【Weekly accounting journal】vol.152~中国反日デモと会計~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.152-2012.09.25
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]中国反日デモと会計
2.[税務]平成24年版 年末調整のしかた
3.[税務]国外関連者の寄附金
4.[税務]問題63
5.[編集後記]
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1.[最新J-GAAP]中国反日デモと会計
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反日デモによる被害を受けた会社さんも多いようですが、このような行為が行
われた場合、会計上、どうなるのか?考えてみました。
やはり昨年の東日本大震災が参考になると思います。
平成23年3月30日に日本公認会計士協会から、会長通牒平成23年第1号「東北地
方太平洋沖地震による災害に関する監査対応について」が出ています。
http://www.hp.jicpa.or.jp/ippan/jicpa_pr/news/files/kaichou-tuucho-1-20110330.pdf
ただ、これはあくまで「災害」ですからね。この時は多くが「災害損失」とし
て計上されていたわけですが、今回の反日デモのようなものはそもそも「災害」
といういい方ではくくれないと思いますので、科目名は、「災害損失」で一括
することはできないと思います。「デモによる損失」等である程度一括したい
ところかもしれませんが、なじみがありませんのでこれはないかな。棚卸資産
評価損、減損損失等の科目も考えられますし、処分に至っていれば、棚卸資産
処分損、固定資産処分損などでの表記も考えられるでしょう。
その他様々な検討が必要になってくると思いますがやはり災害時の検討と同様
になると思いますので、上述の会長通牒を参考にするとよいのかなと思います。
震災ほど大規模ではないでしょうからやや大げさかもしれませんが。
反日デモ自体、今後もまた発生するリスクは否定できないこと、また、今回の
反日感情の高まりは、賃上げ要求や労働放棄につながったり、不買運動等、今
後の業績に悪影響を及ぼすことも考えられるんでしょう。であれば、繰延税金
資産の回収可能性や固定資産の減損等の見積の要素にも影響します。
また、当該事象が決算日後に発生したのであれば、開示後発事象として扱うこ
とになりますね。
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2.[税務]平成24年版 年末調整のしかた
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国税庁は平成24年版 年末調整のしかたを公表していますので、ご参考くださ
い。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/01.htm
昨年と比べて変わった点は、以下のとおりです。
(1)生命保険料控除が改組されました。
生命保険料控除が改組され、各保険料控除の合計適用限度額が12万円とされ
ました。
やや細かいので詳細は上記ご参照いただきたいのですが、平成24年に締結し
た保険契約については、介護医療保険料として新たな枠が4万円設置され、従
来の一般生命保険と個人年金保険はそれぞれ4万円とされています。
(2)「納期の特例」の承認を受けている源泉徴収義務者が7月から12月までの
間に支払った給与等及び退職手当等から回収した源泉所得税の納期限が翌年
1月20日とされました。
「納期の特例」適用者に係る「納期限の特例」の制度が廃止されたというこ
とですね。
(3)自動車などの交通用具を使用して通勤する人が受ける通勤手当の非課税
限度額が変わりました。
通勤手当>運賃相当額>距離比例額
※運賃相当額;鉄道を利用した場合の運賃
※距離比例額;距離に応じて定められる一定の金額
である場合、
(改正前)
運賃相当額(最高限度額10万円)までが非課税
(改正後)
距離比例額までが非課税
となっています。ご確認ください。
地味ですけどね。知っておかないといけないですね。
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3.[税務]国外関連者の寄附金
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海外子会社の広告宣伝費を親会社が負担したとか、海外子会社に親会社の従業
員が出向しているものの給与は親会社が負担しているとか、いうことありませ
んか?
たまに、これは移転価格の問題?寄附金の問題?
という感じの質問を受けることがあります。実質的に課税されてしまえばどっ
ちでも一緒かもしれせんが、課税に至る計算ロジックに違いが出てきますので、
ちょっと確認しておきましょう。
(寄附金課税)
まずは基本。法人が国外関連者に対して寄附金の支払をした場合、その金額の
全額を損金の額に算入しないとされています。
寄付金とは、直接事業に関係なく、対価を伴わず、無償で贈与したものとされ
ています。また、経済的な利益を無償で供与した場合も寄附金課税の対象とな
ります。
(移転価格税制)
法人が国外関連者との間で取引をしたときに、国外関連者から受け取る対価が
独立企業間価格よりも低い場合には、独立企業間価格で取引があったものとみ
なし、または支払う対価の額が独立企業間価格よりも高い場合には、独立企業
間価格で取引があったものとみなすというものです。ここでは必ずしも贈与だ
とか対価性の有無の検討は必要とされていません。
つまり、無償の贈与とか、経済的な利益の無償の供与があれば寄附金に該当す
るというわけです。より具体的には以下のようなことになります(移転価格事
務運営指針2-19)。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/010601/02.htm
この場合でも、法人が国外関連者に対して財政上の支援等を行う目的で国外関
連取引に係る取引価格の設定、変更等を行っている場合において、当該支援等
に基本通達9-4-2((子会社等を再建する場合の無利息貸付け等))の相当な
理由があるときには、寄附金とはなりません。これは国内の場合と同様ですね。
しかし、この無償の贈与とか、経済的な利益の無償の供与というのも実際はわか
りにくいのです。
贈与は双務契約ですから、無償の贈与についての当事者間の合意がある場合は、
明確に贈与ですから寄附金に該当するのでしょう。でも無償の合意が国外関連
者との間で明確にない場合は、寄附金認定がしにくい場合があるのでしょう。
その場合は移転価格の問題とされることになるように思います。
こちらの事例25をご参照ください。微妙な感じです。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/010601/pdf/bessatsu.pdf
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4.[税務]問題63
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[問63]
マイホームを取得した社員が、確定申告により住宅借入金等特別控除を受けて
います。この社員が「単身赴任」で出向になったときの取扱はどうなりますか?
[答]
a.国内子会社への出向;控除を受けることができる。
国外子会社への出向;控除を受けることができる。
→ http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.国内子会社への出向;控除を受けることができる。
国外子会社への出向;控除を受けることができない。
→ http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.国内子会社への出向;控除を受けることができない。
国外子会社への出向;控除を受けることができない。
→ http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はcです。
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5.[編集後記]
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第二次大戦後何年経過したでしょうか。前世期中は様々な衝突はありながらも、
経済発展に隠され、おおむね中韓との関係は少しずつ改善してきたように見え
ていましたが、今世紀は両国とも、一定の経済発展を経て十分な力を備えるよ
うになり、逆にあつれきが目立つようになってきたと感じています。戦後生ま
れの私たちにとってみれば、難しい問題を残してくれたものだと先達に愚痴を
こぼしたくなったりします。
この複雑なパワーバランスのなかでどのように生きていくのか、難しい問題で
す。ただ、日本には、東日本大震災で見せた強さ、礼儀正しさ、スポーツでの
フェアプレー、人々の実直さ、技術力の高さ、製造業、アニメ、ソフト等の数
々のユニークな製品、キャラクター等々、素晴らしいものがたくさんあります。
これらは本当に全世界から愛されています。単なるブームではないと思います。
私自身これら日本の素晴らしいものに触れると心から感動するからです。やは
りこれら日本の強みをもう一度振り返り、この困難の打開策を考えるべきなの
かなと思ったりしています。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA)
・ディスクロージャー上級実務士 紺 野 良 一
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