【Weekly accounting journal】vol.217~進行基準の経過措置~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.217-2014.01.08
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]工事進行基準の経過措置の確認
2.[ディスクローズ等]新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方
3.[IFRS]当期純利益の概念に関するペーパーの公表
4.[最新J-GAAP]ESOP実務上の取扱い
5.[最新J-GAAP]問題128
6.[編集後記]
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1.[税務]工事進行基準の経過措置の確認
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消費増税も近づいてきました。準備大丈夫でしょうか?
工事進行基準の経過措置確認しておきましょう。
「事業者が平成25年10月1日から26年3月31日までの間に締結した工事の
請負に係る契約に基づき、26年4月1日以後にその契約に係る目的物の引渡し
を行う場合において工事進行基準を採用しているときは、26年3月31日まで
の期間に対応する部分については、旧税率5%となります(改正消法附7条
1項)。」
↑これ、「出来る」ではありませんから。条文本文は「~(旧税率)による。」
と締めくくられていますから、受注者が工事進行基準を適用していれば、必ず、
です。ちなみに、長期大規模工事だけではなく、任意に工事進行基準を適用し
ている場合も含みますので、ご注意ください。
ここで注意が必要な点ですが、
「受注者が工事進行基準を適用している場合、発注者側は通常、資産の引き渡
しが行われた時に課税仕入を計上するはずですが、26年3月31日までの期間
に対応する部分は旧税率5%を適用しなければならない」
ということです。
これ、あっさり言っていますけど、「発注者側は、受注者が工事進行基準によ
り計上した26年3月までの期間に対応する部分を把握しなければならない」と
いうことになります。
このため、受注者側には、「その相手方に対して経過措置の適用を受けたもの
であること及び適用を受けた部分に係る対価の額を書面で通知することが義務
付けられて」います。
受注者が従前、決算時あるいは四半期決算時(以下「決算時等」)にしか工事進
行基準による売上、原価を認識していない場合で、受注者の決算が3月以外の
場合、発注者は、受注者から3月までの工事進行基準による対価の額を入手す
る必要がありますが、十分に認識されていますでしょうか?
ところで、これ、契約はどうするのでしょうか?
引渡は26年4月以降なので、一旦8%ベースで締結しておいて、最終的に5%部
分を減額した変更契約を再度締結できるのでしょうか?この当りは発注者と受
注者の関係等の状況にもよるような気がします。
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2.[ディスクローズ等]新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方
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金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワー
キング・グループ」が、新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に
ついて、「報告書」を公表しました。
http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20131225-1.html
報告の概要からかいつまんでお伝えします。
(1)事業化段階等におけるリスクマネーの供給促進策
1.クラウドファンディングの利用促進
投資型クラウドファンディングを取り扱う業者について参入要件を緩和。
一方で投資者保護のためのルールを整備。
2.非上場株式の取引・換金のための枠組み
地域における資金調達を促進する等の観点から、非上場株式の一定の取
引・換金ニーズに応えるため、新たな非上場株式の取引制度を整備。
3.保険子会社ベンチャーキャピタルによるベンチャー企業への投資促進
(2)新規上場の推進策
1.新規上場に伴う負担の軽減
・新規上場時に開示が必要な財務諸表を過去5年分から過去2年分に軽減。
・新規上場後3年間に限り、「内部統制報告書」に対する公認会計士監査を
免除
2.新興市場の最低株主数基準の引下げ
新興市場における新規上場を推進していく観点から、最低株主数基準を引
き下げ。
(3)上場企業の資金調達の円滑化
1.上場企業の資金調達に係る期間の短縮
2.「届出前勧誘」に該当しない行為の明確化
クラウドファンディング、非上場株式の取引・換金のための枠組み等は日本証
券業協会等で具体的に検討していくことになるようです。
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3.[IFRS]当期純利益の概念に関するペーパーの公表
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企業会計基準委員会(ASBJ)は2013年12月27日、「当期純利益の概念に関す
るペーパー」を公表しています。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/press_release/overseas/pressrelease_20131227.jsp
ASBJの見解ということになります。原文は英文ですが、和訳もありますの
で、和訳から少しご紹介いたします。
第1章 包括利益、純損益及びOCIの定義
包括利益
『純資産を構成する認識された資産及び負債について企業の「財政状態」の報
告の観点から目的適合性のある測定基礎を用いて測定したある期間における
純資産の変動のうち、所有者の立場での所有者との取引から生じた変動を除い
たものである。』
純損益
「純資産を構成する認識された資産及び負債について企業の「財務業績」の報
告の観点から目的適合性のある測定基礎を用いて測定したある期間における純
資産の変動のうち、所有者の立場での所有者との取引から生じた変動を除いた
ものである。」
※包括利益と純利益で何が違うかというと、「財政状態」と「財務業績」が違
うだけです。
OCI
『企業の財政状態の報告の観点から目的適合性のある測定値と企業の財務業績
の報告の観点から目的適合性のある測定値が異なる場合に使用される「連結環」
である。』
第2章 純損益の特徴
純損益は、ある期間における「企業の事業活動に関する不可逆な成果」につい
ての包括的(all-inclusive)な測定値を表す。
「企業の事業活動に関する不可逆な成果」という語句は、企業の事業活動に関す
る不確実性が、成果が不可逆となるか又は不可逆とみなされるところまで減少
することを意味する。
第3章 同一項目に対する2つの測定基礎の使用
省略します。
第4章 リサイクリング
リサイクリングは仕組みとして自動的に達成されることになり、従って、リサ
イクリングをしない項目は存在しないことになる。
リサイクリングは次の時点で発生する。
・関連する資産又は負債の認識の中止が行われる時点
・関連する資産について減損損失が認識される時点
・時の経過に従って自動的な戻入れが生じる時点
難しいですね。ご興味のある方は原文にあたってみてください。
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4.[最新J-GAAP]ESOP実務上の取扱い
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企業会計基準委員会は平成25年12月25日、「従業員等に信託を通じて自社の
株式を交付する取引に関する実務上の取扱い」を公表しました。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/shintaku-pi/?utm_source=submitmail&utm_medium=
基本的に、当該信託について、企業は期末に総額法を適用し、信託の財産を企
業の個別財務諸表に計上します。
適用は、平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されます。た
だし、本実務対応報告公表後最初に終了する事業年度の期首又は四半期会計期
間の期首から適用することができます。
なお、従前のものは従来採用していた方法を継続することができます。
詳細は上記リンクにあたってください。
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5.[最新J-GAAP]問題128
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[問128]
( )に入る語句の組み合わせとして正しいのはどれ?
(ア)とは、ある企業又はある企業を構成する事業と他の企業又は他の企業を構
成する事業とが1つの報告単位に統合されることをいう。
(イ)とは、ある企業を構成する事業を他の企業(新設される企業を含む)に移転
することをいう。
(ウ)とは、複数の独立した企業により共同で支配される企業をいう。
(エ)とは、結合当事企業(又は事業)のすべてが、企業結合の前後で同一の株主
により最終付記に支配され、かつ、その支配が一時的ではない場合の企業
結合をいう。
[答]
a.(ア)企業結合 (イ)事業分離 (ウ)共同支配企業 (エ)共通支配下の取引
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.(ア)取得 (イ)分離元企業 (ウ)共同支配投資企業 (エ)共通支配下の取引
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.(ア)企業結合 (イ)事業分離 (ウ)結合当事企業 (エ)共通支配下の取引
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はbです。
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6.[編集後記]
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今回もメルマガ発行が遅れてしまい、大変申し訳ございません。基本火曜のお
昼発行にしたいのですが、水曜になってしまうことがあります。水曜までは自
分のなかで許容していますので、ご容赦ください。特に今回の年末年始は、大
変ありがたいことですが、スポットのお仕事をいただきまして何かとバタつい
ております。私個人の年賀状の発送も大変遅れてしまい、やっとポストに投函
できたのは、12月31日のお昼位でした。スミマセン。31日と三が日は休みで
はありましたが、初詣行ったり、実家に帰ったりで、それ以外はずっと仕事で
した。今年もいい感じでのスタートだ?ということで、はりきって頑張ります!
info@expertslink.jp
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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