【Weekly accounting journal】vol.190~注目!設備更新と減税~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.190-2013.06.26
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[IFRS]IFRS対応の当面の方針
2.[税務]注目!設備更新と減税
3.[最新J-GAAP] 我が国の引当金に関する研究資料
4.[税務]問題102
5.[編集後記]
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1.[IFRS]IFRS対応の当面の方針
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金融庁企業会計審議会は、平成25年6月19日、総会・企画調整部会合同会議
において、「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」
を取りまとめ、公表しています。
まとめてみます。
【IFRSへの対応のあり方に関する基本的な考え方】
(基本的認識)
・「単一で高品質な国際基準を策定する」目標は有効。我が国としても主体的
に取り組むことは重要。
・日本の会計基準は既に高品質かつ国際的に遜色のないものとなっているが、
引き続き、会計基準の国際的な調和に向けた努力は継続する必要がある。
・IFRS策定への日本の発言権を確保していくことがとりわけ重要。IFRS財団モ
ニタリング・ボードのメンバー要件である「IFRSの使用(強制または任意の
適用を通じたIFRSの顕著な使用)」を勘案すべき。その際、基本的考え方と
して受け入れがたい項目、導入コストが過大な項目、IASBにおいて開発中
の項目、米国の動向に不確実性が存在することを勘案すべき
(対応の方針)
「任意適用要件の緩和」
現行の
(1)上場していること
(2)IFRSによる連結財務諸表の適正性確保への取組・体制整備をしていること
(3)国際的な財務活動又は事業活動を行っていること
のうち、
(1)(3)を撤廃すべき。これによりIFRS任意適用可能企業数は大幅に増加する。
「IFRSの適用の方法」
・ピュアなIFRSを適用する選択肢は維持する必要がある。
・個別基準を一つ一つ検討し、必要があれば一部基準を削除又は修正して採
択するエンドースメントの仕組みを設けることは有用。日本が考える「あ
るべきIFRS」を国際的に示すことから有用。
・日本基準、米国基準、ピュアIFRS、エンドースメントされたIFRSという四
つの基準が存在することは、分かりにくく、利用者利便に反するという指
摘があるが、大きな収斂の流れの中での一つのステップと位置付けること
が適切。
・エンドースメントされたIFRSは強制適用を前提としたものではなく、あ
くまでも任意適用企業を対象としたもの。日本基準の高品質化は継続する。
・具体的なエンドースメントの手続はASBJが検討する。勘案すべき点は、会
計基準に係る基本的な考え方、実務上の困難さ、周辺制度との関連等。削
除又は修正は原敵的な範囲にすべき
「単体開示の簡素化」
・本表(貸借対照表、損益計算書及び株主資本等変動計算書)に関しては、会
社法の要求水準に統一する。
・注記、附属明細表、主な資産負債の内容に関しては、会社法の計算書類と
金商法の財務諸表とで開示水準が大きく異ならない項目については会社法
の要求水準に統一することを基本とする。金商法の連結財務諸表において
十分な情報が開示されている場合には、金商法の単体ベースの開示を免除
することを基本とする。その他は従来通りの開示が必要か検討。
・セグメント情報の充実や、注記等の記載内容を非財務情報として開示する
ことなどについて検討すべき。
・単体のみの会社は基本的に見直しを行うべきではない。
・規制業種については、特に単体開示の有用性が高いとの意見がある。要検
討。
エンドースメントの内容がどのようなものになるのか、気になるところです。
除外や修正の対象となりそうなものは、のれん、非上場株式の時価測定、等と
考えられます。
ややゴリ押し気味であったようで、議論も多いようです。以下ご参照くださ
い。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130624/250092/?P=1
前回ご紹介した自民党の提言は、こちらで公表されていますのでご参照くださ
い。
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/pdf111_1.pdf
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2.[税務]注目!設備更新と減税
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企業財務担当者としては、やはり注目しておかなければいけないと思います。
経済産業省と財務省が2014年の税制改正で検討している法人減税策の概要が判
明したとして、日経などで記事になりましたね。
会員限定記事
http://www.nikkei.com/article/DGXDASDF23009_T20C13A6MM8000/
概要把握しておきましょう。
○経産省、財務省、自民党税制調査会が設備投資更新に関連した法人減税策を
検討しています。
(1)設備廃棄による欠損金を前年度に納めた法人税から還付できる措置
※前年度に法人税を払っていない企業に対しては、翌年度以降に繰り越せ
る欠損金の割合を80%から100%に広げる案がでている
(2)減価償却費を一括して損金算入できる「即時償却」の導入
(3)研究開発支援
(1)については、
いわゆる「繰戻還付」ですね。前年に納めた法人税がどれくらいあるのかによ
り効果が変わってきます。見込まれる効果は、廃棄年度に、廃棄による欠損金
*税率の額だけ、還付によるキャッシュインがあるということになります。現在
一定規模以上の企業においては、「繰戻還付」は停止されていますので、新た
に税金が減らされる措置が生じたかのように思われますが、もともと、「欠損
金の繰越控除」(欠損金を将来の所得で控除する方法)は存在するわけで、この
措置により、所得の80%を限度とする措置があるとはいえ、将来利益がでるよ
うであれば控除は出来るわけで、そう考えると、「繰戻還付」の効果は、税金
を取り戻すタイミングが早まるということであり、税率の下落効果を除けば、
税額自体が減ったということにはならないはずです。
また、前年度に赤字だった場合には、還付しようにも還付できないわけで、こ
の「繰戻還付」の恩恵はありません。そのような場合には、翌年度以降に繰り
越せる欠損金の割合を80%から100%に広げるとのことですが、これは結局、こ
の措置がなければ翌年以降回収できる欠損金が80%しかなかったものが100%
になるという話ですから、キャッシュ・フローとしてはその将来年度において
回収が見込まれる欠損金*20%*税率だけ、これもまた、税金を取り戻すタイミ
ングが早まるということであり、税率の下落効果を除けば、税額自体が減った
ということにはなりません。
それでも、設備廃棄のインセンティブにはなりえるかもしれません。可能性が
ある場合は考慮にいれておきましょう。
(2)については、
現行、耐用年数にわたって償却している設備の取得価額を、事業供用時に一括
で償却してしまうというものですね。この場合、設備投資金額*税率の分だけ
投資事業年度のキャッシュアウトフローが減るということになります。現行制
度でも耐用年数にわたって償却して損金算入しているわけですから、この耐用
年数にわたって税金減額効果はあったわけですが、即時償却によってこの税金
減額効果が投資事業年度に一括して享受できるということになります。これも
税金を取り戻すタイミングが早まるということであり、税率の下落効果を除け
ば、税額自体が減ったということにはなりません。ただ、アメリカでも11年か
ら導入しているということですから、投資環境整備という意味でも導入は望ま
れるものなのかもしれません。
ちなみに会計上は即時償却するということにはならないはずです。会計上はあ
くまでも耐用年数にわたって償却しつつ、特別償却準備金などの方法により税
務上損金算入することになると思います。このため繰延税金負債が生じること
になるんでしょうね。
(3)については、
直近3年の平均を超える研究開発費や、売上高の10%を超える研究開発費の一
部を法人税から控除する制度の期限が13年末で切れるため、14年以降の延長
を検討するということですね。これは現行制度の延長という話ですから、メリ
ットではありますが、新たな減税という感覚にはならないですよね。
なお、法人税率の引き下げについては、1%で数千億円の減収につながるとのこ
とで麻生財務大臣は慎重なようです。
上記文中で「税率の下落効果を除けば」と書いたのは、法人の平成24年4月
1日から平成27年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度開始の日
から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度に適用され
る復興特別法人税のことです。この期間で生じる税金の減額効果とこの期間経
過後に生じる税金の減額効果とでは、前者のほうが効果が高いということにな
りますよね。
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3.[最新J-GAAP] 我が国の引当金に関する研究資料
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日本公認会計士協会(会計制度委員会)では、平成25年6月24日付けで、会
計制度委員会研究資料第3号「我が国の引当金に関する研究資料」を公表し
ています。
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1693.html
「実務上の指針として位置付けられるものではなく、実務を拘束するものでも
ない」
「国際財務報告基準(IFRSs)に照らした考察も併せて行っておりますが、同
様に我が国の引当金の考察を深める目的で行ったものであり、IFRSsの解釈
を示すものではなく、あくまでも現時点における一つの考え方を示したもの
に過ぎない」
ということですが、引当金に関する個別論点の洗い出し作業、及び注解18を
基に具体的な会計処理及び開示についての考察が行われていますので、参考に
なりそうです。
賞与引当金や役員賞与引当金のみならず、独占禁止法等の違反に関連する引当
金、リコール損失引当金など、多岐にわたっています。引当金はいざ計上する
となると結構色々検討することが多いです。検討時にはこの資料の存在を思い
出しましょう。このメルマガでもご紹介していきたいと思います。
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4.[税務]問題102
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[問102]
次のうち、税務署長に届け出が必要ではないものはどれ?
[答]
a.機械装置につき従来適用していた定率法を定額法に変更する場合
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.短期外貨建貸付金につき期末時換算法を適用する場合
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.棚卸資産につき低価法を採用する場合
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はbです。
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5.[編集後記]
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また、遅れてしまいました!
6月はやはり何かと忙しいですね。今回も断腸の思いではありますが、ちょっ
と無理だったなあという何か達観したような感覚が自分の中にあります。まあ、
あまり無理せず、とにかく続けて行こうと思っています。引き続きご購読いた
だければと思いますのでよろしくお願いします!
実は、バタバタして都議会選の投票にも行けませんでした。投票率が過去二番
目に低かったなどと聞くと、反省させられます。やはり、国政でも都政でも、
国民、都民が参加しなければいけませんね。期日前投票など活用すればよかっ
たなあと思い返しています。いややはりネット投票ですかね。一番ありがたい
のは。僕などからすれば。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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