【Weekly accounting journal】vol.192~活性化税制は貸付けはダメ?~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.192-2013.07.09
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]生産設備等投資促進税制の償却費
2.[税務]商業等活性化税制は「貸付けの用を除く」です!
3.[最新J-GAAP]無形資産
4.[最新J-GAAP]JESOP実務上の取扱公開草案
5.[最新J-GAAP]問題104
6.[編集後記]
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1.[税務]生産設備等投資促進税制の償却費
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以前このメルマガでも紹介しておりました生産設備等投資促進税制の償却費の
考え方ですが、税務通信No.3269にまた記事が出ましたので再度ご紹介します。
生産設備等投資促進税制については、前年度の設備投資額の110%相当額と一定
の償却費の額、この二つの額を上回る設備投資額がなされれば、税額控除か特
別償却ができるはずですが、
以前の税務通信No3261には、この判定の基準となる一定の償却費として
生産等設備投資促進税制の判定に係る償却費
=
会計上の償却費(無形固定資産やリース資産等に係る償却費も含まれる)
+
特別償却に係る金額
–
前年度までの償却超過額
–
当年度取得の機械装置の償却超過額
となるという書きかたがなされていたのですが、今回は、
「適用判定償却費には、(1)の金額が含まれ、(2)と(3)の金額が含まれない。
既報のとおり、生産等設備の対象外となる無形固定資産の償却費やリース資産
の償却費も含まれる。
(1)特別償却準備金の積立額等
(2)機械等の償却超過額(特別償却の適用により損金算入される金額は除かれる)
(3)前年度までに損金算入されなかった償却超過額」
という書きかたになっています。
前回の加減算の式に比べればわかりやすくはなったかもしれません(言っている
内容が変わっているように思いますけど)が、この(3)がわかりにくいのです。
「前年度までに損金算入されなかった償却超過額」を含めないとはどういうこ
となんでしょうか?例えば前年度に会計上償却費を税務上の損金算入限度額よ
りも多く計上している場合に、当年度に会計上の償却費が税務上の損金算入限
度額を下回っていたら、前年度に損金算入されなかった償却超過額が、当年度
において償却不足額として認容されてくる場合があります。これを含めないと
いっているのか?とすれば適用判定償却費は「税務上の償却費」そのものでは
ないということなのか?前年度に減価償却資産に減損損失を計上したら当年度
は認容が入ってくるはずですが、前年度は減損損失を償却費に含めず、当年度
はその認容額を含めなかったら、意味のわからない数値にならないでしょうか?
また、減価償却制度で「償却費として損金経理した金額」とされるものとして
法人税基本通達7-5-1に記載されている以下のものについては、適用判定償却
費に含めない取り扱いとなっているそうです。
・付随費用を原価外処理した額
・圧縮限度額超過額
・修繕費のうち損金算入されなかった金額
・低廉譲渡等取得資産の(時価)との差額
・除却損、評価損(減損損失も含まれる)で損金算入されなかった額
・少額資産等に係る消耗品費の額
・ソフトウェアの取得価額にすべき金額を研究開発費として損金経理をした金
額
まあ、これはいいですね。
平成25年度の法令解釈通達で示される予定とのことですが、早くしてほしいも
のですね。
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2.[税務]商業等活性化税制は「貸付けの用を除く」です!
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中小企業庁の商業等活性化税制のパンフレット
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2013/0401ZeiseiKaisei1.pdf
にも書かれていないような気がするのですが、
商業等活性化税制が規定されている租税特別措置法第四十二条の十二の三をよ
く読むと、
「~事業の用(貸付けの用を除く。以下この条において「指定事業の用」とい
う。)に供した場合には、~」
という記載になっています。「貸付けの用」を除くのです。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO026.html#1000000000003000000001002000000000000000000000000000000000000000000000000000000
中小企業庁の商業等活性化税制のパンフレットに
『「商業、サービス業等」とは以下の事業です。』として、
「~不動産賃貸業・管理業~」が含まれているので、不動産賃貸業の会社が、
賃貸する不動産に設備投資をする場合も当然含まれるだろうと考えたのですが、
中小企業庁に問い合わせたところ、これは含まれないのだそうです。「貸付け
の用」だからです。一方で、不動産賃貸業の会社がその本社に投資をする場合
はいいそうです。
不動産賃貸業は、貸すということ自体が事業なのですから、貸付けの用を対象
から除かれてしまえば、事業に係る設備投資をしても商業等活性化税制の対象
にはなりません。これは例えばお店を経営している小売業であれば、お店に投
資をした場合、商業等活性化税制の対象となることを考えると、なにやら公平
ではないように感じますが、いかがでしょうか?
貸付けの用は含みませんので、注意してください。
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3.[最新J-GAAP]無形資産
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企業会計基準委員会では、「無形資産に関する検討経過の取りまとめ」を公表
しています。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/domestic/sme20/?utm_source=submitmail&utm_medium=
内容簡単に拾ってみます。
包括的な会計基準に向けての検討
「しかし、一定の要件を満たした社内開発費を資産計上する方向で会計基準を
改正することについては市場関係者の合意形成が十分に図られていない状況に
あることや、IASB に対して「アジェンダ・コンサルテーション2011」へのコ
メントにおいて、社内開発費の取扱いについて適用後レビューの必要性の提案
を行っているところであることから、平成24 年1 月に、社内開発費について
は、当面の間、現行の費用処理を維持することを提案し、それ以外の論点を引
き続き検討していくこととした。」
「しかし、「企業結合時に識別される無形資産の取扱い」については、評価実
務も把握したうえで検討を行ってきたが、IFRS や米国会計基準とコンバージ
ェンスする方向での会計基準の見直しの要否について我が国の市場関係者の間
で意見が分かれているのみならず、財務諸表利用者の間でもそのベネフィット
の評価に関して意見が大きく分かれている状況にあるため、これらの状況を勘
案し、平成25年5月に当該論点については、継続的な検討課題とすることとし
た。」
「また、「他社から研究開発の成果を個別に取得した場合の取扱い」について
も、社内開発費の会計処理との整合性を重視して現状の取扱いを維持すること
とし、将来的に社内開発費の会計処理の検討が行われる場合には、その際に、
併せて検討することとした。」
というわけで、J-GAAP上、新たな基準としてまとまるまでには、かなりの調整
が必要な感じですし、そもそもこのまま立ち消えになるかもしれませんよね。
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4.[最新J-GAAP]JESOP実務上の取扱公開草案
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企業会計基準委員会は、平成25年7月2日
「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い
(案)」を公表しています。
基本的に委託者である企業においてオンバランスする会計処理のようですが、
今回は時間の都合上、ご紹介にとどめます。次回以降ご紹介したいと思います。
5.[最新J-GAAP]問題104
[問104]
投資会社P社は関連会社A社(出資比率20%)に持分法を適用しています。P社から
仕入れ、Aの期末の棚卸資産に含まれているものは100,000であり、P社の当該
棚卸資産に係る売上総利益率は40%です。
当該状況に対する連結修正仕訳として誤りは以下のうちどれ?税効果は無視し
ます。
[答]
a.売上高(P社) 8,000 / 投資有価証券 8,000
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.持分法による投資利益 8,000 / 投資有価証券 8,000
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.売上原価 8,000 / 棚卸資産 8,000
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はcです。
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6.[編集後記]
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消費税率アップが近づいてきました。といってもまだ9か月位ありますが、た
だ、請負に関する経過措置などではその半年前が「指定日」とされており、こ
の「指定日」の前に締結されたものであれば、「施行日」後の引き渡しでも
旧税率が適用されたりします。半年前ですから、この「指定日」は平成25年
10月1日です。そんなに先ではありません。この経過措置を戦略上考慮するの
であれば、この9月までで検討しておかなければなりません。また、3月決算ま
でであれば、今期までは旧税率で収まるでしょうけれども、4月以降の決算で
あれば、もう今期は期の途中で税率が上がる(だろう)ということになりますの
で、システム対応等可能かどうか前広に検討しておくべきだと思います。私ど
もも気がつく範囲でお話はさせていただきたいと考えておりますが、再度ご点
検ください。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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