【Weekly accounting journal】vol.200~事前確定役員賞与の支給時期~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.200-2013.09.03
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]消費税経過措置の通知義務
2.[税務]事前確定役員賞与の支給時期について
3.[税務]パテント・ボックス
4.[税務]問題111
5.[編集後記]
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1.[税務]消費税経過措置の通知義務
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‘予定どおりなら’請負等消費税経過措置の「指定日」まで後一か月を切り
ました。
この経過措置を適用する場合の「通知義務」確認しておきましょう。
正確には「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うた
めの消費税法等の一部を改正する等の法律」というみたいですが、いわゆる
「改正法附則第5条第3項」に工事の請負等に関する税率の経過措置の規定が
ありまして、その書面での通知義務が、同条第8項に記載されています。
「事業者が、第三項又は第四項本文の規定の適用を受けた課税資産の譲渡等を
行った場合には、その相手方に対し当該課税資産の譲渡等がこれらの規定の適
用を受けたものであることについて書面により通知するものとする」
で、「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率
等に関する経過措置の取扱いQ&A」の問34に
「具体的にどのように行えばよいのですか」という設問があります。
この回答としては、「例えば、消費税法第30条第9項《請求書等の範囲》に規
定する請求書等に、経過措置の適用を受けたものであることを表示することに
より行って差し支えありません(経過措置通達22)。」とされていますので、
請求する段になって、経過措置の適用を受けたものであることを表示すればよ
いということのようです。
で、これに対しては、税務通信No.3275に「どの程度の内容を記載しなければな
らないのでしょうか」という質問がありまして、
「例えば、消費税法30条9項の規定に該当する請求書上で、「平成26年4月1日
以後に行われた取引であり、かつ旧税率5%を適用して計算していること」が明ら
かにされている場合や、「改正消費税法附則第5条3項該当」などと記載されてい
れば要件を満たしていることになるのではないかと考えられます」
とされています。同税務通信にはさらに、「通知したかどうかは経過措置の適用
関係に影響しない(上記Q&A問34)ことを踏まえると、書面による通知を省略す
ることも認められますか」という質問がありまして、
「罰則なども設けられていませんが、法律上の義務ですので省略することは認め
られません」
とされています。
請求段階での通知でよいのですから、まだ先の話かと思いますが、関係ある方は
ご留意願います。
ちなみに、経過措置の通知義務は、
「工事の請負に関する経過措置」のみならず、
「資産の貸付けに関する経過措置」
「長期大規模工事等の請負に関する経過措置」
の場合も必要ですから、ご確認ください。
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2.[税務]事前確定役員賞与の支給時期について
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上記の税務通信No3275に、東京高裁で出た判決の記事が載っています。
「原告が役員に支給した夏季賞与と冬季賞与について、冬季賞与は税務署長へ
の届出どおりの金額を支給したものの、その後の夏季賞与で届け出とは異なる
金額を支給した場合に、届出どおりに支給した冬季賞与が事前確定届出給与に
該当するか否かをめぐり争われた事案について、原告の請求を棄却し、届け出
支給された冬季賞与も含めて事前確定届出給与に該当しないと判断した」
という記事です。
もう少し詳細な情報を記載しますと、
決算期 9月
事前確定届出賞与(H20年12月22日届出)
取締役会承認 H20年11月26日
対象職務執行期間 H20年11月27日からH21年11月26日まで
金額 代表取締役X 500万円(各季)、取締役Y200万円(各季)
実際支給
(冬季)
H20年12月1日X500万円(届出どおり)
H20年12月9日Y200万円(届出どおり)
(夏季)
H21年7月15日X250万円(届出と相違)、Yに100万円(届出と相違)
という感じです。これで全部否認されちゃいましたということですね。
この記事を読んで思い出したのが、以下の取扱です。
質疑応答事例
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/11/16.htm
こちらでは、
決算期 3月
事前確定届出賞与(届出期限内)
株主総会承認 ×年6月26日
対象職務執行期間 ×年6月27日から×+1年6月26日まで
金額 (×年12月25日)300万円、(×+1年6月25日)300万円
実際支給
(冬季)
×年12月25日300万円(届出どおり)
(夏季)
×+1年6月25日50万円(届出と相違)
とされています。上記の判決のものと似ていますよね。ただ、この結論は、
ご承知のとおり、
「X年12月25日に届出どおり支給した役員給与については、損金の額に算入
して差し支えありません。」
となっています。
この違いはなんでしょうか?上記の判決のものは9月決算であり、冬季と夏季
の賞与がいずれもひとつの事業年度に含まれているのに対し、質疑応答事例の
ほうは3月決算であり、冬季と夏季で期をまたいでいるということがわかりま
すね。
ここまでにしておきますけど、ご参考になさってください。
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3.[税務]パテント・ボックス
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最近、新聞紙面で、世界中で税逃れをする企業も多く、各国とも税収確保のた
めに躍起になっているというトーンの記事がみられます。
この流れとしては、企業を集めるために、税率自体を引き下げるという動きが
まずあるわけですが、最近はやりのものとして「パテント・ボックス」という
ものがあります。
「パテント・ボックス」とは、必ずしも統一された定義はないようですが、税
理士法人プライスウオーターハウスクーパースの資料から拝借すると、「一定
の知的財産に関連する所得(主にロイヤルティー所得)に対する軽減税率を使っ
た優遇措置」ということができます。
http://www.pwc.com/jp/ja/tax-articles/sk-2013-05.jhtml
例えば、英国のパテント・ボックス税制は「特許化された製品・プロセス・サ
ービス及び一定の技術革新から生じる利益に対して10%の税率を適用する」と
いうものです。
このパテント・ボックス税制は、フランス、ハンガリー、ベルギー、オランダ、
ルクセンブルク、スペイン、英国で導入されています。
日本でも経団連がパテント・ボックス、あるいはその概念をより拡大したイノ
ベーション・ボックスの導入を提言しているようです。
グローバル化(この言葉。ちょっとなんか古臭いですね。なんでだろ)の進展に
伴い、知的財産管理に係る戦略はより重要性を増しているように思います。パ
テント・ボックスについても研究していきましょう。
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4.[税務]問題111
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[問111]
平成26年4月1日(施行日)から消費税率が8%になるものとして、施行日前に
行った商品の販売について、施行日以後に商品が返品され、対価の返還等をし
た場合には、「原則として」税率は何%?
[答]
a.8%
http://clap.mag2.com/hesouwraga?a
b.5%
http://clap.mag2.com/hesouwraga?b
c.3%
http://clap.mag2.com/hesouwraga?c
[前回の解答]
前回の正答はaです。
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5.[編集後記]
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とうとう200回目になりました。
もともとずっと続けるつもりでしたから200回でも300回でも通過するつもり
ではあったわけですが、いざ実際に200回目になってみると、よくまあ、続
いてるもんだという感があります。200回も続けたわりに、自らが成長して
いるかどうかというと、はなはだ疑問ではありますが、、、。これに満足する
ことなく、これからもがんばってまいりますので引き続きご購読ください。世
の移り変わりは以前にもまして早くなっていますので、常にアンテナを張りな
がら、皆様に有益な情報をお届けしたいと思っています。
info@expertslink.jp
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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