【Weekly accounting journal】vol.172~支払利息課税~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.172-2013.02.19
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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税務専門家として、会社側の視点にたった各種支援を行っています。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]関連者等にかかる支払利子等の課税の特例知ってます?
2.[NEWS]中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針等
3.[最新J-GAAP]税効果会計に関するQ&Aの改正
4.[監査]監査報酬は減少傾向
5.[最新J-GAAP]問題84
6.[編集後記]
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1.[税務]関連者等にかかる支払利子等の課税の特例知ってます?
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【概要】
平成25年4月1日以後に開始する事業年度において、
「当期の関連者支払利子等の額の合計額」
-「これに対応する控除対象受取利子等合計額」
=「関連者等純支払利子等の額」が、
「調整所得金額の50%を超えるとき」は、
「その超える部分の金額は、損金の額に算入されません。」
ただし、
「これにより損金の額に算入されなかった超過利子額」は、
「その後7年以内」に、
「調整所得金額の50%相当額が関連者純支払利子等の額を超える事業年度が生
じた場合」に、
「その超える部分の金額を限度として損金の額に算入する」のです。
(例外)
「当期の関連者等純支払利子等が1,000万円以下である」か、又は、
「当期の関連者等純支払利子等の合計額が当期の支払利子等の額(連結完全支
配関係にある連結法人に対して支払うもの及び相手方の関連者等において我
が国の課税対象所得に含まれるものを除く)の合計額の50%以下である場合」
には、
「確定申告書にその計算明細の記載があり、」かつ、「その計算書類を保存し
ている」ことを要件として、「この損金不算入の特例は適用されない」こと
になっています。
【関連者等】
・法人との間に直接・間接に50%以上の持ち株関係にあるもの
・法人との間に実質的な支配・被支配の関係のあるもの
・法人に資金を提供するもの
・その資金の供与に関し債務保証をするなどの関係にあるもの
をいいます。結構幅広いですね。
【関連者支払利子等の額】
・法人がその関連者等に支払う負債の利子
・リース取引にかかる利息相当額
・関連者保証による借入保証料
などですが、
「支払先の関連者等において我が国の所得税又は法人税の課税対象となるもの、
特定債券現先取引等にかかるもの」などは除かれます。
【控除対象受取利子等合計額】
当期の受取利子等の額
×
当期の関連者支払利子等の額の合計額
÷
当期の支払利子等の額(特定債券現先取引にかかる金額を除く)の合計額
【調整所得金額】
当期の所得金額に関連者純支払利子等の額、減価償却費の額及び受取配当等の
益金不算入額を加算し、特別損益の額を加減算した金額
海外の親会社からの借り入れがある場合には、注意が必要ですね。これは過少
資本税制を補足するものといえます。
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2.[NEWS]中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針等
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全然タイムリーではなくて申し訳ないのですが、金融担当大臣談話の中身につ
いて、ご確認ください。
平成24年11月1日に出されたものです。
http://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/2012/20121101-1.html
「なお、金融検査マニュアル等で措置されている、中小企業向け融資に当たり
貸付条件の変更等を行っても不良債権とならないための要件(注)は恒久措
置であり、円滑化法の期限到来後も不良債権の定義は変わりません。
(注)「経営改善計画が1年以内に策定できる見込みがある場合」や「5年以
内(最長10年以内)に経営再建が達成される経営改善計画がある場合」は、
不良債権に該当しません。」
経営改善計画の策定をもって不良債権に該当しないとされています。
ご確認ください。
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3.[最新J-GAAP]税効果会計に関するQ&Aの改正
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日本公認会計士協会会計制度委員会は、平成25年2月7日に「「税効果会計
に関するQ&A」の改正について」を公表しています。
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/post_1662.html
(1) 未認識項目を連結貸借対照表上で負債(又は資産)として即時認識しても、
連結財務諸表における会社分類は、個別財務諸表における会社分類と変わら
ない。
(2) 未認識項目を連結貸借対照表上で負債として即時認識した場合において生
じる将来減算一時差異についても、将来解消年度が長期にわたる将来減算一
時差異に当てはまる。
(3) 会社分類が変更となり、連結財務諸表上、退職給付に係る負債に係る繰延
税金資産の回収可能性を見直す際には、連結損益計算書や連結包括利益計算
書で調整する。
「連結財務諸表における繰延税金資産の回収可能性の判断は、未認識項目を連
結貸借対照表上で負債(又は資産)として即時認識するか否かにより将来年
度の課税所得の見積りが変わるものではないため、同じになる」とされてい
ます。まあ、それはそうですよね。
詳細は上記リンクを参照してください。
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4.[NEWS]監査報酬は減少傾向
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監査人・監査報酬問題研究会は、2011年4月から2012年3月までの有価証券報
告書を対象として、監査報酬の実態調査を行っています。
これによると、
「我が国上場企業の財務諸表の監査に対して支払われる監査報酬は、内部統制
監査及び四半期レビューの制度導入後、減少傾向が続いている」
「監査報酬の適正水準を決めることは容易ではなく、アメリカが高すぎるのか、
日本が低すぎるのかは判然としないが、それにしても日米の監査報酬の較差は
あまりにも大きい」
ということです。
【アメリカ】
(平均)
2010年度 197.65百万円
2011年度 210.90百万円
(中央値)
2010年度 62.90百万円
2011年度 67.50百万円
【日本】
(平均)
2010年度 56.46百万円
2011年度 56.65百万円
(中央値)
2010年度 34百万円
2011年度 33百万円
相変わらず大きな差がありますね。ところでアメリカではなく、諸先進国、
諸新興国はどうなんでしょうか。もう少し比較の対象を広げたいところです。
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5.[最新J-GAAP]問題84
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[問84]
「退職給付に関する会計基準」の改正にあたり、各種名称が変更されます。以
下のうち、正しいのはどれ。
・(現行)退職給付引当金
⇒(改正後)連結上「(ア)」、個別上「(イ)」
・(現行)前払年金費用
⇒(改正後) 連結上「(ウ)」、個別上「(エ)」
[答]
a.(ア)退職給付に係る負債 (イ)退職給付引当金
(ウ)退職給付に係る資産 (エ)前払年金費用
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.(ア)退職給付に係る負債 (イ) 退職給付に係る負債
(ウ)退職給付に係る資産 (エ)退職給付に係る資産
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c. (ア)退職給付に係る負債 (イ) 退職給付に係る負債
(ウ)退職給付に係る資産 (エ)前払年金費用
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はbです。
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6.[編集後記]
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先日、経営力強化支援法認定支援機関のための経営改善・事業再生の研修を受
けてきました。この時期に丸三日間の時間がとられることは結構しんどかった
ですし、認定支援機関の業務内容につき興味はあったものの、会計士のCPEの
ためにはやむを得ないかなという、やや義務感が先行する気持ちで受けました。
でも受けてみると、中小企業の金融支援円滑化法期限切れに伴う借り手側の課
題解決に向け、経営改善計画を如何に作成して事業再生につなげるかという内
容で、非常に勉強になりました。講義のみではなく、グループワークに多くの
時間が割かれていて、年配の先生方に混じり、議論を行う内容で、いい経験に
なりました。今回の研修で出ていた事例はいずれも本業はある程度安定してい
るような内容でしたが、実際に金融支援円滑化法による借入金の貸付条件の変
更などを行ってもらっている会社の再生可能性を検討するという場合、テキス
トで勉強した通りにはいかないだろうなと思いつつ、今後認定支援機関として
の業務にもチャレンジしてみたいな、と思う三日間でした。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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