◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆vol.39-2010.07.27
      
   ☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆

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こんにちは、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人の紺野です。日本
の会計基準はIFRSに近づき(コンバージェンス)、さらにその後IFRSが強制適
用(アドプション)されます。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場
準備会社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。
これらのエッセンスを出来る限り、分かりやすくお伝えします。仕事の合間に
軽くどうぞ!

文中意見にわたる部分は僕の私見にもとづきます。このメールマガジンの情報
をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等にご確
認ください。もちろん、エキスパーツリンク/エキスパーツ税理士法人でもま
ずは無料で検討させていただきます。

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ので、普段の決算・経理・税務実務全般について、ご質問、ご相談等ございま
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[最新J-GAAP]包括利益の会計基準もちゃんとみておきましょう(その4)
2.[税務]グループ法人税制の留意点(その1)
3.[最新J-GAAP&IFRS]収益認識
4.[編集後記]

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1.[最新J-GAAP]包括利益の会計基準もちゃんとみておきましょう(その4)
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○次はいわゆる「リサイクリング」です。
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例えば、
 期首:
  その他有価証券 取得価額 1,000円
          時価   1,500円
 で、期中にすべて時価1,400円で売却した(実効税率は40%)とすると、
───────────────────────────────────
 期首:
  その他有価証券評価差額金 500 / その他有価証券 500
  繰延税金負債 200 / その他有価証券評価差額金 200

 売却時:
  現金 1,400 / その他有価証券 1,000
          投資有価証券売却益 400

 という処理をしますよね。いままでと同様に。

この期首の仕訳のうち、実現した含み益がIFRSでは「reclassification
adjustment(再分類修正)」といわれています。そしてこのような処理全体が
「recycling」と呼ばれています。その他包括利益で一旦計上したのにまた当
期純利益に入ってくるみたいなニュアンスがあるのではないでしょうか。

ちなみにIFRSでは現在このようなリサイクリングは認めない方針が決定されて
います。上記の例でいうと、期首の仕訳が入りませんので、その他有価証券の
簿価は1,500円になっていますから、投資有価証券売却損100円が計上されるこ
とになります。

ただこれは将来のIFRSの話で、現在のJ-GAAPではリサイクリング自体は認めら
れています。この時に、リサイクリングされた金額を注記すればよいのです。
この場合、税効果前400円ですね。

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2.[税制]グループ法人税制(その1)
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個人的には、全体としては、そんなに大きな影響はないのでは(もちろん、影
響の大きい会社さんもあるでしょうけど)?と思っているのですが、念のため、
もう少し慎重にみていきましょう。税務通信の記事中心です。

100%グループ内での適用になりますが、まずは、範囲にはいったら何の影響が
あるのか、を考えてみましょう。
適用は平成22年10月1日以降です。

───────────────────────────────────
○譲渡損益調整資産をグループ内で譲渡しても損益が繰り延べられます。この
範囲は固定資産、土地、有価証券、金銭債権及び繰延資産(売買目的有価証券、
帳簿価額1,000万円に満たない資産を除きます。)です。

繰り延べたらどうなるか?グループ外に売却されたり、廃棄、除却されたり、
償却されたら実現するわけです。
───────────────────────────────────
あんまり、ないのではないでしょうか?

確かに、あると状況の把握等、結構厄介ですよね。ただ、上場会社なら多くは
連結対象でしょうから、親会社は、連結財務諸表上未実現損益の繰延のために
把握しているのではないでしょうか?この情報を取引当事者間でも共有する必
要があるということになります。

非連結子会社なら厄介かもしれませんね。超大企業はこれらの把握が困難とい
うこともいわれているようです。

ですから、その場合、
譲渡側、譲受側双方に通知義務があります。

長くなってしまうので引用はやめますが、譲渡側は譲受側に、譲渡損益調整資
産である旨等を通知し、譲受側は譲渡側に、耐用年数や償却額、除却等の状況
を通知するということです。

親会社としては、状況に応じて、このような制度があることを子会社にも伝え
て対応をうながすことが必要かもしれません。

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3.[最新J-GAAP&IFRS]収益認識
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【前受使用許諾料及びロイヤルティ】
ライセンス契約に基づき、レコード原盤、映画フィルム等の作品完成前に使用
許諾者(売手)は使用許諾を受ける者から返還不要の使用許諾料又はロイヤルテ
ィ(固定額)を前受けすることがある。権利許諾者は、その権利許諾時点におい
て、ライセンスの前提となる作品を完成させる重要な義務が存在する。なお、
権利許諾者は作品を完成させ、使用権取得者にマスターを引き渡す以外には重
要な履行義務は存在しない。
***********************************
───────────────────────────────────
【J-GAAP】
「作品の完成・マスターの引渡しという履行義務以外に他に重要な履行義務が
存在しない場合、作品が完成してマスターが引き渡され、契約上使用許諾を受
けた者が自由にその権利を使用できる状態となった時点で『財貨又は役務の移
転の完了』要件を満たしたと考えられるため、その時点で収益を認識すること
が適切」

【IFRS】
「使用許諾を受けた者がその権利を自由に活用できるか否か、権利許諾者にお
いて履行する義務が残存しているか否かを判断基準として収益の認識時点を判
断する」

「したがって、権利許諾者が重要な履行義務を負っている場合、仮に返還不要
の全額の入金があったとしても収益は認識されない」
───────────────────────────────────

結論は両者一緒です。作品の完成・マスターの引渡しが行われないと収益は認
識されません。

一方、法人税はどうかというと、

工業所有権やノウハウの一時金又は頭金について返還不要の場合には、支払時
(入金時)に収益とすることとされています(法人税基本通達2-1-16、2-1-17)の
で注意が必要です。会計上はあくまでも、引渡しがなされなければ実現したと
はみなされません。

次は、「重要な履行義務を負っている場合」です。
***********************************
上述の例で、権利許諾者はライセンス契約に基づき、レコード原盤、映画フィ
ルム等、を完成させマスターを引き渡すが、引渡後も権利許諾者に重要な活動
の履行又はサービスを提供する義務が存在する場合(例えば、映画のプロモーシ
ョンなど)はどうか
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4.[編集後記]
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経営財務No.2975において、金融庁企業会計審議会で議論されている単体財務
諸表と会計基準のコンバージェンスについて紹介されています。そのなかで
ドイツ、フランスでのIFRSの強制適用の状況についての質問があり、当局が数
字を提示しているようですが、

ドイツは1,082社中624社
フランスは1,055社中642社

だそうで、400社程度はIFRSが適用されていないようです。経営財務の記事に
よると、この400社程度はすべて「非規制市場」とされる「開示基準が厳格で
ない市場」の上場企業とのことです。

一方、経団連では、『財務報告に係る我が国開示制度の見直しについて』とす
る意見書を公表しておりまして、詳細はこちら

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をご覧いただきたいのですが、我が国開示制度は内部統制報告制度や四半期報
告制度等を含め、過剰な開示が求められている状況であることは間違いないと
いえます。

内部統制については、僕はその評価の義務を会社に負わせたこと自体はいいこ
とだと思っていますが、その範囲ややり方等、報告・監査の制度の見直しの余
地は大いにあると思います。

一方、IFRSの適用の範囲が限定されたとしても、コンバージェンスが進んでい
ますからね。J-GAAP自体がIFRSに近づいていれば大して変わらないということ
になりますよね。どうなんでしょう。僕は、特に影響が大きいのはやはり収益
認識であり、これがJ-GAAP自体に入ってくることはほぼ間違いないと考えてい
ます。やはり、実務的には少なくとも収益認識の準備を急がなくてはならない
のではないでしょうか?

包括利益もJ-GAAPに入ってきましたし、ねえ。

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*発行人: エキスパーツリンク
 公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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