【Weekly accounting journal】vol.269~国際税務入門1~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.269-2015.01.15
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRSで
揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会社
の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これら
のエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、出
来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]国際税務入門1
2.[監査]農協監査続報
3.[税務]税制改正大綱閣議決定
4.[税務]法定実効税率試算
5.[最新J-GAAP]税効果ルールの見直し
6.[編集後記]
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1.[監査]国際税務入門1
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今回も、飯田の国際税務の記事から入ります。
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今回から、国際税務に関する基礎的な事柄について解説していきたいと思いま
す。
国際税務を理解するためには、どの国が、誰に、どの所得に、どのような方法
で課税するのかということを理解する必要があります。例えば、海外進出を考
える際、支店を開設する場合と子会社を設立する場合、どちらに税務上のメリ
ットがあるのでしょうか。海外に赴任することになった場合、赴任後に支払わ
れる給与について、日本での課税関係はどうなるのでしょうか。
まずは国際課税の仕組みや基本用語から始めることにして、租税条約、移転価
格税制といった個別の論点について取り上げる予定です。
国際課税の仕組み - 内国法人と外国法人
我が国の税法では、すべての会社、つまり法人は「内国法人」または「外国
法人」のどちらかに分類されます。
日本の税法において、「内国法人」とは、日本国内に本店または主たる事務
所を有する法人のことをいいます。法人がどの国の法律に基づいて設立された
かにより判定するものです。例えば、日本コカコーラは外資系の法人ですが、
日本の法律に基づいて設立された会社であるため、内国法人という扱いを受け
ます。
これに対して外国法人とは、内国法人以外の法人(税法ではこのように書かれ
ているだけです)をいいます。つまり外国に本店または主たる事務所を有する
法人のことです。
内国法人は、その全世界で稼いだ所得に対して日本で課税されます。これをワ
ールドワイドコンセプト(全世界所得課税方式)といいます。一方、外国法
人については、その所得のうち、国内源泉所得についてのみ、恒久的施設
(Permanent Establishment: PE)の有無や所得の種類に応じて課税され
ます。これをテリトリアルコンセプト(国外源泉所得非課税方式)といいます。
恒久的施設とは
PE(ピー・イー)と言われるのですが、これは国内における一定の場所また
は人を指します。我が国の法人税法では、1号PE(国内の支店や工場)、2号
PE(建設現場)、3号PE(外国法人のために契約を締結する権限のある代理人)
の3種類の恒久的施設が列挙されています。
恒久的施設がある場合と無い場合では、外国法人に対しての課税関係が大きく
変わります。例えば、米国の企業が日本に恒久的施設を持たず、直接日本の消
費者に商品を販売している場合、当該米国企業は日本での事業に対して日本で
課税を受けません。
すでに色々な専門用語が出てきましたので理解するのが大変かもしれませんが、
このような国際税務特有の用語もこの場で解説していきます。
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2.[監査]農協監査続報
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自民党が農協改革を本格的に検討するというニュースです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150115/k10014688861000.html
政府は、「JA全中=全国農業協同組合中央会が地域の農協に行っている会計監
査の権限を撤廃する方向で調整して」いるようです。
また、
「作業チームでは、JA全中の担当者らからヒアリングを行ったうえで、
▽会計監査の権限を撤廃し、地域の農協に対しほかの金融機関同様、公認会計
士の監査を義務づけるかどうかや、▽JA全中や各都道府県の中央会の組織の
在り方についても議論し、来月上旬に法案の骨格を固めたい考えです。」
現在、農業協同組合監査士という資格をお持ちの方が監査ができなくなるとい
うことはないんだろうな、とは思いますが、公認会計士監査を義務付けるとい
うことになると、この資格はどうなるんでしょうね。
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3.[税務]税制改正大綱閣議決定
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2015/1/14、政府は税制改正大綱を閣議決定しました!
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2015/kakugi-2015011401.html
これにより、
法人税の実効税率は現在の34.62%(標準税率)から15~16年度に3.29%以上下が
る。
赤字大企業への課税強化など増税策も実施する。
のですが、これにより15~16年度は各年度2,060億円減るようです。
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4.[税務]法定実効税率試算
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税制改正後の法定実効税率を算定してみます。
平成26年10月1日以降開始事業年度から地方法人税が導入されますので、
法定実効税率
=(法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)
+事業税率+事業税率標準税率×地方法人特別税率)
/(1+事業税率+事業税率標準税率×地方法人特別税率)
となります。ちょっとみにくいでしょうか。
標準税率で算出します。
(現行)
=(0.255×(1+0.044+0.129)
+0.043+0.043×0.674)
/(1+0.043+0.043×0.674)
≒34.62%
(27年度)
=(0.239×(1+0.044+0.129)
+0.031+0.031×0.674)
/(1+0.031+0.031×0.935)
≒32.11%
(87年度)
=(0.239×(1+0.044+0.129)
+0.019+0.019×1.526)
/(1+0.019+0.019×1.526)
≒31.33%
超過税率で算出すると違ってきますので、ご注意ください。
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5.[最新J-GAAP] 税効果ルールの見直し
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経営財務No.3195に繰延税金資産の回収可能性の判断ルールの見直しの検討
状況がまとめられていますので、ここでは更にまとめてご紹介します。
(現行基準の問題点)
「現行の例示区分では、1号から3号が課税所得(フロー)に着目した要件で、
4号からは「繰越欠損金の存在」といった期末時点の事象(ストック)が要件と
なっており、判断の連続性が途切れている。」
確かにそうかもしれませんね。
現行の4号は、
「期末において重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社、過去(おおむね
3年以内)に重要な税務上の欠損金の繰越期限切れとなった事実があった会社、
又は当期末において重要な税務上の欠損金の繰越期限切れが見込まれる会社の
場合には、通常、将来の課税所得の発生を合理的に見積ることは困難と判断さ
れる。したがって、そのような会社については、原則として、翌期に課税所得
の発生が確実に見込まれる場合で、かつ、その範囲内で翌期の一時差異等のス
ケジューリングの結果に基づき、それに係る繰延税金資産を計上している場合
には、当該繰延税金資産は回収可能性があると判断できるものとする。
また、過去の経常的な利益水準を大きく上回る将来減算一時差異が期末に存在
する会社について、翌期末において重要な税務上の繰越欠損金の発生が見込ま
れる場合には、期末において重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社と同様
に取り扱うこととする。
ただし、前述の場合においても、重要な税務上の繰越欠損金や過去の経常的な
利益水準を大きく上回る将来減算一時差異が、例えば、事業のリストラクチャ
リングや法令等の改正などによる非経常的な特別の原因により発生したもので
あり、それを除けば課税所得を毎期計上している会社の場合には、将来の合理
的な見積可能期間(おおむね5年)内の課税所得の見積額を限度として、当該
期間内の一時差異等のスケジューリングの結果に基づき、それに係る繰延税金
資産を計上している場合には、当該繰延税金資産は回収可能性があると判断で
きるものとする。」
となっています。
(変更の方向性)
この変更案が、
「当期又は過去において重要な税務上の欠損金を計上したが、翌年度は課税所
得が発生することが見込まれる場合(中略)繰延税金資産を計上する」とフロー
の要件を追加する案が検討されているようです。
また、4号の但し書きが、以下の方向で検討されているようです。
「重要な税務上の欠損金の発生原因、中長期計画、当期及び過去の課税所得の
推移を勘案して将来の課税所得を見積もった場合、期末における将来減算一時
差異を下回るものの安定した課税所得を将来的に継続して計上することが見込
まれていることを合理的に説明できる場合を例示区分2号に該当するものとし
て取り扱う。」
つまり、「現行規定では4号と判断されていた会社が、2号と判断される可能性
もある」ということだそうです。
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6.[編集後記]
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公認会計士紺野良一事務所としてHPを出そうと思います。
エキスパーツリンクでは税務に関するお仕事は税理士法人エキスパーツリンク、
その他必ずしも資格を必要としないものは株式会社エキスパーツリンクでお受
けしているのですが、公認会計士として法定の会計監査のお仕事をいただく場
合には、公認会計士紺野良一事務所でお受けすることになります。
今監査の仕事はあまりやっていないのですが、やはり、公認会計士としては会
計監査のお仕事に携わっていくべきだと考えるようになりました。監査的着眼
点って他の業務やっていても色々と役にたつんですよね。
とはいっても、上場会社の監査は登録していませんので出来ませんから、会社
法のみの監査か、任意監査ということになりますけど。
来月中には公開しますので、よろしくお願いいたします!
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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