【Weekly accounting journal】vol.275~生産性向上税制について~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.275-2015.02.27
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させていた
だきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]生産性向上A類型証明書発行遅れ
2.[法務]民法改正案
3.[NEWS]金融商品取引法等改正(1年以内施行)等に係る政令・内閣府令案等
4.[監査]「監査品質の枠組み」公開草案の公表
5.[最新J-GAAP]繰延税金資産の回収可能性新ルール、4月にも草案
6.[編集後記]
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1.[税務]生産性向上A類型証明書発行遅れ
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お客様の申告のお手伝いをしていると、生産性向上A類型に該当することを証
する工業会の証明書の発行が遅れていて、申告に間に合わないかもしれない、
という話を聞くようになりました。
これについて、税務通信No.3349に記事が出ていたので、ご紹介します。
要は、「明細書の添付は必要だが、証明書の添付は適用要件ではない。ただ
期限後でも証明書は提出しておきましょう。」ということです。
(明細書)
生産性向上設備投資促進税制では、
「生産性向上設備等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書
(別表六(二十一))」←税額控除の場合
か、
「特定生産性向上設備等の特別償却の償却限度額の計算に関する付表(特別償
却の付表(七))」←特別償却の場合
は必ず必要です。申告ソフトに入っているでしょうから、これは必ずつけまし
ょう。
(証明書)
「申告書に明細書を添付することが必要となるものの、A類型における証明書
の添付は法令上の適用要件にはされていない。」「あくまでも証明書は同税制
の適用を受けられる設備であることの”参考”となるもので発行を受けた場合
にはその写しを添付することが求められている。」
ということで、
「明細書を添付して申告さえしておけば、要件を満たす設備については同税制
が適用できる。」「期限後に証明書を提出しても加算税等課されることもなく、
問題なく税務署で受け付けられるという。」
というわけで、証明書の発行が遅れても、税額控除や特別償却が出来ないとい
うことはありませんから、とりあえず明細書(別表)はつけて申告はしましょう。
それで入手次第、証明書は提出しましょう。
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2.[法務]民法改正案
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法務省は、平成27年2月23日、「民法(債権関係)の改正に関する要綱案」を公
表しています。
ポイントを押さえておきましょう。
・「約款」は民法に規定がありませんでしたが、「消費者の利益を一方的に害
し、信義則に反する条項は無効」となります。
・賃貸住宅において敷金や原状回復については規定がありませんでしたが、
「契約終了後、敷金は原則として借主に返金。借主は経年変化を修理する義
務なし」とされるようです。
・金銭賃借などの契約を交わした当事者同士が金利を特に定めなかった場合に
適用される「法定利率」は年5%から3%に下げられます。市場金利の変動
を踏まえて3年ごとに1%刻みで見直すそうです。これは、自動車保険の保
険金算出にも使われる利率で、交通死亡事故で被害者側が受け取る保険金の
増額などが見込まれているようです。
・未払い金(ツケ)の消滅時効は、現行では、飲食費1年、弁護士報酬2年、病
院の診療費3年など業種によってバラバラでしたが、原則「知ったときから
5年」に統一されます。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150224-00050119-yom-soci.view-000
今国会で成立すれば、2018年を目途に施行されるようです。企業会計上も意識
しておく必要がありそうですね。
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3.[NEWS]金融商品取引法等改正(1年以内施行)等に係る政令・内閣府令案等
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金融庁は、平成27年2月13日、金融商品取引法等改正等に係る政令・内閣府
令案等を取りまとめています。
項目を並べると以下のようになっています。
○金融商品取引法施行令の改正
【投資型クラウドファンディング等に係る制度整備】
(1)少額の有価証券の募集等の要件
(2)最低資本金等
【新規上場の促進や資金調達の円滑化等】
(1)大量保有報告制度における短期大量譲渡の基準
(2)内部統制報告書の監査証明を要しない期間の起算日
【金融指標に係る規制の導入】
(1)特定金融指標算出者による届出書類の提出期限
(2)業務規程の認可を受ける期限
○ 内閣府令の改正
【投資型クラウドファンディング等に係る制度整備】
・金融商品取引業等に関する内閣府令の改正
【新規上場の促進や資金調達の円滑化等】
(1)財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関す
る内閣府令の改正
(2)企業内容等の開示に関する内閣府令、特定有価証券の内容等の開示に関す
る内閣府令及び外国債等の発行者の内容等の開示に関する内閣府令の改正
【金融指標に係る規制の導入】
・特定金融指標算出者に関する内閣府令の新設
詳細はこちら
http://www.fsa.go.jp/news/26/syouken/20150213-3.html
特に、内部統制については、
「新規上場後3年間は内部統制報告書の監査証明を要しないこととされた。
これに伴い、当該規定を利用できない新規上場企業の資本の額その他の経営
の規模として、資本金100億円以上又は負債総額1,000億円以上と定めるこ
ととする。」
とされています。資本金100億円以上又は負債総額1,000億円以上でない新規
上場会社は、上場後3年間は、監査証明が必要ないだけで、内部統制報告書自
体は作る必要がありますから。
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4.[監査]「監査品質の枠組み」公開草案の公表
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日本公認会計士協会(監査基準委員会)は、平成27年2月26日、監査基準委員
会研究報告「監査品質の枠組み」(公開草案)を取りまとめ、公表しています。
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/post_1789.html
これは、会社法の改正及びコーポレート・ガバナンス・コードの原案が公表さ
れたことに伴い、今後、監査品質及び監査品質に影響を及ぼす要因に関する議
論の機会が増えることが想定されることから、そのような監査の利害関係者に
おける議論に資することを期待して取りまとめたものとのことです。
内容は、監査品質に影響を及ぼす要因として、
概要、インプット、プロセス、アウトプット、監査の利害関係者間の主な相互
作用、背景的要因といった項目でまとめられています。
また、付録として、インプット要因及びプロセス要因の検討項目-監査業務及
び監査事務所レベルというものが用意されており、それぞれの検討項目が列挙
されています。
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5.[最新J-GAAP]繰延税金資産の回収可能性新ルール、4月にも草案
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繰延税金資産の回収可能性に関する新ルールの草案が4月にもとりまとめられ
るようです。
「日本公認会計士協会の監査委員会報告第66号における企業の分類(5分
類)に応じた取扱いの枠組みを踏襲した上で、当該定めの一部を修正する内
容。例えば、(分類3)および(分類4)において、繰延税金資産の計上額
を決定する際、過去の課税所得の推移や将来の業績予測等を考慮する定めを
設ける。」
将来の業績予測が盛り込まれることは必要でしょうね。業績悪化要因を取り除
いた場合など、過去の課税所得の推移だけでは、回収可能性が過度に保守的に
見込まれる可能性があると思います。
開示の拡充について、
「1)回収可能性の判断で用いられる、企業の「5分類」そのものを開示させ
る、2)会社の分類ごとにそれぞれ異なる情報開示を求める、案が示され、そ
の有用性が議論された。」
との話ですが、繰延税金資産の回収可能性についての会社区分に関する監査人
の判断を示していることになり、財務諸表利用者は、この会社の業績見通しや
会社の存続性に関する監査人と判断と受け止めるような気がします。そこまで
必要なのでしょうか。疑問です。
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6.[編集後記]
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配信遅れ気味ですね。すみません。やはりこの時期少しタフです。
確定申告はお済でしょうか?給与が2000万円を超えている方、二か所以上か
ら給与の支給を受けている方、事業所得の有る方などは、所得税の確定申告を
3月16日までにする必要があります。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tokushu/teishutsu.htm
消費税は3月31日までです。確定申告によって還付になる方は早めに申告すれ
ば早めに還付を受けることができますのでね。やってしまいましょう。私も必
要なわけですけど、今年はもう申告を済ませて、実はもう還付も受けてしまい
ました。確定申告の繁忙期に入ってしまうと、自分の分は後回しになってしま
いがちなので、ここ数年は早めにすませるようにしています。私どもでも確定
申告のお手伝いをしていますので、面倒だとか、やり方がよくわからないなど
という方は、ご連絡ください。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
*URL: http://www.expertslink.jp
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