【Weekly accounting journal】vol.170~特別償却準備金おさらい~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.170-2012.02.05
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]特別償却準備金おさらいしておきましょう
2.[税務]タックス・ヘイブン対策税制のおさらい
3.[最新J-GAAP]取得関連費用は個別と連結異なるのですね
4.[最新J-GAAP]問題82
5.[編集後記]
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1.[税務]特別償却準備金おさらいしておきましょう
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平成25年度税制改正大綱は平成25年1月29日に閣議決定されています。こ
のなかでは、生産等設備投資促進税制、中小企業等の設備投資促進税制などに
おいて、特別償却か、税額控除のどちらかを選択することができるという制度
になっているものがあります。
そもそも、両者はどう違うのでしょうか?
特別償却は、取得初年度(又は一定期間)において、特別にその償却限度額を一
定額だけ拡大して余分の減価償却が認められるというものです。
これに対して、税額控除はその名のとおり、税額が控除される(そのままです
ね、、、)ものです。
特別償却は余分に償却できるといっても取得価額を上回って償却できるわけで
はありませんから、課税の繰延にすぎないわけですが、税額控除は税額が実際
少なくなる効果があるわけです。
じゃ、みんな税額控除とりますよね。確かに。繰越欠損金の控除額が、繰越控
除前の所得の8割までしかとれなくなった(中小企業は除きます)今、特別償却
が選択されるのは、新たに欠損金が計上され、税額が発生しないようなケース
しか考えられないですかね。
まあ、それでも一応みておきましょう。これをみて、やっぱり税額控除だなと
考えていただければそれはそれでよいかと思いますし。
まず、特別償却をするためには、特別償却相当額につき、対象資産から直接減
価償却を行うことができますが、これ以外にも、特別償却準備金を積み立てる
ことでも認められます。
この特別償却準備金は、損金経理による方法の他、適用年度の決算確定の日ま
でに剰余金の処分によって積み立ててもよいのです。
会計監査を受けるような会社で、重要性がある場合は、通常、特別償却準備金
を剰余金の処分により積み立てる処理を行うことになるはずです。租税上の恩
恵のために資産の経済的な便益の費消パターンが早まることはないからです。
特別償却額を70、実効税率を40%とすると、
(損益計算書)法人税等調整額 28 / 繰延税金負債 28
(株主資本等変動計算書)繰越利益剰余金 42 / 特別償却準備金 42
となります。
この特別償却準備金は、その積み立てた事業年度の翌事業年度以降において、
原則7年均等に取り崩されて利益に戻し入れることになっています。つまり、
特別償却準備金の損金算入額×(当期の月数/84)=益金算入額
※対象資産の耐用年数が10年未満の場合には、分母の「84」は「60と当該耐用
年数×12とのいずれか少ない数」となります。
(損益計算書)繰延税金負債 4 / 法人税等調整額 4
(株主資本等変動計算書)特別償却準備金 6 / 特別償却準備金取崩高 6
実際には、この生産等設備投資促進税制が適用される頃は、まだ復興法人特別
税がかかる時期のはずで、繰延税金負債は単純に全額に一律の税率を乗じれば
よいというものではなく、解消年度ごとに税率を変える必要が出てくるはずで
す。やっかいですね。
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2.[税務]タックス・ヘイブン対策税制おさらい
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タックス・ヘイブン税制のおさらいをしておきましょう。詳細は書籍等にあた
っていただきたいのですが、簡単にイメージがつけられればよいかなと思って
記載します。
世の中には税負担の著しく低い国又は地域があります。こういうところに子会
社を作って利益を出せば税金がかからず、配当することで益金不算入にでもな
れば、不当に税負担を軽減・回避することができる場合が想定できます。
このようなことに対処するための税制が、タックス・ヘイブン対策税制(外国
子会社合算税制)です。
具体的には、
一定の税負担(20%)以下の国・地域(このような国・地域をタックス・ヘイブ
ンといいます)にある特定外国子会社等の所得のうち一定の金額について、そ
の親会社である内国法人の所得とみなして合算課税を行う制度です。
色々と申告書も複雑なのですが、最終的には、その特定外国子会社の所得の
うち一定の金額が別表4に加算社外流出で入ってくることになります。
特定外国子会社とは何か?
簡単にいえば、タックス・ヘイブンにある10%以上の子会社や孫会社、曾孫会
社等で、その資本の過半が日本資本であるものということになります。
それでは、このようなタックス・ヘイブンに子会社を持てばすべて課税され
てしまうのか?
そうではありません。この制度はタックス・ヘイブンを利用して「不当に」
租税負担を軽減・回避することを防止することが目的ですので、一定の適用
除外要件があります。
以下をすべて満たす場合には、適用除外になります。
(事業基準)
主たる事業が次のものでないこと
1)株式(出資を含む)、債権の保有
2)工業所有権等、著作権等の提供
3)船舶、航空機の貸付(裸用船(機)契約に限定)
(実体基準)
本店所在地国に主たる事業に必要な事務所等の固定的施設を有すること
(管理支配基準)
本店所在地国において主たる事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること
(所在地国基準又は非関連者基準)
-所在地国基準-下記の対象業種以外の業種-
その事業を主としてその本店所在地国内で行っていること
-非関連者基準-卸売業第7業種(限定列挙)-
その主たる取引の50%超を関連者(50%超出資等)以外の者と行っていること
これらに該当するというケースが結構多いのではないでしょうか。この場合、
別表17(3)等、一定の添付書類を添付して適用を免れることになります。
しかし、ひとつ気をつけたいのは、平成22年度税制改正で導入された資産性所
得の合算課税です。
この一定の資産性所得とは、
・一定の剰余金の配当
・債券利子
・債券の償還差益
・一定の株式譲渡益
・債券の譲渡益
・一定の使用料
・船舶航空機リース料
がはいります。適用除外でも、これらの所得は合算する必要がありますので、
ご注意ください。
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3.[最新J-GAAP]取得関連費用は個別と連結異なるのですね
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先日公表された企業結合会計基準(案)ですが、取得関連費用が発生年度の費用
となるのですが、ご注意いただきたいのは、
「取得関連費用(外部のアドバイザー等に支払った特定の報酬・手数料等)は、
発生した事業年度の費用として処理する。なお、個別財務諸表においては、子
会社株式の取得原価は、企業会計基準第10 号「金融商品に関する会計基準」
(以下「金融商品会計基準」という。)に従って算定する。」
とかかれていることです。
つまり、個別と連結と違うんですね。連単分離ということでしょうか。ですか
ら個別では取得価額に含め、連結は連結修正で落とすということですね。これ
は連結手続上生じる将来減算一時差異ということになるんでしょうね。
これはどこかで言及されているのかどうか、わからないのですが(私が不勉強
なだけかもしれません。悪しからず。)、いわゆる子会社への投資に係る一時
差異と同じようなもので、基本的には認識しない (連結税効果実務指針30)の
ではないでしょうか?
さらに難しくなりますね。会計は。大変だなあ。
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4.[最新J-GAAP]問題82
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[問82]
ある会社の株式につき配当金を受領した。当該配当金は資本剰余金の区分にお
けるその他資本剰余金の処分によるものである。この場合の会計処理として正
しいものはどれか。なお、当該株式は売買目的有価証券として区分している。
a.有価証券の帳簿価額から控除する。
b.受取配当金(売買目的有価証券運用損益)として処理する。
c.a.b.の処理いずれでもよい。
[答]
a. http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b. http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c. http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はcです。
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5.[編集後記]
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うちの子の受験が終わりまして、お陰様で一応の第一志望に合格出来ました!
各方面に感謝しなければいけないと思いますが、特に塾の先生には本当にお世
話になりました。しかし塾の先生の仕事は本当に大変ですね。うちの子みたい
に集中力ゼロで精神的に幼い子でも長い間親身になって面倒みてくださり、受
験初日には落ちてしまい落ち込んでいたところに電話で励ましてくださり、最
後の最後まで、見捨てずに支えてくださいまして、本当にいくら感謝してもし
きれないくらいです。うちの子はもとより、私たち親も非常にいい経験をさせ
ていただきました。何度、もう駄目だと思ったことか。受験にたどりついただ
けでも奇跡だと思いますが、合格できましたからね。いやあ、感無量です。
うちの話で恐縮です。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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