【Weekly accounting journal】vol.316~税制改正大綱(案)~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.316-2015.12.13
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]税制改正大綱(案)、軽減税率箇所は空欄
2.[最新J-GAAP&税務]税効果会計に適用する税率に関する適用指針(案)の公表
3.[NEWS]新日本監査法人に初の課徴金
4.[監査]監査法人の処分について
5.[税務]軽減税率与党の合意文書
6.[IFRS]IFRS普及進む
7.[編集後記]
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1.[税務]税制改正大綱(案)、軽減税率箇所は空欄
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自民、公明両党は、10日、それぞれ税制調査会の総会を開き、消費税の軽減
税率の取扱いを除いて、来年度の税制改正大綱を決定しました。
http://cdn.nikkei.co.jp/parts/ds/pdf/001/20151210.pdf
面白いです。P76 四消費課税 1消費税の軽減税率制度の欄が空欄です。
概要まとめておきます。
(1) 法人税実効税率の引き下げと企業支援
・法人税実効税率を来年度は29.97%、3年後の平成30年度には29.74%まで
引き下げる。財源は外形標準課税の拡大、繰越欠損金の控除制限、生産
性向上設備投資促進税制縮小
・中小企業の設備投資促進
中小企業が生産性を高めるため160万円以上の生産機械を新たに購入し
た場合、3年間、固定資産税を半分にする。
(2) 暮らしに身近な税制改正
・市販薬を購入した場合、費用の一部を所得から差し引いて、所得税を軽
減する。特定の市販薬の購入額が1世帯当たり年間10万円までは、
1万2000円を超える部分について、課税対象となる所得から差し引
いて税を軽減します。
・非課税通勤手当の限度額が現在の10万円から15万円に引き上げられます。
・2017年4月の消費税の10%への引き上げに合わせて「自動車取得税」を
廃止する代わりに、自動車購入時に燃費に応じて課税する新たな制度が
導入されます。
(3) 暮らしに身近な税制改正
・3世代同居に向け、自宅のキッチン、トイレ、浴室、玄関を増設するな
どした場合、2016年4月から工事費の10%、最大で25万円を所得税額か
ら差し引く。
・両親や祖父母から結婚や出産の費用として一括で贈与を受けた場合に、
1000万円を上限に贈与税を非課税とする措置につき、不妊治療のため薬局
で処方された医薬品代や出産前後の医療費、産後の検診費用なども対象と
することを明確化。
(4) 地方創生
・訪日外国人の日本での買物は、従来、1回の額が1万円を超えれば消費税が
免税されますが、これを5,000円以上に引き下げます。
・地方税の一部を国税化して財政力の弱い自治体に再配分する額を2017年4
月の消費税率の引き上げにあわせて、現在の6000億円から、1兆4000億円
程度まで増額します。
などです。税効果会計ではこれを反映させる必要がでてきます。施行、公布日
に注意が必要ですね。なお、税効果会計の税率の変更を反映させるタイミング
については、現在は公布日基準ですが、これを見直す動きが出ていますのでこ
ちらも気にしなければなりませんね。
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2.[最新J-GAAP&税務]税効果会計に適用する税率に関する適用指針(案)の
公表
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1.の記事で「見直す動き」なんて書きましたが、公開草案が出てました。
ASBJは、平成27年12月10日、「税効果会計に適用する税率に関する適用指針
(案)」を公表しました。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/exposure_draft/zeikouka2015_2/index.shtml
税率のところ、注目です。
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○税効果会計に適用する税率(本公開草案第 4 項から第 9 項)
(法人税、地方法人税及び地方法人特別税に関する税率)
本公開草案では、法人税、地方法人税及び地方法人特別税について、繰延税
金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立
している税法(法人税、地方法人税及び地方法人特別税の税率が規定されて
いるもの(以下「法人税法等」という。))に規定されている税率によるこ
とを提案している。なお、決算日において国会で成立している法人税法等と
は、決算日以前に成立した法人税法等を改正するための法律を反映した後の
法人税法等をいう。
(住民税(法人税割)及び事業税(所得割)に関する税率)
本公開草案では、住民税(法人税割)及び事業税(所得割)(以下合わせて
「住民税等」という。)について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に
用いる税率は、決算日において国会で成立している税法(住民税等の税率が
規定されているもの(以下「地方税法等」という。))に基づく税率による
ことを提案している。なお、決算日において国会で成立している地方税法等
とは、決算日以前に成立した地方税法等を改正するための法律を反映した後
の地方税法等をいう。
また、決算日において国会で成立している地方税法等に基づく税率とは、次
の税率をいうことを提案している。
(1) 当事業年度において地方税法等を改正するための法律が成立していない
場合(地方税法等を改正するための法案が国会に提出されていない場合を
含む。)
決算日において国会で成立している地方税法等を受けた条例に規定されてい
る税率(標準税率又は超過課税による税率)
(2) 当事業年度において地方税法等を改正するための法律が成立している場
合
・改正された地方税法等(以下「改正地方税法等」という。)を受けて改正
された条例(以下「改正条例」という。)が決算日以前に各地方公共団体
の議会等で成立している場合
決算日において成立している条例に規定されている税率(標準税率又は超
過課税による税率) なお、決算日において成立している条例とは、決算日
以前に成立した条例を改正するための条例を反映した後の条例をいう。
・改正地方税法等を受けた改正条例が決算日以前に各地方公共団体の議会
等で成立していない場合
ア 決算日において成立している条例に標準税率で課税することが規定され
ているとき
改正地方税法等に規定されている標準税率
イ 決算日において成立している条例に超過課税による税率で課税すること
が規定されているとき
改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立して
いる条例に規定されている超過課税による税率が改正直前の地方税法等
の標準税率を超える差分を考慮する税率
○適用時期(本公開草案第 10 項)
本適用指針は、平成 28 年 3 月 31 日以後終了する連結会計年度及び事業
年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用することを提案
している。
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今までは、「決算日に公布されているかどうか」でしたが、今後は、「法律が
成立しているかどうか」となりますね。3月31日までに法律は成立するでしょ
うから、今度の3月末には公布しているかどうかにかかわらず新税率になりま
す。問題はいつも、法律ではなく、条例のほうなのですが、今後は条例が成立
していれば新税率によることになります。ご留意ください。
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3.[NEWS]新日本監査法人に初の課徴金
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金融庁が、東芝の件で、新日本監査法人に対し、課徴金と業務改善命令の行政
処分を同時に行う方向で検討しているとのニュースです。
http://www.asahi.com/articles/ASHD96JXGHD9ULFA040.html
来週にも処分とのことのようですね。
課徴金は、監査報酬2年分の約20億円を軸にということです。
さらに、6か月前後の新規契約禁止も命じる可能性があるそうです。
東芝の課徴金は、73億7350万円ですね。
http://toyokeizai.net/articles/-/96168
新日 約20億円
東芝 約73億円
ですか、こんな比率なんですかね。監査法人も悪いんでしょうけど、ちょっと
バランスが気になりますね。個人的には。
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4.[監査]監査法人の処分について
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なんかもう、見慣れちゃいましたね。
http://www.fsa.go.jp/news/27/sonota/20151211-2.html#01
この手の処分のときの文面のひどいこと。
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5.[税務]軽減税率与党の合意文書
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税制改正大綱には間に合わなかったんでしょうけど、自民、公明両党は12日
に軽減税率について合意しています。その全文が出ています。
「軽減税率制度についての大枠」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS12H28_S5A211C1NN1000/
8%と10%の違いですから、それほど、、、という感じがしてしまうのは私だ
けでしょうか。飲食料品については0%とでもいうならインパクトありますけ
どね。
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6.[IFRS]IFRS普及進む
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「会社 四季報」2016年新春号が全上場企業にIFRSの適用状況を調査したと
ころ、有効回答2042社のうち、44%が適用を実施・決定又は検討しているこ
とがわかったとのことです。
http://www.asahi.com/articles/ASHD943J7HD9ULFA00Y.html
実施・決定済みは15年11月末で109社と全上場企業の3%ですが、時価総額では
22%超に達したそうです。
今後、適用会社が増加していきそうですね。
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7.[編集後記]
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「子供の未来応援プロジェクト」という活動をご存知でしょうか。
以前も書いたかもしれませんが、現在日本では、17歳以下の子供の6人に一人
が貧困の状況にあります。貧困の状態にある子供たちは一般的な近所づきあい
や学習を継続することが困難な状況におかれています。この貧困は親から子へ
連鎖しています。このような連鎖を断ち切ることが、必須です。この課題に取
り組んでいるのが官公民連携によるプロジェクトが、「子供の未来応援プロジ
ェクト」です。
http://www.kodomohinkon.go.jp/
ここでは、経済支援、就労支援、生活支援、教育支援と、四つの観点からの支
援が行われています。なかなかいい取組のように思います。こういうのあった
んですね。あまり報道されていないような気がしますが。個人的に気に入った
のは、「親の学び直しの支援」。再チャレンジの一つですよね。応援したいで
す。考えてみれば、6人に一人もの割合で貧困があるような社会で子供が増え
ないのは当たり前です。
早速、子供の未来応援基金に寄付しました。
公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。
トップページ
http://kaishaho-kansa.com/
個人会計士による会社法監査
http://kaishaho-kansa.com/audit/personal/
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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