【Weekly accounting journal】vol.189~土地建物同時譲渡~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.189-2013.06.18
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]土地建物を同時に譲渡した場合
2.[IFRS]自民党「IFRS強制適用3年以内に結論」
3.[IFRS]金融庁企業会計審議会「強制適用にも言及はする」
4.[監査&税務]監査契約の消費税率の引き上げ
5.[税務]問題101
6.[編集後記]
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1.[税務]土地建物を同時に譲渡した場合
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土地建物を同時に取得した場合、又は同時に譲渡したい場合、両者の区分はど
うすればいいのでしょうか。これをどうするかにより、消費税が大きく変わっ
てきます。また、建物は償却できるわけですから、取得後の減価償却費にも大
きく影響します。
これにつき、まずは、以下の通達が参考になります。
租通62の3(2)-3
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/09/09_62_3_01b.htm
ここでは、
ア.合理的に算定されており、
かつ、
イ.当該譲渡に係る契約書において明らかにされているとき(建物の譲渡対価
の額から明らかにすることができるときを含む。)
は、これを認める。とされています。
このア.の「合理的に算定」には以下のようなものが含まれます。
(1)建物の譲渡対価の額として相当と認められる価額を建物及び土地等の譲渡対
価の額の合計額から控除した金額を土地等の譲渡対価の額としていること。
(注)例えば、建物の建築費の額又は購入価額(当該建物の建築又は購入後に要
した施設費その他の付随費用の額を含む。)に通常の利益の額を加算した金額
を建物の譲渡対価の額としているときは、相当と認められる価額とする。
(2)土地等の譲渡対価の額として相当と認められる価額を土地等の譲渡対価の額
としていること。ただし、建物及び土地等の譲渡対価の額の合計額から当該
土地等の譲渡対価の額を控除した金額が建物の譲渡対価の額として相当と認
められる場合に限る。
どちらかを定めて合計から控除して他方を算出するというわけですが、建物の対
価としては建築費等を基準にすることが注記されています。
また、さらには、以下の裁決事例が参考になります。
http://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0202020000.html#y01
「新築マンションについては、売主等において土地と建物とに区分経理され
ているから、建物の取得価額はその金額によることが相当と認められ、また、
建築時の工事費の割合が把握できることから、建物本体及び建物附属設備の
取得価額は、その工事費の割合を基に計算することが相当と認められる。」
「次に、中古マンションについては、土地と建物の価額の区分について、そ
の売主等においても把握できず、また、類似譲渡事例等もないところ、相続
税評価額や固定資産税評価額等を基に合理的と認められる価額を見積もる必
要があるが、固定資産税評価額は同一の機関で土地及び建物の評価を行うも
のであることなどから、本件においては、土地と建物の固定資産税評価額の
比を一括購入価額に乗じて建物の価額を算出し、建物本体と建物附属設備の
それぞれの取得価額については、建築時の工事費の割合が把握できることか
ら、その工事費の割合を基に計算することが相当と認められる。」
このような通達、事例があることは覚えておきましょう。
なお、消費税に関して、以下の通達があることも申し添えます。以前ご紹介
したこともあるように思いますが。
消費税基本通達10-1-5
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shohi/10/01.htm
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2.[IFRS]自民党「IFRS強制適用3年以内に結論」
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自由民主党の金融調査会・企業会計に関する小委員会は、IFRSに関して、
6月13日、「提言」をまとめています。
このなかで、
「モニタリング・ボードのメンバー要件として求められている「IFRSの
顕著な適用」を実現するために、要件の審査が行われる2016年末までに、
300社程度の企業がIFRSを適用する状態になるよう明確な中期目標を
立て、その実現に向けてあらゆる対策の検討とともに、積極的に環境を整備
すべき(※「300社」という目標数値には反対意見も)。」
とされています。この「モニタリング・ボードのメンバー要件として求めら
れている「IFRSの顕著な適用」」云々については、こちらをご参照ください。
http://www.fsa.go.jp/inter/etc/20130301-1/01.pdf
このなかで、「IFRSの使用を評価するにあたり、メンバーの国際的な会計基
準へのコミットは、当該法域におけるIFRSの強制又は任意適用により裏付け
られなければならない、という点について、モニタリング・ボードは合意し
た。また、IFRSの使用により、該当する市場においてIFRSが顕著に使用され
ることとならなければならない。」
とされています。
上場企業要件の撤廃や、海外子会社を有する企業等に限定しないこととする
ことや、実務負担の軽減のため、金融商品取引法における単体開示に当たっ
ては、会社法の計算書類を活用し可能な限り開示の水準を統一することなど
が提言されています。
おおむね方向がみえてきたのかもしれませんね。
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3.[IFRS] 金融庁企業会計審議会「強制適用にも言及はする」
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一方、金融庁企業会計審議会は2013年6月12日、総会・企画調整部会合同会
議を開催しています。
ここでも、(1)IFRS任意適用要件の緩和、(2)IFRSの適用の方法(エンドー
スメント/カーブアウト)、(3)単体開示の簡素化について、議論がなされ
ています。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130612/484583/?ST=tousei&P=1
(1)(3)は何度もお伝えしているとおり、あまり異論のないところですのでいず
れそうなるでしょう。問題は(2)です。
『IFRSを構成する個々の基準に関して「自国で採用できるかどうか」を判断
し、自国で受け入れられないIFRSの基準を除外するエンドースメント/カー
ブアウトの方向性を示したものだ。議論では、IFRSそのものである「ピュア
IFRS」と比較して、「エンドースメントIFRS」あるいは「J-IFRS(日本版
IFRS)」と呼んでいる。 』
『今回、(2)について、一部の基準を修正できるエンドースメントの仕組み
が必要であり、「エンドースメントされたIFRSは、日本が考える『あるべき
IFRS』を国際的に示す」前向きの取り組みとする案を示した。加えて、エン
ドースメントIFRSは強制適用を前提としたものではなく、あくまで任意適用
企業を対象としたものである、カーブアウトまたは修正する項目は「合理的
に説明できる範囲に限定すべき」、といった方向を示した。』
『あるべきIFRS』ですか。開発費を費用計上することや、のれんの償却などの
ことでしょうかね。
IFRSは「単一」をめざすからこそ意味があるのだと思います。日本市場のなか
でもそんなに会計基準が異なってしまっては、本末転倒のように思いますが、
いかがでしょうか。
強制適用については、意見が分かれていて、結論は出ないようですが、報告
書で何等かの言及はするということのようです。
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4.[監査&税務]監査契約の消費税引き上げ
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珍しく[監査]&[税務]という項目をつけさせていただきました。
日本公認会計士協会では、「監査契約における消費税率に関する経過措置の適
用について」とする文書を出しています。
会員専用サイトです。パスワードが必要です。
https://www.hp.jicpa.or.jp/n_member/specialized_field/post_1691.html?t
これによると、
改正令(注)附則第4条第5項に規定する契約に該当するものと考えられること
から、平成8年10月1日から平成25年9月30 日までの間に締結された監査
契約に基づき、平成26年4月1日以後に目的物の引渡しを行う監査について
は、経過措置により旧税率が適用されます。
監査報告書の提出が平成26年4月1日以後でその契約を平成25年9月30日
までに締結していれば旧税率ということになりますね。3月決算から6月決算
までということでしょうか。ご確認ください。
対価が増額された場合には、経過措置が適用されません。また、四半期レビュ
ー等が含まれる監査契約にあっては、四半期レビュー等に係る報酬等を区分せ
ず、監査と一体として契約されている場合は経過措置が適用できますが、四半
期レビュー等に係る報酬等が区分されているなど、監査と一体として契約され
ていない場合には、それぞれ別々の契約として、契約ごとに経過措置が適用さ
れるか否か判断することになるとされています。
ご確認ください。
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5.[税務]問題101
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[問101]
消費税の課税売上割合が75%でした。控除対象外消費税の法人税上の扱いとし
て、誤りはどれ?
[答]
a.資産に係るものを、仮払消費税のまま資産計上している場合、損金算入は
認められない。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.資産に係るものを、租税公課として費用計上していれば、損金算入は認め
られる。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.棚卸資産に係るものを、租税公課として費用計上していれば、損金算入は
認められる。
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はcです。
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6.[編集後記]
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ちょっと違うかな。
もしかしたら以前も書いたかもしれないのですが、私たちが公認会計士二次試
験を受験したときには、「企業会計原則」と「企業会計原則注解」というもの
をほぼ暗記する位よみこんだものです。今これやらないのかなあ?
この「企業会計原則注解15」にですね。繰延資産のくだりなのですが、「なお、
天災等により固定資産又は企業の営業活動に必須の手段たる資産の上に生じた
損失が、その期の純利益又は当期未処分利益から当期の処分予定額を控除した
金額をもって負担しえない程度に巨額であって特に法令をもって認められた場
合には、これを経過的に貸借対照表の資産の部に記載して繰延経理することが
できる。」というものがあります。特に法令をもってというのは何だったか、
今も知りません。当時も今も理解に苦しみます。なぜ、会計の「原則」にこの
ようなものがあるのか。
今回の原発の処理。これに近いですよね。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36087
これですね。
そういえば、東電では監査人解任議案が提案されていましたね。
http://www.tepco.co.jp/ir/soukai/pdf/130606_1-j.pdf
こういう超法規的措置が認められるんですね。世の中は。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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