【Weekly accounting journal】vol.281~実効税率再確認~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.281-2015.04.09
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させていた
だきます。
**********************************************************************
移転価格文書の作成、更新はお済ですか?
・移転価格文書の作成、どうすればいいかわからない。
・一度作成してあるけど、その後、更新していない。
など、移転価格に関するご相談は税理士法人エキスパーツリンクにどうぞ!
http://expertslink-tax.jp/manager/transfer-price/
**********************************************************************
◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]国際税務入門9
2.[最新J-GAAP&税務]「税効果会計に関するQ&A」の改正
3.[最新J-GAAP&税務]実効税率再確認
4.[編集後記]
===================================
1.[税務]国際税務入門9
===================================
国際税務担当飯田の記事です。
医師のように、独立的な地位に基づいて役務の提供を行うことにより得る報酬
を「自由職業所得」といいます。かつてのOECDモデル租税条約(旧モデル租税
条約)では、このような自由職業者は、相手国に固定的施設(PE)を有してい
なければ、相手国では課税されないと規定していました。
ここでいう自由職業というのは、医師や弁護士、技術士、建築士、歯科医師
及び公認会計士の独立の活動のほか、学術上、文学上、美術上及び教育上の独
立の活動が含まれます。
ただし、芸能人やスポーツ選手としての個人的活動はこの自由職業には含ま
れず、また雇用関係に基づいて行われる自由職業者の活動も含まれません。一
方、自由職業者には医師等の有資格者に限られるものではなく、自ら責任や負
担を負う者も該当することになります。
我が国が締結した租税条約のうち、PEを有しないことの要件に加え、183日
以上または183日超相手国に滞在しない限り免税とするインド、韓国、シンガ
ポール、中国、ノルウェーのほか、183日ルールをはじめ、給与所得者と同様
の要件で短期滞在者免税を認めているスリランカ、ニュージーランド、旧ソ連
邦諸国があります。
ところが、2000年に旧モデル租税条約から自由職業所得条項が削除され、
「事業」には、自由職業その他の独立の性格を有する活動を含む旨の規定が追
加されることになりました。よって、モデル租税条約改正後に我が国との間で
改正又は新たに締結された、対米国、イギリス、フランス、オーストラリア、
ブルネイ、カザフスタン、香港、オランダとの間の条約では、自由職業は事業
に含まれる規定が置かれ、自由職業所得は事業所得条項が適用されることにな
りました。
したがって、これらの相手国にPEを有しない自由職業者については、事業所
得と同様、PEがなければ相手国で課税されないということになります。
===================================
2.[最新J-GAAP&税務]「税効果会計に関するQ&A」の改正
===================================
日本公認会計士協会(会計制度委員会)では、平成27年度税制改正に係る改正
法の公布等を受けて、「税効果会計に関するQ&A」の見直しの検討を行い、公
開草案として公表しています。
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/main/post_1798.html
変更点は、以下のとおりです。
(Q12)
平成27年税制改正により、外国子会社の配当の全部又は一部が損金算入とされ
ている場合(オーストラリア子会社からの優先株式配当やブラジル子会社から
の配当がこれに該当する)に、配当等の額が全額益金算入されることになった
こと(配当の一部が外国子会社で損金算入されているときは、その損金算入額
のみを益金不算入とすることができる)、及び、このような配当等に対し課せ
られる外国源泉税等につき、外国税額控除又は損金算入の対象となったこと、
を受けての変更
↓
・配当金については、
親会社の個別財務諸表における税負担額
マイナス
子会社の個別財務諸表において損金算入され親会社の税負担額が軽減され
ると見積もられる税額
を繰延税金負債として計上する。とされています。
ちょっと言葉の意味がピンとこないですね。
「子会社の個別財務諸表において損金算入され親会社の税負担額が軽減さ
れると見積もられる税額?」
→子会社の税負担額は減るでしょうけど、親会社の税負担額は減ってい
ないような?
具体的な計算をみないとよくわからないですが、考え方としては、配当する
ことによってグループ全体で発生する純税額ということでしょう。
・外国税額控除について
これは他の外国税額控除と同じように、「外国税額控除限度額を超過する納付
額を、期中において仮払税金等として資産計上している場合には、期末決算に
おいては、その科目から「法人税、住民税及び事業税」に振替計上し、改めて
~(省略)~繰延税金資産の計上の可否を検討」することになります。
(Q14)
復興特別法人税にかかわるものなので削除されました。
ご確認ください。
===================================
3.[最新J-GAAP&税務]実効税率再確認
===================================
前回お伝えしたとおり、平成27年税制改正が、3月31日に公布されたことを
受けて、超過税率を採用している都道府県(東京都、宮城県、神奈川県、静岡
県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県)の条例が公布されていますが、
それぞれの条例の公布が
東京都は、「4月1日」
兵庫県は、「3月23日」
その他は、「3月31日」
であります。
しかも、平成27年4月1日以降開始事業年度分は、上記の全ての自治体が公布し
ているのですが、平成28年4月1日以降開始事業年度分については、大阪府を除
き、公布していません。
このため、法定実効税率については、一時差異等の解消事業年度ごとに、以下
のような取り扱いになると思います。
(東京都)
H27/4~の分;推定
H28/4~の分;推定
※H27/4~の分の条例の公布は4/1です。
※H28/4~の分の条例は公布されていません。
(大阪府)
H27/4~の分;確定
H28/4~の分;確定
※いずれも、3/31に公布されています。
(その他)
H27/4~の分;確定
H28/4~の分;推定
※H27/4~の分の条例の公布は3/31です。
※H28/4~の分の条例は公布されていません。
で、「推定」は、どうするか。ASBJ案は、
「地方税法改正後の標準税率に基づく超過税率に関する地方団体の改正条例
が公布されていないことにより、超過税率が標準税率を超える差分が決定さ
れていない場合、これまでの実務を踏まえると、決算日現在の地方団体の条
例に基づく超過税率が標準税率を超える差分を考慮して、法定実効税率の算
定に用いる超過税率を算定することになると考えられる。
具体的には、例えば、平成27 年度税制改正に係る地方税法等改正後の標準
税率に、条例改正前の超過税率が地方税法等改正前の標準税率を超える差分
を加える方法(ただし、地方税法等改正後の標準税率に1.2 を乗じた率を上
限とする。)が考えられる。」
と言っています。で、計算すると、
(東京都の場合-27年度の分-)
・ASBJ案
<事業税超過税率の算出>
地方税法等改正後の標準税率 3.1%
条例改正前の超過税率が地方税法等改正前の標準税率を超える差分
0.36%
ですので、
推定超過税率 3.46%
<法定実効税率>
33.10%
・4/1に公布された条例
<事業税超過税率>
3.4%
<法定実効税率>
33.06%
とちょっとですが、違ってしまいます。これについては、私は前回、確定した
新条例ベースでいいのではないかと書きましたが、あくまで私見であり、
ASBJ案が出ている以上、これでやることが無難かと思いますので、ご留意願い
ます。28年度の分も同様の話になります。
(大阪府の場合)
大阪は確定しているので、新税率でやればいいでしょう。
(その他の県の場合)
28年度分を推定する必要があるのですが、
再掲すると、「地方税法改正後の標準税率に基づく超過税率に関する地方団体
の改正条例が公布されていないことにより、超過税率が標準税率を超える差分
が決定されていない場合、これまでの実務を踏まえると、決算日現在の地方団
体の条例に基づく超過税率が標準税率を超える差分を考慮して、法定実効税率
の算定に用いる超過税率を算定することになると考えられる。
具体的には、例えば、平成27 年度税制改正に係る地方税法等改正後の標準税
率に、条例改正前の超過税率が地方税法等改正前の標準税率を超える差分を加
える方法(ただし、地方税法等改正後の標準税率に1.2 を乗じた率を上限とす
る。)が考えられる。」
とされています。前段の「決算日現在の地方団体の条例」というと、確定して
いる27年度分の条例はあるので、この差分を使えばいいと私は思うのですが、
これも、後段の「条例改正前の超過税率が地方税法等改正前の標準税率を超え
る差分を加える」というと、条例改正前の差分を使うことになるのかもしれま
せんね。すみません。これも監査人の方と確認してみてください。
===================================
4.[編集後記]
===================================
ペリリュー島の戦闘の生き残りの元日本兵の方が未だご存命なのですね。驚か
されました。日本軍死者1万人超、アメリカ軍死者1700人超を出した壮絶な戦
いにも関わらず、「帝国軍人が、貴様ら土人と一緒に戦えるか!」と言って、
島民を戦闘前に強制退避させたので、一般人民の死者・負傷者は0だったとい
う話ですね。日本軍の生き残りは、34人。なんと、そのうちの1人である土田さ
んが今回の陛下のパラオ訪問にあわせ、ペリリュー島に行かれています。御年
95歳。この方は終戦後もしばらく洞窟にひそみ、ようやく、昭和22年4月に全
員が投稿に応じたそうです。今回の両陛下の訪問は、遅かったかもしれません
が、元兵士が存命のうちに行われたことはよかったのではないでしょうか。こ
のような壮絶な歴史を振り返りますと、やはり決して戦争はしてはいけません
ね。先人たちの多くの犠牲のうえに今日の平和な社会はなりたっているのだと
改めて思います。いつかパラオには行ってみたいものです。
公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。
トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
*URL: http://www.expertslink.jp
→決算・開示サポート、内部統制、会計に強い税理士をお求めならこちら
*E-mail: <info@expertslink.jp>
転送はご自由に!
*解除はこちらから
→http://expertslink-tax.jp/mailmagazine/
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~