【Weekly accounting journal】vol.289~FIFAの監査~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.289-2015.06.05
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]ホンダが第2審も勝訴
2.[NEWS]FIFAの監査はKPMG
3.[税務]中小企業向けポイント資料(入門編)
4.[税務]消費税関係の新パンフレット
5.[税務]特別試験研究費税額控除ガイドライン
6.[編集後記]
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1.[税務]ホンダが第2審も勝訴
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国際税務担当飯田の記事です。
以前このメルマガでもお伝えした自動車メーカーホンダの移転価格課税につい
て、ホンダが国に移転価格税制による課税処分の取り消しを求めていた裁判で、
東京高裁は一審・東京地裁判決を支持し、国側の控訴を棄却しました。
判決などによると、東京国税局は2004年、ブラジル・マナウス自由貿易地域
にあるホンダの間接子会社の二輪車製造販売事業の利益の一部について「親
会社の日本側に帰属すべきだった」として追徴課税しました。日本-ブラジ
ル間の相互協議は決裂し、ホンダが不服として提訴していました。
一審の東京地裁では、現地子会社のある地域がブラジル国内で税制上の優遇を
受けている「マナウスフリーゾーン」内にあることを重視し「営業利益の59%
が税優遇によるもので、影響が大きい」と指摘しました。そのうえで、ブラジ
ル国内の別の地域で税優遇を受けていない同種企業と比較するなどして追徴課
税額を算定した東京国税局の手法を誤りとし、「移転価格税制の課税はできな
い」と結論付けました。
移転価格課税においては、対象となる法人の「機能」と「リスク」を分析し、
「比較対象」を選定して、移転価格上問題があるかを検討します。裁判では、
比較対象となる同種企業の選定に誤りがあったということです。
今回の裁判で、国側は新たに、営業利益率を総費用営業利益率(営業利益÷売
上原価+販管費)に、比較対象法人がマナウスフリーゾーンの税恩典を享受し
ていないことについて、差異の調整を行うと主張しました。
しかし東京高裁は、営業利益率で市場の類似性を判断しても、マナウスの税恩
典による利益が営業利益率に重要な影響を及ぼすと指摘しました。一審の判断
と同様に、市場の類似性のあるマナウスフリーゾーン内の法人を比較対象法人
とすべきと判断したことになります。
なお、第一審で国側は、「差異調整を行う必要はない」と主張していましたが、
今回の裁判では「差異調整を行う」と主張しました。こうした主張の変更は、
主張立証の対象が相当異なり、ホンダの負担も軽いものではないため、違法な
理由の差し替えとして採用できないとしています。
移転価格税制における裁判で、一審及び二審ともに国側が敗訴した例はありま
せん。国側が上告するかどうかは不明ですが、日経新聞によると、現時点で課
税処分が取り消された場合、還付加算金の額は30億円を超えるのではないか
と言われています。
移転価格課税を受けても、相互協議や訴訟で税金が戻ってくると考えてしまい
そうですが、今回の裁判のような例は稀であり、移転価格課税を受けない努力
を怠らないようにすることが重要です。
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2.[NEWS]FIFAの監査はKPMG
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FIFAの監査はKPMGが行っているようですね。
http://economia.icaew.com/news/june-2015/greg-dyke-questions-kpmgs-fifa-audit
FA(イングランドのサッカー協会)の議長、Greg Dykeは、
「誰かが監査人(KPMG)のところに行って、こういうべきだ。”ちょっと待っ
て!””この金は実際どこから来てどこにいったんです?””どの勘定にある
んです?””これについて知っていたんですか?”」
と言っています。
KPMGはこれに対して、
「FIFAの法定監査人として、プロフェッショナルの守秘義務に拘束され、我々
のクライアントに関するいかなるコメントも控えなければならない。」
と述べています。
どうやら簿外の口座を通じて処理していたようですので、KPMGの監査の不備は
なかったのか、注目されることになりそうです。
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3.[税務]中小企業向けポイント資料(入門編)
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内閣府のマイナンバー関連HPに、「中小企業向けポイント資料(入門編)」、
「動画でみるマイナンバー制度」が公表されました。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/index.html#c01
「中小企業向けポイント資料(入門編)」からかいつまんで記載してみたいと思
います。
○マイナンバーはこんな時に使います
(対従業員)
・社会保険関係手続
・源泉徴収票・給与支払報告書など税務手続
(対外注先(税理士等))
・報酬に係る支払調書手続
※個人事業主であっても必要です。
○事業者がマイナンバーを記載する書類(参考例)
(社会保険)
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得・喪失届等
(税分野)
・源泉徴収票、給与支払報告書等
・報酬等の支払調書
○税や社会保障関係の書類にマイナンバーの記載欄が加わります
・源泉徴収票のサイズがA6からA5になり、マイナンバー記載欄が加わります。
・その他もほとんどこのマイナンバー記載欄が加わるだけです。
○事業者が注意すべき4つのポイント
(取得)
・利用目的はきちんと通知又は公表する必要があります。社員にメールする
とか、社内掲示板に掲示するとか、イントラネットに公表するとかです。
・本人確認は厳格に行う必要があります。個人番号カードがあれば、1枚でマ
イナンバーの確認と身元の確認が可能ですが、個人番号カードを取得して
いない場合、10月から届く通知カードでマイナンバーを確認し、運転免許
証やパスポートなどで身元の確認が必要です。
(利用・提供)
・利用目的以外の利用・提供はできません。
(保管・廃棄)
・必要がなくなったらマイナンバーを廃棄又は削除する必要があります。
(安全管理措置)
・取扱責任者、事務取扱担当者などを明確にする等対応が必要です。
○事業者の対応例
・シュレッダー用意、カギ付棚を用意、ウイルス対策ソフト等々。
○事業者のためのマイナンバー準備スケジュール(例)
・10月以降、通知が届き次第、従業員等からマイナンバーの取得を始めるこ
とが可能になります。
・利用開始は、平成28年1月以降ですが、税の手続は平成28年分として主
に平成29年2月~3月の確定申告期になります。
・厚生年金・健康保険の手続は平成29年1月以降とされています。
・税理士や社会保険労務士に関係業務を委託することはこれまでどおり可能
です(委託契約の見直しなどを検討してください)。
とされています。弊所でも適切な対応をしてまいりたいと思います。ご質
問等ございましたらお気軽にお問合せください。
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4.[税務]消費税関係の新パンフレット
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国税庁は、以下のパンフレットを公表しています。
国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について(国内事業者
の皆さまへ)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/cross-kokunai.pdf
国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について(国外事業者
の皆さまへ)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/cross-kokugai.pdf
今回はリンクの提供のみにとどめます。ご参考ください。
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5.[税務]特別試験研究費税額控除ガイドライン
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平成27年度税制改正において、特別試験研究費税額控除制度が拡充されたこ
とを受けて、平成27年6月3日、新たなガイドラインを出しています。
http://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/tax/27FYguidline.pdf
特別試験研究費税額控除をご検討の方はご確認ください。
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6.[編集後記]
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今週も遅れてしまい、申し訳ございません。
スマホが壊れました。未だにIPHONE5を使っていたのですが、問題は感じてい
なかったので普通に使っていました。何度か落としたりしても、破損すること
はなかったのですが、先月だったか、先々月だったか、落としたときにガラス
にひびが入ってしまいました。今思えばすぐ直せばよかったのですが、機能に
支障はなかったので、そのまま使っていました。ところが先月下旬に更にもう
一度落としちゃったんですね。さすがにこれでもうガラスのひびどころか、本
体の上部のほうが一部欠けてしまいまして、機能もおかしくなりました。最初
はアプリのアイコンが微妙に震えていたりする程度でしたが、もう昨日には最
初のスライドのロック解除すらできなくなってしまいました。これを機に格安
に替えようと思いまして、格安を申し込んだところです。MNPの関係もあるの
で、移行にちょっと時間がかかっていますが、週明けには新しいスマホを持っ
ていたいなと思っています。
公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。
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個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/
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公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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