【Weekly accounting journal】vol.253~OECD報告書~
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☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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税務専門家として、会社側の視点にたった各種支援を行っています。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]OECDが移転価格文書化などBEPS行動計画の報告書第一弾公表
2.[最新J-GAAP]「組織再編等に係る会社と株主との取引をめぐる税務上の
論点整理」の公表
3.[法務]完全子会社創設の新手法
4.[税務]経団連は外形標準を容認していない
5.[税務]日本医師会の主張
6.[税務]問題164
7.[編集後記]
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1.[税務]OECDが移転価格文書化などBEPS行動計画の報告書第一弾公表
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週刊税務通信No.3328に従って記載します。
BEPSとは、Base Erosion and Profit Shiftingの頭文字で、「税源浸食と
利益移転」と訳されます。
つまり、
「多国籍企業が各国の税制の違いや租税条約等を利用して所得を軽課税国等に
移転し、グローバルに税負担を軽減している問題」のことです。このメルマガ
でも何度か紹介しているアップル、スターバックス等の話ですね。
今回の報告書は、OECDが2013年7月に公表した「BEPS行動計画」に対応した
ものです。この行動計画には15の項目が含まれています。
2014年9月~2015年12月の間に3段階でその対応策を勧告することとしていま
すが、今回はその15項目のうち、7項目について勧告等を行ったものです。
以下、その項目を見ていきましょう。
(1)電子経済の課税上の課題への対処
ここでは、課税上の課題として、物理的拠点を有しない電子経済において
PEをどう定義するか等をあげ、その対応策としてPE概念の拡張等のオプション
を提示しています。議論は2015年末まで継続。
(2)ハイブリッド・ミスマッチの効果の無効化
ハイブリッド・ミスマッチとは、「金融商品や事業体に対する複数国間の税
務上の取扱の差異」を指します。
ハイブリッド・ミスマッチを類型化したうえで、その効果を無効化するため
の措置を勧告しています。
(5)有害税制への対抗
個別の納税者との間で優遇税制適用上記用に関する事前確認を行っている税
務当局に対し、関連する他の当局にその内容に関する情報の自発的交換を義務
付けるフレームワークを作成するとしています。
(6)条約の濫用防止
租税条約の濫用防止のために最低限必要な措置の採用を勧告するなどとして
います。
(8)無形資産に係る移転価格ルールの策定
無形資産を定義するとともに、無形資産の価格算定で信頼し得る比較対象取
引が存在しない場合の評価方法としてDCF法を導入するとしています。
(13)移転価格関連の文書化の再検討
多国籍企業に、一定の様式に従い移転価格リスク評価のための情報の税務当
局への提供を義務付けるよう勧告しています。
具体的には、(1)マスターファイル、(2)ローカルファイル、(3)国別報告書の三
点の提供義務づけを勧告し、それらの共通様式を示しているようです。
従来の移転価格文書は(2)に近いものであったため、(1)と(3)の作成コストが追
加的にかかることになります。
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2.[最新J-GAAP]「組織再編等に係る会社と株主との取引をめぐる税務上の論
点整理」の公表
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日本公認会計士協会は、2014年9月16日、租税調査会研究報告第29号「組織
再編等に係る会社と株主との取引をめぐる税務上の論点整理」を公表しました。
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/29.html
平成22年度税制改正は、実務家にとって本改正内容がいまだに分かりにくい
部分もあることから、実務家に役立つ論点について整理を行ったとのことです。
内容は、
(1)組織再編等が行われた場合の所得計算上の株式投資額の取扱
(2)自己株式の取得・譲渡の課税上の取扱
(3)非適格合併における抱合株式の譲渡利益譲渡損失額の不計上
(4)平成22年度改正における主な資本金等の額と利益積立金額の改正点
(5)平成22年度税制改正後における配当と寄附
(6)グループ法人税制における「寄附修正」と連結納税制度における「投資簿価
修正」の相違
(7)平成22年度税制改正と無体化組織再編
(8)(参考)最近の組織再編成に関する訴訟事案について
興味深い内容になっていますので、いずれご紹介したいと思います。
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3.[法務]完全子会社創設の新手法
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会社法の改正(平成26年6月27日公布)により、キャッシュ・アウトを行うた
めの新たな手法として「特別支配株主の株式等売渡請求」の制度が創設されま
した。
http://www.zeiken.co.jp/keyword/content1409.html
ここで、キャッシュ・アウトとは、現金を対価として少数株主を会社から退出
させることをいいます。
総株主の議決権の90%(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合)
以上を直接または完全子会社等を通じて間接に保有する株主(以下、「特別支
配株主」という)が存する株式会社(以下、「対象会社」という)において、
特別支配株主がその他の株主の有する対象会社の株式すべてを現金対価により
当該特別支配株主に売り渡すことを請求できるものとされました
(会社法179条1項)。
これ、総会決議が要らないんですね。さらに、特別支配株主は会社だけに限ら
ず、個人も対象です。
90%ではなく、もう少し下げてもらえないですかね。
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4.[税務]経団連は外形標準を容認していない
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経団連が外形標準を容認したという記事が毎日新聞などでなされていたのです
が、当の経団連は否定しているようですね。
http://www.keidanren.or.jp/announce/2014/0922.html
容認していないということのようです。外形標準課税は人件費を多くすればす
るほど課税されるわけですから、雇用拡大に影響がありますので。まあ、普通
は反対しますよね。
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5.[税務]日本医師会の主張
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日本医師会の主張は面白いですね。
http://mainichi.jp/select/news/20140918k0000m010058000c.html
「現在非課税となっている保険診療を課税対象に転換したうえで、軽減税率
などの措置を導入するよう求める方針」
とのことです。
医師や、医療法人では、自由診療は課税なのですが、保険診療は非課税ですか
らね。仕入れで発生している消費税につき、仕入税額控除がとれないものが多
く発生しているのです。この分がバカになりませんから、非課税となっている
保険診療を課税対象に返還することによって課税売上割合を増加させ、仕入税
額控除をとろうというものですね。その課税税率も低ければ、あずかる額は少
なく、控除できる額は大きくなりますからね。
ちょっと、いいとこどりなんじゃないですかねえ。
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6.[税務]問題164
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[問164]
以下のうちもっとも(表面)法人税率が低いのはどこ?
a.日本
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.シンガポール
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.香港
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[答]
[前回の解答]
前回の正答はa。
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7.[編集後記]
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先週はとうとう発行できませんでした。創刊以来、初めてのことです。大変申
し訳ございません!この間のニュースもかなり多岐にわたっており、少しずつ
ですがキャッチ・アップしますので、ご容赦くださいませ。
実は、先週は研修で一週間シンガポールに滞在していました。日本公認会計士
協会の研修として行われるもので、昼間は大学で講義を受け、夜は現地の日本
人会計士さん、税理士さん、弁護士さんたちとの会食が毎日のように予定され
ておりまして、息つく間もないほどに駆け抜けてまいりました。予想はしてい
たものの、本当にあっと言う間で、もう終わってしまった、とあっけにとられ
ています。シンガポールにいながらもこのメルマガは発行しようと思っていた
のですが、やはり、過密スケジュールで、結局、対応できませんでした。
シンガポールの街は本当にエネルギッシュですね。特にマリーナベイサンズ
(三本のビルのうえに船のようなものが乗っかっている、あのビルです。) の
あたりは繁栄を謳歌しているかのようなギラギラ感を強く感じました。また、
研修はすべて英語で行われたのですが、やはりシングリッシュは聞き取りがキ
ツイですね。いい勉強になりました。追々、シンガポールのお話も盛り込んで
いきたいと思います。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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