【Weekly accounting journal】vol.77
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆vol.77-2011.04.19
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生してしまいました。
被災者の皆様、また、該当地域に事業所を有する事業者の皆様には、心からお
見舞い申し上げます。
本メルマガでは当面の間、震災に関連する会計・税務情報の伝達に注力したい
と思います。
今回はそうでもないかな、、、。
◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]震災支援税制、第2弾もあるそうです。
2.[IFRS]HOYAのIFRS財務諸表から、繰延税金資産
3.[最新J-GAAP]「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の改正
4.[編集後記]
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1.[税務]震災支援税制第2弾もあるそうです。
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4月13日の政府税制調査会では、被災地で自動車関連の税を減免したり、法人
税を還付したりする42項目の税制支援策をまとめています。
これに加え、第2弾も夏までに以降にまとめるとのことです。
今度は企業の被災地への工場進出の投資を促進したり、個人の節電を促したり
するものになりそうです。
クリーンエネルギー普及の促進もねらうとのことで、期待したいところです。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a0jhhev09ibla1emgi
これからの政党は、エネルギー政策をよくよく検討してくれなければ困ります。
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2.[IFRS] HOYAのIFRS財務諸表から、繰延税金資産
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震災から1カ月以上経過してきましたので、少しずつ、もとに戻したいと思っ
ています。
HOYAは、HP上で、2010年3月期のIFRS適用の財務諸表を公表しています。あく
まで自主的なもので、制度上の任意適用ではないとの位置づけなのですが、
監査法人トーマツによる監査報告書までついています。英語版と日本語版が
あります。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a0jhiev09ibla1emgi
2010年3月の財務諸表ですから、IFRS移行日は、2008年4月1日ということにな
ります。この日の開始BSの調整表をみてみると、調整は「表示科目の差異調
整」と「認識・測定の差異調整」からなっており、
固定資産:
J-GAAP 279,171百万円
表示科目の差異調整 12,488百万円
認識・測定の差異調整 6,060百万円
IFRS 297,719百万円
流動資産:
J-GAAP 410,273百万円
表示科目の差異調整 (12,488)百万円
認識・測定の差異調整 1,882百万円
IFRS 399,667百万円
固定負債:
J-GAAP 125,962百万円
表示科目の差異調整 104百万円
認識・測定の差異調整 2,385百万円
IFRS 128,451百万円
流動負債:
J-GAAP 168,857百万円
表示科目の差異調整 (104)百万円
認識・測定の差異調整 6,005百万円
IFRS 174,758百万円
純資産:
J-GAAP 394,625百万円
認識・測定の差異調整 (448)百万円
IFRS 394,177百万円
結果として純資産に与える影響は大したことないのですが、それぞれの
区分ごとにはそれなりに大きな影響が出ています。
今回は固定資産の認識・測定の差異調整6,060百万円のうち、多くを占めてい
る繰延税金資産5,595百万円に注目してみたいと思います。
当該連結財務諸表のP93によると、
「未実現利益の消去に伴う税効果について、日本基準において用いられる税率
で計算された金額とIFRSにおいて用いられる税率で計算された金額が異なるた
め、繰延税金資産が1,526百万円増加しております。また、全ての繰延税金資
産の回収可能性を再検討した結果、繰延税金資産が4,069百万円増加しており
ます。」
とのことです。
まずは前段の未実現利益の消去に伴う税効果に用いる税率ですが、グループ内
の取引により生じた未実現利益を消去する際に生じる税効果に適用する税率は、
IFRSでは売却先、J-GAAPでは売却元のものを適用します。
さらにJ-GAAPでは売却元で税額が発生している場合、回収可能性の検討は不要
であるが、IFRSではこのような例外規定はなく、通常の一時差異と同様に扱わ
れます。
IFRSの方が、繰延税金資産が1,526百万円も増加するということは、売却元の
税率より売却先の税率の方が高いということでしょう。売却元が軽課税国、売
却先が日本など比較的高い税率の国という場合などが推測されます。
次に後段の繰延税金資産の回収可能性ですが、IFRSでは、回収可能性について
は
・収益力に基づく課税所得要件
・将来加算一時差異要件
・タックスプランニング要件
の3つに照らして検討する必要があります。
この基本的な考え方はJ-GAAPも同じなのですが、日本の監査委員会報告第66号
では、報告企業を5つに分類し、詳細な検討ポイントを規定しています。一方
で、IFRSは原則主義ですから、詳細なガイダンスはありません。
このため実質的にどうか、という判断をすることになります。これによりHOYA
の場合、4,069百万円も金額に差異が生じたということになります。
個人的には、いまいち納得がいきません。基本的な考え方は同じなのに、なぜ
こうも違うのか。細則主義の弊害があるように思います。
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3.[最新J-GAAP] 「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の改正
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日本公認会計士協会は、平成23年4月12日付で、「監査・保証実務委員会報告
第81号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の改正について」を公表い
たしました。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a0jhjev09ibla1emgi
これは、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」及び「会計上の変
更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用指針」の適用に伴うものです。
これにより、
●減価償却方法は会計方針に該当しますが、その変更については「会計方針の
変更を会計上の見積りの変更と区別することが困難な場合」として取り扱い、
遡及適用は行われません。
●耐用年数の変更について
・過去に定めた耐用年数が、これを定めた時点での合理的な見積りに基づくも
のであり、それ以降の変更も合理的な見積りによるものであれば、当該変更は
過去の誤謬の訂正には該当せず、会計上の見積りの変更に該当します。
・耐用年数の変更が会計上の見積りの変更に該当する場合、当該変更の影響は、
当期及びその「資産」の残存耐用年数にわたる将来の期間の損益で認識します。
・過去に定めた耐用年数がその時点での合理的な見積りに基づくものでなく、
これを事後的に合理的な見積りに基づいたものに変更する場合には、過去の誤
謬の訂正に該当します。
・耐用年数の変更が過去の誤謬の訂正に該当する場合、修正再表示することに
なります。
●臨時償却はなくなりました。
ご確認くださいませ。
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4.[編集後記]
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「企業財務会計士」見送り。
http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a0jhkev09ibla1emgi
なんだったんでしょうね。野党は反対だったんですね。
ところで、大震災が発生してしまいましたので、なんとなく言いそびれてしま
っていたのですが、僕は、特定非営利活動法人ディクスロージャー実務検定協
会が主催するディスクロージャー実務検定の「基礎編」だけでなく、「発展編」
の試験にも合格し、『ディスクロージャー「上級」実務士』になりました。認
定証もありますよ!
日頃から上場会社ディスクロージャー実務に従事してきた身としては、このよ
うな企業財務ディスクロージャーに係る資格があってもいいと思っておりまし
たが、公認会計士の資格とリンクさせる必要はないですよね。このような資格
は国ではなく、民間が望ましいように思います。
有価証券報告書に「企業財務会計士」の活用状況を書く、なんて話もありまし
たけど、これもなくなってしまいましたかね。
どうですか?「ディスクロージャー上級実務士」を活用しては?
そろそろ完全にもとの状態に戻したいと思います。
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
*URL: http://k.d.combzmail.jp/t/2732/a0jhlev09ibla1emgi
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