◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.292-2015.06.28
      
    ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]移転価格ポリシーの構築
2.[税務]改めて生産性向上設備投資促進税制B類型
3.[監査]才和有限責任監査法人に対する処分
4.[NEWS]トーマツ社員が?
5.[最新J-GAAP]税効果会計の新たな課題
6.[NEWS]日本再興戦略
7.[編集後記]

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1.[税務]移転価格ポリシーの構築
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 国際税務担当飯田の記事です。

移転価格ポリシーとは、企業グループ間で行われる取引の価格設定に関する基
本方針を言います。

具体的には、グループ間における取引価格の算定方法、利益水準指標、取引単
位、価格の見直し時期についての方針などを、棚卸資産、役務提供、無形資産
(ロイヤルティ)、金銭の貸借取引等ごとに定めることです。

移転価格ポリシーの構築は、親子間の取引だけではなく、海外子会社間の取引
についても定める必要があります。その際、移転価格分析(経済分析)が必要
になりますが、グループ全体で行えば、どの国においても移転価格文書の作成
に役立ちます。また、どの国で移転価格調査が行われても、グループとしての
整合性を保つことができます。

移転価格ポリシーを構築することは、税務問題に対処するだけではなく、企業
グループ全体にとっての経営問題に対処することにもなります。

その理由は、企業グループとしてどの地域に市場参入をしていくのか、どの地
域を製造拠点にするのか、研究開発拠点をどこに置くのかなど、事業前略を実
行するにあたって、グループ各社がそれぞれどのような役割を果たすべきなの
かについても考慮しなくてはならないからです。

次回は、移転価格ポリシー構築のプロセスについて紹介します。

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2.[税務]改めて生産性向上設備投資促進税制B類型
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節税に関する気づきをもたらすような情報の提供は常に続けていかなければい
けないと思っています。

もしかしたら、貴社の取得する固定資産について、生産性向上設備投資促進税
制B類型が適用できるんじゃないでしょうか?

もう一度確認してみましょう。

生産性向上設備投資促進税制は、A類型とB類型があります。A類型は工業会
等が最新モデルであることを証明するものを取得した場合に適用できますが、
Bはどうでしょうか。

類型 ; 生産ラインやオペレーションの改善に資する設備

対象設備 ; 「機械装置」「工具」「器具備品」「建物」「建物附属設備」
「構築物」「ソフトウェア」のうち、「投資計画における投資利
益率が年平均15%以上」(中小企業者等は5%以上)

確認者 ; 経済産業局

その他要件; 生産等設備を構成するものであること/最低取得価額要件を満た
していること/国内への投資であること/中古資産・貸付資産で
ないこと等
対象者 ; 青色申告をしている法人・個人(対象業種や企業規模に制限はな
い)

税制措置 ; 平成28年3月31日までは即時償却と税額控除(5%。ただし、建
       物・構築物は3%)の選択制
平成28年4月1日から平成29年3月31日までは特別償却(50%。
ただし、建物・構築物は25%)と税額控除(4%。ただし、建物・構
築物は2%)の選択制
※ 税額控除5%とは、対象設備の取得価額の5%相当額を当期に支
払う法人税額等から控除する(差し引く)ことを指す。ただし、
本税制による控除額の上限は当期の法人税額等の20%

「投資計画における投資利益率が年平均15%以上」(中小企業者等は5%以上)とい
う要件ですが、これは具体的には、以下の算式によることになります。

<算式>

「営業利益+減価償却費」の増加額/設備投資額

分子の「減価償却費」とは、会計上の減価償却費で、「営業利益+減価償却
費」とは、設備の取得等をする年度の翌年度以降3年度の平均額をいいます。

また、分母の「設備投資額」とは、設備の取得等をする年度におけるその年度
等をする設備の取得価額の合計額をいいます。

例えば、「設備を新設する」とか「新規に出店します」とかいう場合に適用で
きそうです。

B類型の場合、経済産業局の確認の前に公認会計士又は税理士が
・対象設備の確認(投資目的に必要不可欠な設備であることの確認)
・投資利益率要件を満たしていることの確認(投資の効果としてのリターンの
 算出方法の確認等)
を行う必要があります。その上で、経済産業局に申請するわけですが、設備の
取得等の前に確認をとる必要がありますので、申請には余裕を持たせる必要が
あります。

このB類型は、先端設備でなくてもいいんです。また、計画した投資利益率を
達成できなかったからといって、税制措置の取戻し等の規定はありません。

手続はそれなりに大変ですが、メリットも大きいものと思われます。是非ご検
討ください。

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3.[監査]才和有限責任監査法人に対する処分
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才和有限責任監査法人に、業務改善命令(業務管理体制の改善)と、一年間の業
務の一部の停止命令(契約の新規の締結に関する業務の停止)が出されています
ね。

http://www.fsa.go.jp/news/26/sonota/20150626-10.html#01

このような処分をみますと、いつも、人のふり見てわがふり直せという感覚に
なります。

公認会計士に与えられた社会的使命から外れることのないようにしたいと思い
ます。

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4.[NEWS]トーマツ社員が?
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こんな事件あったんですね。

http://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20150626.html

強制わいせつって。。。

あまり報道されていないような気がします。名前などは公表されていないよう
ですね。社員ですから、監査報告書にサインしている人なんでしょうね。どう
なるのか。

もちろん然るべき償いをはたさなければなりません。

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5.[最新J-GAAP]税効果会計の新たな課題
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税効果会計に関する実務指針が日本公認会計士協会から企業会計基準委員会に
移管され、見直しされていますが、以下の新たな実務上の課題が挙げられ、議
論されるようです。

http://www.tabisland.ne.jp/news/news1.nsf/2a03c8904e6f853f492564990021bb43/258c91199b89bf6549257e6f0079a8f9?OpenDocument

(1) 実務上一定の課題が識別され、多くの企業に影響を及ぼす論点-税効果会
  計に適用される税率(公布日基準の取扱い)

(2) 会計基準間の整合性に関する論点-連結納税制度と企業結合における税効
  果会計の整合性、子会社の留保利益に係る税効果(連結税効果実務指針に
  おける定めとの整合性)など。

(3) 国際的な会計基準での取扱いに関連する論点-未実現損益の消去に係る税
  効果(繰延法か資産負債法か)など

(4) 取引の発生頻度が必ずしも高くはない論点-100%子会社間での子会
  社株式等の売買に係る税効果など

(5)その他
 
特に(1)については、東京都のように条例公布日が決算日をまたいだものの翌日
すぐに公布されているような場合等で、従来の標準税率と超過税率の差額で推
定することが本当によいのでしょうか。やはり議論されるようですね。

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6.[NEWS]日本再興戦略
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平成27年6月22日、第22回産業競争力会議で「日本再興戦略」改訂2015(素案)
が提示されています。

http://www.kantei.go.jp/jp/headline/seicho_senryaku2013.html#c15

こちらの改訂戦略における鍵となる施策として

・「攻め」のガバナンス体制の強化
・ 企業と投資家の建設的な対話の促進
・ 金融機関における経営支援機能の強化等の一層の推進
・ 成長志向の法人税改革

が挙げられています。

この法人税改革は、

「日本の立地競争力を強化するとともに、我が国企業の競争力を高めることと
 し、その一環として、法人実効税率を国際的に遜色ない水準に引き下げるこ
 とを目指し、現在進めている成長志向の法人税改革をできるだけ早期に完了
 する。

 そのため、平成28年度税制改正において、平成28年度における税率引下げ
幅の更なる上乗せを図り、その後の年度の税制改正を含め、数年で法人実
効税率を20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続する。

 財源については、アベノミクスの効果により日本経済がデフレを脱却し構造
 的に改善しつつあることを含めて、経済・財政再生計画(仮称)との整合性
 を確保するよう、課税ベースの拡大等による恒久財源の確保をする。

 実施に当たっては、経済・財政再生計画(仮称)で定められた財政健全化の
 目標達成の必要性に鑑み、目標達成に向けた進捗状況を確認しつつ行う。」

ということです。税収は増えてますからね。間違いなく法人税率は下げられそ
うです。

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7.[編集後記]
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救急車の有料化が議論されているそうですね。軽症者がむやみに呼ぶケースが
増えているためだということのようですが、有料化で経済的に困窮されている
方が救急車を呼ぶのを躊躇してしまうようではいけません。確かに軽症者が救
急車をむやみに呼ぶことはこの高齢化社会においては抑制すべきでしょう。か
といって、軽症者からお金をとるとした場合、どこまでが軽症者か難しい問題
になりそうです。悪質なケースは注意する等にとどめるわけにはいかないので
しょうかね。それを通り越しているのでしょうか。
私は救急車三回乗ったことがあります。尿管結石、右足骨折、駅の階段で転落
(酔ってはいませんでした)の三回です。このうち、前の二つは救急車モノかな、
と思いますが、最後の駅の階段での転落は、結果的になんともなかったので、
微妙な気もしてきます。私は別に大丈夫だと訴えたのですが、駅の職員の方々
が呼んでくださったんですね。こういうケースは、有料になれば、駅員さんた
ちも、より慎重になるでしょうね。
外国では一回数万円も請求されることもあるようですので、三回も乗った人間
としては、まあ、無料であってほしいと思います。

公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。

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個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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