という感覚を持っている方もいらっしゃるのでは
ないかと思います。要するに、なめてるんですよね。監査人を。ですから、私
はもう、経営者に粉飾について思い罰を課すか、監査人に強大な権限を与える
かしかないと思っています。そう思うと、この匿名の手紙、年次の浅い会計士
が書いたもののように思えますね。

引き続き、検討して、お伝えしてまいります。

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2.[最新J-GAAP]「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の公表
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とうとう出ました。

ASBJは、平成27年12月28日、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指
針」を公表しています。

https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/zeikouka2015/

これ、全上場企業に影響あると思います。結果的に変更の必要はないという企
業さんも多いと思いますが、検討は必要になるはずですので、ご注目ください。

(適用時期)
平成28年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用しま
す。たたし、平成28年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年
度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用することができます。

(変更点)
・(分類1)から(分類5)に係る分類の要件をいずれも満たさない企業の取扱い
 →過去の課税所得又は税務上の欠損金の推移、当期の課税所得又は税務上
  の欠損金の見込み、将来の一時差異等加減算前課税所得の見込み等を総
  合的に勘案し、各分類の要件からの乖離度合が最も小さいと判断される
  ものに分類します。

・(分類2)及び(分類3)に係る分類の要件
 →従来の基準「監査委員会報告第66号」では、(分類2)及び(分類3)につい
  て、「経常的な利益(損益)」という会計上の利益に基づく要件とされて
  いたのに対し、本適用指針では、「臨時的な原因により生じたものを除
  いた課税所得」という課税所得に基づく要件に変更しています。

・(分類2)に該当する企業におけるスケジューリング不能な将来減算一時差
 異に関する取扱い
 →(分類2)に該当する企業においては、原則として、スケジューリング不能
  な将来減算一時差異に係る繰延税金資産について、回収可能性がないもの
  としつつ、スケジューリング不能な将来減算一時差異のうち、税務上の損
  金の算入時期が個別に特定できないが将来のいずれかの時点で損金に算入
  される可能性が高いと見込まれるものについて、当該将来のいずれかの時
  点で回収できることを企業が合理的な根拠をもって説明する場合、当該ス
  ケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産は回収可能性
  があることになります。

・(分類3)に該当する企業における将来の一時差異等加減算前課税所得の合理
 的な見積可能期間に関する取扱い
 →(分類3)に該当する企業においては、臨時的な原因により生じたものを除
  いた課税所得が大きく増減している原因、中長期計画、過去における中長
  期計画の達成状況、過去(3年)及び当期の課税所得の推移等を勘案して、
  5年を超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に
  係る繰延税金資産が回収可能であることを企業が合理的な根拠をもって説
  明する場合、当該繰延税金資産は回収可能性があることになります。

・(分類4)に係る分類の要件を満たす企業が(分類2)又は(分類3)に該当する場
 合の取扱い
 →過去(3年)又は当期において重要な税務上の欠損金が生じていること等に
  より(分類4)に係る分類の要件を満たす企業においては、重要な税務上の
  欠損金が生じた原因、中長期計画、過去における中長期計画の達成状況、
  過去(3年)及び当期の課税所得又は税務上の欠損金の推移等を勘案して、
  将来の一時差異等加減算前課税所得を見積もる場合、将来において5年超
  にわたり一時差異等加減算前課税所得が安定的に生じることを企業が合理
  的な根拠をもって説明するときは(分類2)に該当するものとして取扱い、
  将来において概ね3年から5年程度は一時差異等加減算前課税所得が生じ
  ることを企業が合理的な根拠をもって説明するときは(分類3)に該当す
  るものとして取り扱うことになります。

(会計方針の変更)
これらを適用初年度の期首において適用することによる差額は会計基準等の改
正に伴う会計方針の変更として取り扱うことになります。

(適用初年度の取扱い)
当該年度の期首時点で差額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減することに
なります。
ただし、資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等については、適用初
年度の期首のその他の包括利益累計額又は評価・換算差額等に加減します。

当然、注記は必要になりますからね。

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3.[NEWS]明治監査法人とアーク監査法人の合併
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明治監査法人とアーク監査法人は、平成28年1月4日に合併することで合意し
ています。

明治監査法人は、
人員:39名(内、公認会計士:33名)、クライアント数:上場会社11社を含む33社

アーク監査法人は、
人員:42名(内、公認会計士:30名)、クライアント数:上場会社16社を含む38社
だそうです。
http://ark-audit.com/news00/news01/2625.html

お知らせまで。

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4.[税務]BEPS文書化の範囲
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BEPS行動13「移転価格の文書化」を踏まえた改正の概要が、平成28年度税制
改正大綱で示されたのはお伝えしたとおりですが、このうち「国別報告書」で
対象となる「構成事業体の範囲」につき、

・持分法適用関連会社は含まれないことが明らかになりました。
一方で、
・規模の重要性から非連結となった子会社などは含まれることになりました。

ちょっとよくわからないですね。移転価格税制の対象となる国外関連者の定義
と連結財務諸表の範囲は別ものです。持分法適用関連会社でも、国外関連者に
該当するケースはあると思います。引き続き注視します。

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5.[編集後記]
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新年あけましておめでとうございます!
今年も続けられるかどうか、若干不安はありますが、頑張って続けたいと思い
ます。皆様の「読んでますよ~。」の声がかなり励みになっていますので、な
んでもいいのでコメントいただければ本当に幸せです。
この年末年始は異様に忙しかったですね。年賀状もほとんどコメント書くひま
ありませんで、皆様大変失礼しました。先週書いた夜回りなどもあり、本当、
休みをとったのは、31日の午後と元日のみという感じでした。元旦の0時には、
神社で甘酒のんでましたし。元日は娘の合格祈願で亀戸天神に初詣に行きまし
たし。忙しいのは全然嫌いではないので、いいんですけどね。みなさんもどし
どし質問とかください。誠意をもってお答えしますので。
今年もご愛読のほど、よろしくお願い申し上げます。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)inactive 紺野良一
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