【Weekly accounting journal】vol.268~美術品償却できますよ~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.268-2015.01.09
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[監査]農協の監査
2.[IFRS]のれんの会計処理見直し
3.[税務]一部の美術品も償却できるようになりました!
4.[税務]出国時課税制度
5.[編集後記]
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1.[監査]農協の監査
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以下JA全中のHP等からまとめます。
各農協が出資し、その指導をする機関という位置づけで、農業協同組合中央会
という組合が、各都道府県に存在するのですが、さらに全国農業組合中央会
(JA全中)という組織が存在します。この中央会や全中は農協の監査権を有し
ています。この監査制度を中央会監査制度といいます。
この監査は、「農業協同組合監査士」を中心として実施しており、公認会計士
等も従事しています。
この中央会監査では、財務諸表等証明監査だけではなく、指導監査も実施して
いるとのことです。
「農業協同組合監査士」ですが、5科目の学科試験(監査論・会計学・簿記・農
協制度(農協法・農業協同組合論)・関係法(法人税法・民法))に合格し、1年
間の監査実務経験に加えて、所定の講習や論文試験、2年間の組合指導等の実務
経験の条件を満たした後に選任されるとのことです。
この中央会監査ですが、
西川農相は、
「JA全中が地域農協に対して持つ監査権について、「強制監査権は持たせない。
(地域)農協の自由な発想で活動するようにする」」
と述べています。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20150106-OYT1T50063.html
ただ、「(農協の監査は)農協にしか出来ないという意見もある」とし、監査権
廃止後も、全中の監査機能自体は残し、地域農協が監査法人による監査を選べ
るようにするという考えも示唆したようです。
公認会計士又は監査法人にとってみれば、フィールドが広がるということなの
かもしれません。
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2.[IFRS]のれんの会計処理見直し
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平成27年1月9日の日経有料記事
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKKZO81740510Y5A100C1DTA000
「国際会計基準(IFRS)をつくる国際会計基準審議会(IASB)の
鶯地隆継理事は8日、都内で開いたIFRSの説明会で、のれんの会計処
理の見直しに着手したことを明らかにした。」
とのことですね。
今まではJ-GAAPがコンバージェンスすることにより、J-GAAPとIFRSの差異
が縮まってきていたのですが、今度はIFRS側で変更されることにより両者が
近づくということになるのでしょうか?
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3.[税務]一部の美術品も償却できるようになりました!
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国税庁は、平成26年12月19日付で減価償却資産の範囲に関する法人税基本
通達7-1-1を改正しています。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/kaisei/141200/index.htm
従来は、時の経過によりその価値が減少しない資産、すなわち、償却できない
ものとして、以下のものを挙げていました。
(1)古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、
代替性のないもの
(2)美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
そして(注)として、「書画骨董に該当するかどうかが明らかでない美術品等で
その取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについ
ては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。」とされていま
した。
これが改正されたわけですが、(1)は変わらないのですが、(2)が変更され、
(2) (1)以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過に
よりその価値が減少することが明らかなものを除く)
とされ、さらに(注)で、「取得価額が1点100万円未満であるもの(時の経過によ
りその価値が減少しないことが明らかなものを除く)は減価償却資産と取り扱う。」
とされました。
誤解を恐れずに端的に書けば、
(100万円未満)
‘非減価’明らか→非償却資産 (a)
それ以外 →償却資産 (b)
(100万円以上)
‘減価’明らか →減価償却資産 (c)
それ以外 →非償却資産 (d)
ということですね。この通達では、(c)のような’減価’が明らかなものとし
て、
「会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装
飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として法人が取得するもののう
ち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかであり、
かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見
て美術品等としての市場価値が見込まれないもの」
を挙げています。
で、気をつけたいのは、「経過措置」です。
これも端的に書くと(必ず本文にあたってください)、
平成27年1月1日以後に取得する美術品等→改正後の取扱い
同日以前取得の美術品等→従前の扱い
ですが、
※同日後「最初に」開始する事業年度において、減価償却資産に該当する
ものとしている場合には、これが認められます。この場合、この適用初年
度開始の日に取得し、事業の用に供したものとすることができます。
つまり、適用初年度において、(a)や(c)にあたるものがあったとしても、減
価償却資産として処理しなければ、後から減価償却資産にはならないよ、とい
うことですよね。
ですから、経理担当者としては、上記の(b)や(c)にあたるものがないかどうか
確認しておくということですよね。
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4.[税務]出国時課税制度
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今回の税制改正では、株式等のキャピタルゲインが非課税とされる国に移住す
ることによる譲渡所得課税等の回避を防止するために、本人の出国時に未実現
のキャピタルゲインに課税する「出国時課税制度」が導入されます。
平成27年7月1日以降に国外転出をする場合に適用されます。対象者は、国外
転出の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年超
である者、対象資産は、株式、国債など、金融商品取引法上の有価証券が該当
するようです。資産規模は出国時の評価額の合計額が1億円以上ということの
ようです。納税猶予などもあるようです。
いずれまた、詳細にご提示したいと思いますが、今回は概要ということで。こ
のような制度が導入されるということでご理解ください。
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5.[編集後記]
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皆様の仕事はじめはいかがでしたでしょうか?
先週、このメルマガを書いたあたりではまだなんともなかったのですが、2日
の夜からどうも咳がひどくなりまして、3日、4日と熱出して寝込んでしま
いました。こんなタイミングですから病院も行けず、5日に気合で熱をさげて
出勤したのですが、妻にうつしてしまいました。妻は私が出勤している間に病
院に行ったのですが、なんとインフルエンザAと診断されたとのことで、あわ
ててメールがきました。私もすごく怪しいとドクターが言っていたとのこと。
みんなにうつしてはいけないので、私もやむなく帰宅。息子も調子悪いとのこ
とでしたので、息子と二人で病院へ。息子は大丈夫でしたが、案の定、私はイ
ンフルエンザA。その日は、薬を飲みましたが、妻が寝込んでますので私が色
々と家のことをしているうちに私もま~たぶり返してしまって、ま~た発熱。
結局、5日、6日と休んでしまいました。情けないですね。新年早々。私の新年
の出勤は7日からということになってしまいました。自信なくなりますね。も
う本当に無理がきかないのか、情けない限りです。体調管理をしっかりしなけ
ればいけませんね。遅れた分とりもどしますよ~。頑張ります!
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
*URL: http://www.expertslink.jp
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