◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆vol.98-2011.09.13
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準は、今、IFRSで揺れ動いています。一方で税制も改正されており、
上場会社及び上場準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく
変化していきます。これらのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理
担当者の皆さん向けに、出来る限り分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[IFRS]企業会計審議会の紛糾~IFRSとJ-GAAPの変質~
2.[IFRS]IFRSって、そんなに何でもかんでも公正価値か?
3.[税務]個別と一括とで差がでないか?
4.[最新J-GAAP]問題9
5.[編集後記]

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1.[IFRS]企業会計審議会の紛糾~IFRSとJ-GAAPの変質~
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もう一度2011年8月25日の企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議を振り
返ってみました。

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僕がよく理解できない発言

「B/S(貸借対照表)中心のIFRSを採用すると、企業は長期の研究開発投資が
難しくなるのではないか。JR東海という民間企業がリニアモーターカーを開発
できる研究開発費を積み立てられるのは、日本の会計基準を採用しているから
だ。非上場企業の中には長期的な研究開発を行うために、あえて上場しない企
業もある」
「欧州市場で資金調達したい企業はIFRSを採用すればよいが、日本企業にIFRS
を適用すると製造業は沈没する」

→J-GAAPでは研究開発費は発生時に費用計上されます。IFRSでは研究費は発生
時に費用計上ですが、開発費は一定の要件を充足するものは無形資産として計
上しなければならないとされています。J-GAAPのほうがきついのでは?

僕も共感できた発言(その1)

「コンバージェンスなどが進む中、日本基準を守るというのはどういう意味か」
「その場合の日本基準とは、どの状態を指すのか。コンバージェンスを全くし
ていない状態まで戻ることか。実現主義や発生主義、保守主義といった日本基
準の特徴と言われているものは米国会計基準の輸入との見方もある。個人的に
は取得原価主義はバブル経済の原因だったと思っている」
「IFRSは完全な基準でないかもしれないが、IFRSの策定に対して意見を言える
という状態が大切だ。日本の国益と言うが、日本の資本市場を守ることも重要
な国益」

→ごく正当な主張と思います。ガラパゴスは避けるべきだと思います。

僕も共感できた発言(その2)
「時価評価や研究開発費、のれんなどを、ことさら大きく取り上げることが妥
当かどうかを検討すべき」

→そうだ、そうだ~(すみません)。

「これが最も大切。B/S中心の会計とは何か、公正価値とは本当のところ何を意
味するのかなどについて、本格的な議論が必要だ」

→本質的です。公正価値といいますが、適用される場面は当初IFRSが目指して
いたものよりもかなりトーンが薄まっているはずです。BS中心といいますが、
日本も連結は包括利益になりましたから、もうIFRSのBS中心という処理にかな
り近づいているのではないでしょうか。

中央大学専門職大学院 国際会計研究科長/教授 高田橋 範充氏によると、
『IASBとFASBが目的概念を共通化したことによって、IFRSのフレームワークも
変わっています。これは非常にインパクトの強い事実ですが、あまり日本には
伝わっていないようです。共通化された目的概念は、実はほとんど米国基準に
合わせてある。日本のIFRS関連書籍などには「IFRSは公正価値会計でB/S(貸借
対照表)中心」などと書いてありますが、それは古いフレームワーク。いまの
IFRSは全く違います。
具体的には、P/L(損益計算書)の論理が復活しており、公正価値も全面適用で
なくなっています。従来と逆に「企業評価ではない」とも明言しています。財
務報告というより会計的なコンセプトになっている。2011年6月の「東京合意」
におけるトゥイーディー前IASB議長のコメントのなかに「NEW IFRS」という表
現があったのは、おそらくこのあたりが背景になっていると考えられます。』
ということです。議論の前提となる認識すら正しいのかどうか、あやういです
ね。

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2.[IFRS]IFRSって、そんなに何でもかんでも公正価値か?
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前述のようなものをみていると、「IFRSって、そんなに何でもかんでも公正価
値か?」考えてみたくなりました。もういちどおさらいしてみましょう。

BSを左からみていきましょう。あくまで私見ですから。

(1)現金預金
これは特にいいですよね。

(2)売掛金、その他流動資産
通常簿価評価になるはずです。

(3)有形・無形固定資産
原価モデルか再評価モデルということになるわけですけど、原価モデルを選択
するケースがほとんどのようです。投資不動産も公正価値モデルでの評価か、
原価モデル+公正価値注記ということになりますので原価を採用することもで
きます。

(4)資本性金融商品
要するに株ですが、これは基本的にFVTPLかFVTOCIのどちらかになりますので公
正価値評価になります。非上場株式であっても避けられません。

(5)負債性金融商品
債券や債権ですが、これはビジネスモデルテスト、契約上のキャッシュ・フロ
ーテストを満たせば償却原価評価、それ以外はFVTPLで公正価値評価になります。

(6)金融負債
これも一定の要件を満たせばFVTPLやFVTOCIのどちらかになりますので公正価値
評価になりますが、通常は償却原価評価ということになるはずです。買掛金な
どの短期負債は通常簿価評価になるはずです。

(7)退職給付引当金
これはJ-GAAPではまだ退職給付債務を総額計上する必要はありませんが、現在
公開草案が出ており、平成25年3月期末からの適用の方向で検討されているはず
です。

と考えると、一般事業会社なら、再編した場合ののれん等を除き、J-GAAPで退
職給付が適用されれば、IFRSということで特に公正価値評価や償却原価を気に
する必要があるのは、有価証券、長期借入金位ではないでしょうか。うち、有
価証券は時価を算定することが極めて困難な場合を除き、J-GAAPでも時価評価
されていますので、残るは非上場の株式位。長期借入金も時価の開示を行って
いるはずですので、償却原価は算定可能では?

もちろん、J-GAAPでは計上されていない有給休暇引当金などの差異はあります
し、減損の戻し入れが必要であるなど、公正価値測定の必要性はJ-GAAPより高
まるのも確かですけれども、どれも企業会計審議会で発言されているような
「製造業が沈没する」とかいう話ではないのでは?

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3.[税務]個別と一括とで差が出ないか?
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平成24年4月1日以後開始課税期間から、課税売上が5億円を超える事業者は95%
ルールの適用対象外となるため、個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれ
かで仕入控除税額を算定する必要があります。

うちは、個別で算定しても一括で算定してもそれほど大きな差がでないのでは?

と考えることもあるかと思いますが、どうでしょうか?

言えることは、「やってみなければわからない」ということです。経験的には
個別対応方式のほうが有利になるように思いますが、一括のほうが有利な場合
もありえるはずで、「やってみなければわからない」ということになります。

仕入側の費用は個別対応方式による額も算出可能かどうか、今のうちから検討
しておくべきと思います。事後的に拾えるケースも多々ありますが、システム
上対応可能であればそれに越したことはありません。一度ご点検ください。

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4.[最新J-GAAP]問題9
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[問9]
リース論点整理から、使用権モデルを考えます。
(1) リース取引開始日 X1 年4 月1 日、決算日3 月31 日
(2) リース期間 5 年
(3) 原資産(機械設備)の経済的耐用年数 7 年
(4) リース期間に係る更新オプションや解約オプションはなく、残価保証もな
い。
(5) 年間リース料 6,171 千円(後払い)。当初直接費用なし。
(6) リース料(総額)の現在価値 24,639 千円(割引率8%)
で、償却はリース期間定額法で行うものとします。

[答]
a.現行のオペレーティングリースの処理と比べて費用が後の年度に多く計上さ
れる。

b.現行の所有権移転ファイナンスリースの処理と同様になる。

c.現行のオペレーティングリースの処理と比べて資産負債が多額に計上される。

a.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a02ou5x0cigf95ci6jJS0
b.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a02ov5x0cigf95ci6jIjQ
c.→ http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a02ow5x0cigf95ci6j3XH

[前回の解答]
前回の解答はbです。新基準との差異は利益剰余金で調整します。

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5.[編集後記]
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先週のこのメルマガの右上の日付。間違ってましたよね。大変失礼いたしまし
た。送信後に気付いたのですが、お手元のメールソフトの受信箱をちらかして
しまいますので、訂正版を出すよりは次号でお詫びして訂正しようと。Vol.1-
2009.11.02となっていたはずですが、Vol.97-2011.09.06です。すみませんで
した。ちょっと体力消耗していたので。
胃腸の調子はおかげさまでかなり回復したのですが、未だ本調子ではありませ
ん。なんでも食べられるようにはなったのですが、よくよく噛んで飲みこんで
います。考えてみれば今までかなり早いスピードで食べていましたからね。特
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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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