【Weekly accounting journal】vol.312~均等割~
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇vol.312-2015.11.17
☆☆☆ Weekly Accounting Journal ☆☆☆
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こんにちは、エキスパーツリンクの紺野です。日本の会計基準は、今、IFRS
で揺れ動いています。一方で税制も改正されており、上場会社及び上場準備会
社の決算・経理実務は今後も引き続き、目まぐるしく変化していきます。これ
らのエッセンスを、上場会社及び上場準備会社の経理担当者の皆さん向けに、
出来る限り分かりやすくお伝えします。何らかの「気づき」をご提供すること
が出来れば幸いです。仕事の合間に軽くどうぞ!
文中意見にわたる部分は私どもの私見にもとづきます。このメールマガジン
の情報をもとに実務に適用される場合には、監査法人さんや顧問税理士さん等
にご確認ください。もちろん、エキスパーツリンクでもまずは無料で検討させ
ていただきます。
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ありましたら、こちらにどうぞ。紺野に直接届きます。
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◆◇今週のCONTENTS◆◇
1.[税務]海外子会社に対する在庫処分のための廉価販売
2.[監査]会計監査人の評価選定基準策定に関する実務指針
3.[開示]開示・監査制度の在り方に関する提言
4.[監査]IOSCO監査法人の透明性に関する報告
5.[税務]今年度の税額計算における注意事項~均等割~
6.[編集後記]
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1.[税務]海外子会社に対する在庫処分のための廉価販売
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我が社では、このたびマイナーチェンジをした新製品を販売するため、在庫し
て残っている現行品は海外の販売子会社に値引きをして販売する予定です。こ
のような取引は移転価格税制上の問題にならないでしょうか。
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製品の生産が近く打ち切られるような状況において、在庫品の価格を値下げし
て在庫を早期に処分する行為は企業として合理的な行動です。したがって、海
外子会社に対してそのような製品の値引き販売が行われても、移転価格上の問
題になることはないと考えます。
旧製品について、仮に第三者との取引であっても、業界での慣習等値引き販
売をするような状況であると認められる場合には、海外子会社に対する値引き
販売についても正当な理由があると考えられます。
取引価格が、第三者間取引における同様の状況での事例を参考に算定される独
立企業間価格に収まっていれば、移転価格上の問題にはならないと考えられま
す。
国内の市場において新製品の販売に伴う旧製品の廉価販売を行っている事実や、
海外販売子会社の担当地域以外にある販売代理店(独立第三者)に旧製品の廉
価販売を行っているような事実があれば、それは正当な理由となり、税務当局
への説得力も高まります。
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2.[監査]会計監査人の評価選定基準策定に関する実務指針
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公益社団法人日本監査役協会は、平成27年11月10日、「会計監査人の評価及
び選定基準策定に関する監査役等の実務指針」を公表しています。
http://www.kansa.or.jp/support/library/accounting/post-150.html
本指針は、適切な監査の確保に向け、監査役等が会計監査人を評価及び選定す
るに際し留意すべき点を指針として供するものです。
上場会社に適用されるコーポレートガバナンスコードの基本原則3において、
開示の重要性とともに開示される情報が正確で有用性の高いものとなることが
求められており、適切な監査の確保に向けて監査役会が会計監査人の評価及び
選定の基準を設けること等が規定されています。
項目だけ参考のため記載しておくと、
「評価基準」
第1 監査法人の品質管理
第2 監査チーム
第3 監査報酬等
第4 監査役等とのコミュニケーション
第5 経営者等との関係
第6 グループ監査
第7 不正リスク
「選定基準」
第1 監査法人の概要
第2 監査の実施体制等
第3 監査報酬見積額
近年、監査法人変更の事例も多くみられ、監査法人の評価、選定における監査
役の役割の重要性はより高まっており、事前に監査法人の評価、選定の基準を
定めておくことが必要になっていると思います。こちらの実務指針等をご参考
になさってください。
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3.[開示]開示・監査制度の在り方に関する提言
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開示・監査制度が大きく変わる時期に来ているのかもしれません。
日本公認会計士協会は、会社法と金融商品取引法による開示・監査制度の一元
化に向けた検討を行い、「開示・監査制度の在り方に関する提言-会社法と金
融商品取引法における開示・監査制度の一元化に向けての考察-」として取り
まとめを行い、平成27年11月13日、公表しています。
ここでの提言の概要は以下のとおりです。
●投資家が必要とする十分な情報を効果的かつ効率的に提供するとともに、情
報開示の不効率性及び監査対象の重複、後発事象の取扱いといった二元的開
示制度による我が国固有の問題点を克服するため、会社法と金融商品取引法
の法定開示における財務情報は一元化し、監査も実質的に一元化すべきであ
る。
●各上場会社が、株主・投資家が必要とする情報を信頼性あるものとして提供
できるタイミングに基づき、1か月程度の議案検討期間を確保したスケジュ
ールで情報開示を含む株主総会関連日程を設定すべきである。
●上記に従い、定時株主総会開催日の設定に当たっては、従来の決算日後3か
月以内の開催には拘らず、決算日後3か月を超える日程での開催も当然のこ
ととする柔軟な対応により、株主総会の分散化を図るべきである。
その他、目にとまったところをピックアップしておきます。
「このような会社法と金商法の法定開示制度は、それぞれの立法趣旨に基づき、
まず大陸系の商法が入り、戦後にアメリカの証券取引法が入ってきたという
経緯もあって、現在の二元的な法定開示となっているものであるが、我が国
のように、制度ごとにそれぞれの財務情報を作成・開示している国は、アメ
リカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランスといった他の先進国には見当た
らない。」
「我が国とアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランスの法定開示のスケ
ジュール等の平均を比較すると、日本を除く他の諸外国では、会社規模を問
わず、定時株主総会が決算日後4か月以上後に開催され、かつ有価証券報告
書に相当する財務情報である年次報告書が定時株主総会の平均1か月以上前
に開示されていることが分かる。」
「法定開示における財務情報が一元化され、監査対象も一元化されることとな
れば、各社が情報の信頼性を確保するための十分な日程で決算スケジュール
を設定することにより、財務情報の信頼性を担保する監査人にとっても、限
られた決算監査スケジュールの中で、より重要な監査手続に注力することが
可能となり、監査の信頼性確保にも寄与することとなる。」
会社法、金商法の財務情報が一元化され、監査スケジュールが少し伸びて、よ
り詳細な情報が早く開示されるようになれば、それはいいですよね。
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4.[監査]IOSCO監査法人の透明性に関する報告
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証券監督者国際機構(IOSCO)は、平成27年11月6日、
「公開企業の監査を行う監査法人の透明性」
Transparency of Firms that Audit Public Companies
を公表しています。
http://www.fsa.go.jp/inter/ios/20151111-5.html
「本報告書は「監査法人の透明性報告」を取り扱っており、投資家及びその
他の利害関係者に対して監査法人自身の透明性に関する報告、とりわけ、監
査法人のガバナンス及び財務諸表監査における品質管理体制に関する報告を
行う上で監査法人が採用する実務について検討している。」
ということです。お知らせまで。
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5.[税務]今年度の税額計算における注意事項~均等割~
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今年度の税額計算において注意すべき事項として、均等割の計算があります。
均等割の税率区分の基準となる額については、平成27年改正により、平成27
年4月1日以降開始事業年度から、以下のように変更されています。
(従来)
「均等割の税率区分の基準となる額」=「資本金等の額」
(改正後)
「均等割の税率区分の基準となる額」=「資本金等の額」
+(1)-(2)-(3)
(1)平成22年4月1日以後に利益準備金やその他利益準備金による無償減資し
た増資額
(2)平成13年4月1日から平成18年4月30日までに無償減資による欠損填補や
資本準備金の減少による欠損填補をした金額
(3)平成18年5月1日以後に剰余金による損失の填補を行った場合、損失の
填補をした金額(ただし、資本金の額または資本準備金の額を減少し、
その他資本剰余金として計上してから1年以内に欠損填補に充てられた金
額に限ります。)
これにより、基本的に事業税の外形標準課税の資本割の計算と同様になります。
(1)の事例はあまりないと思われますので、過去に欠損填補をした会社さんは
要注意です。ご確認ください。
また、従来、欠損填補しても均等割は変わらないからと、多額の欠損金をその
ままにしていた会社さんも欠損填補しますと、均等割が変わりますので、ご確
認ください。
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6.[編集後記]
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うちの弟の話で恐縮ですが、夫婦でKONNODUOというバンド?をやっています。
弟はギター、奥さんはフルートという、なかなか他にはない形式だと思いま
す。で、先日、母と久しぶりに演奏を見に行きました。場所は銀座の松屋。と
いうので、イベント会場みたいなところがあるのかなと思っていたら、婦人服
の売り場でした。婦人服の売り場とエスカレーターの間に数十人位かな、座席
が設けられていて、こじんまりとしたイベントでした。司会は、お店のお兄さ
ん。このお兄さんがなかなか調子のいい人で、後ろに控えていた7歳の姪っ子も
紹介されたりして、なにやらアットホームというか、ほのぼのとした雰囲気で
演奏が始まりました。曲は、ボラーレ、ラストダンスは私に、百万本のバラ、
サントワマミーなど、「あっ、知ってる、知ってる」という感じの曲で、みな
さん反応は静かでしたけど、楽しんでいただけたんじゃないかなと思っていま
す。結構色んなところに出没しているようなので、どこかでみかけることもあ
るかもしれません。その時は、ちょっと足を止めて、耳を傾けていただければ
と思います。
こちらは日比谷公園で演奏したときのものです。
https://www.youtube.com/watch?v=lmuLlEbaPMM
公認会計士紺野良一事務所のHPを作りましたので、是非ご覧ください。
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個人会計士による会社法監査
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*発行人: エキスパーツリンク
公認会計士・税理士・公認内部監査人(CIA) 紺野良一
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