【Weekly accounting journal】vol.300~寄付金課税と移転価格~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.300-2015.08.23
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]寄附金課税と移転価格税制
2.[NEWS]東芝の第三者委員会の調査スコープ
3.[税務]登録国外事業者名簿が公表されました
4.[税務]リバースチャージの申告書おさらい
5.[NEWS]機械に奪われそうな仕事ランキング1~50位!会計士は2位!
6.[編集後記]
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1.[税務]寄附金課税と移転価格税制
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当社では国内子会社、海外子会社の業績が軌道に乗るまで、取引価格を下げる
等の支援を行っています。国内子会社と海外子会社に対する寄附金の取り扱い
は違うのでしょうか?
国内子会社に対する一定の寄付金については、一定の限度額内で損金に算入す
ることができますが、海外子会社に対する寄附金は移転価格税制の取り扱いと
の整合性を図るため、全額が損金不算入として取り扱われます。
海外子会社に対する寄附金課税として、以下のような事例があります。
(1)日本の親会社から海外子会社へ社員を出向させているが、出向社員分担
金の受け入れがない。
(2)海外子会社の生産ライン立ち上げに際し日本の親会社が設計、設備の試
運転等を行ったが、その報酬の支払が行われていない。
(3)海外子会社がある地域での販路拡大のため、広告宣伝費を日本の親会社
が負担している。
(4)日本の親会社が無償で提供した図面をもとに海外子会社が現地で生産し、
直接顧客に販売している。
(5)日本の親会社が海外子会社へ金銭を無利息で貸し付けている。
一般的な寄附金は、損金算入限度額の範囲内であれば損金算入が認められて
いますが、国外関連者に対する寄附金はその全額が損金不算入となります。
これは、同じ国際間の所得移転にも関わらず、損金算入限度額がればその分
だけ寄附金のほうが有利になるため、平成3年に国外関連者に対する寄附金の
全額損金不算入の制度が導入されたことによります。
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2.[NEWS]東芝の第三者委員会の調査スコープ
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今度はこのような記事が出ています。
http://president.jp/articles/-/16024
東芝の不適切会計をめぐっては、第三者委員会の報告書が提出されているわけ
ですが、今回の第三者委員会の活動には多くの疑問があると訴えています。弁
護士の郷原信郎氏による記事です。
疑問点として挙げられているのは、まず、
・その期間が僅か2か月余りと極めて短期間に設定されていること
・調査対象も四つに限定されていること
だとしています。
この調査対象は、
1)工事進行基準案件に係る会計処理、
2)映像事業における経費計上に係る会計処理、
3)ディスクリート、システムLSIを主とする半導体事業における在庫の評価に
係る会計処理、
4)パソコン事業における部品取引等に係る会計処理
です。
まさに会計処理だけですね。
また、その目的についてですが、
「設置の時点では、日弁連第三者委員会ガイドラインに準拠した委員会とされ
ていた。同ガイドラインは、基本原則として「第三者委員会は、すべてのステ
ークホルダーのために調査を実施し、その結果をステークホルダーに公表する」
と規定している。ところが、公表された報告書には、「本委員会の調査は、東
芝から委嘱を受け、東芝だけのために行われたもの」と明記されている。」
との指摘を受けています。
要するに監査法人を調査の対象に加えなければいけないでしょう、という話で
すね。
今回のような形の第三者委員会もあり得るとは思いますが、今回のケースでそ
れで十分だったのかどうか、疑問ですね。
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3.[税務]登録国外事業者名簿が公表されました
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すでにお伝えしてきたとおり、
「電気通信利用役務の提供のうち、事業者向け電気通信利用役務の提供以外の
ものについては、当該役務の提供を行った事業者が申告・納税を行うこととな
ります」
この場合、
「国外事業者が行う消費者向け電気通信利用役務の提供は、当該役務の提供を
受けた国内事業者において、当分の間、当該役務の提供に係る仕入税額控除が
制限されます」
ただし、
「国税庁長官の登録を受けた登録国外事業者から受ける消費者向け電気通信利
用役務の提供については、その仕入税額控除を可能とする」
こととされています。
で、この「登録国外事業者」が公表されました(少な!半分アマゾン!)。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/cross/touroku.pdf
こちらから役務の提供を受けた場合は、仕入税額控除がとれることになります。
ご注意ください。
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4.[税務]リバースチャージの申告書おさらい
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リバースチャージによって消費税の申告書がどうなるか、おさらいしておきま
しょう。
そもそも、国内において国外事業者から受けた「事業者向け電気通信利用役務
の提供」及び「特定役務の提供(芸能人やプロスポーツ選手からの役務提供な
どです)」を「特定課税仕入れ」といい、この「特定課税仕入れ」がリバース
チャージ方式による申告の対象となります。
さらにこれらの申告の対象となるのは、(簡易課税ではなく)一般課税により申
告する事業者で、課税売上割合が95%未満の事業者です。
で、申告書は3か所、変更されています。
・「特定課税仕入に係る別表の提出有」欄ができた(申告書)。
→特定課税仕入れについて申告書別表の提出を行う場合に「○」を記載しま
す。
・「課税標準額」の欄に、「課税標準額の内訳」として、「課税資産の譲渡等
の対価の額」に加え、「特定課税仕入れに係る支払対価の額」という欄が
できている(申告書)。
→リバースチャージによる課税標準額を記載します。
・「課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)」「課税仕入れに係る消費税額
(8)×6.3/108」に加え、「特定課税仕入れに係る支払対価の額」「特定課
税仕入れに係る消費税額(10)×6.3/100」という欄ができている(申告書付
表2)
→リバースチャージ部分に係る課税仕入額及びその消費税を記載します。リ
バースチャージ部分については、6.3/100となっており、6.3/108ではない
ことにご注意ください。
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5.[NEWS]機械に奪われそうな仕事ランキング1~50位!会計士は2位!
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英オックスフォード大学が2013年に発表した論文で今後10~20年で47%の仕
事が機械に取って代わられる高いリスクがあるとしている、という話、以前
も話題になっていたかと思いますが、改めて記事になっており、機械に奪わ
れそうな仕事ランキングで会計士が2位にはいっていたということが話題に
なっています。
http://diamond.jp/articles/-/76895
「奪われる仕事のトップは14兆円規模の小売店販売員だった。Eコマースの
進展などを鑑みればそれは容易に想像できるが、2位に挙がってきたのは会
計士で、代替市場規模は11.8兆円に上る。
ある監査法人の会計士は「確かに会計士の仕事の8割は機械に代わる作業かも
しれない」と述べる。会計士の重要な仕事である決算数値の誤りの発見まで、
今後、人工知能を用いた機械が取って代わる可能性はかなり高い。」
としています。そうですかね~。
単純な記帳業務なども含んでいるということなのではないでしょうか。「会計
士」というより「会計関連業務全般」といったほうがよいのかもしれません。
確かに、「会計関連業務全般」全般と考えると、ルールに従って処理すること
自体は機械が最も得意とするところでしょうから、その分野は機械に依存して
いくことになるでしょうし、それはそのほうが人間社会全体にとっていいこと
かと思います。
ただ、「会計士」という専門職が行う仕事が機械に奪われる、とまでは思わな
いですね。会計士ロボットが来て監査をする?ちょっと、想像つきませんね。
今のところ。
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6.[編集後記]
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300号だったみたいですね。300回か。まだまだ通過点だと思ってます!今後
ともご愛読よろしくお願いします!
今年も健康診断を受けてまいりました。ここのところ張り切ってやってるウォ
ーキングと食事制限によるダイエット効果が出て、体重は許容範囲までさがっ
てきました。また、これに連動しているのか、中性脂肪が大幅に下がりました。
総コレストロールとHDLコレステロールが高いみたいですが、後は特に問題な
く、全体では一応B判定でした。来年はコレステロールも基準値内に戻したい
と思っています。
ところで、最近、「人食いバクテリア」なるものが猛威をふるっているという
話ご存知でしょうか。記憶で書きますが、初期症状は発熱や手足の痛みなどで、
風邪と似たような症状だったりもするようですが、恐ろしいのは、手足の壊死
により切断等しなければならなくなってしまったり、場合によっては死に至る
ケースもあるようです。致死率は30%とのこと。さらに恐ろしいのは、感染から
48時間以内に適切な処置をしなければ手遅れになってしまう可能性があるとの
こと。なんでしょう。これ、こんなのが東京はじめ、全国的にはやりつつある
ようです。これは恐ろしいですね。国は適切な対処をしてほしいものです。下
手をすると、お隣の国で大騒ぎになったMARSのようなことにもなりかねません。
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公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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